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#281.縦縞の裁断 最終話
皆さんご存じの通り、パンツは前身頃と後身頃に別れています。縞模様を
どこに通すか…という問題ですが、前身頃は中心線の所に通します。
では後身頃はどうかと言いますと、これは作る人の好みによって変わって
来ます。
裁断や縫製をされた事がない方は、裁断後のパンツの後身頃の生地を見る
と少し驚かれるかも知れません。それは前身頃に比べるととても幅が広く、
尻くりが大きく(多分思っているよりも…)見えるからです。
考えてみると後身頃はお尻やふくらはぎなどをカバーする訳ですからその
分大きくなって然るべきですが、裁断をする際には「どこに縞を通す」のか
と「布地の用尺」という 2つの要素を考慮しなければなりません。
後身頃の場合は、前身頃のように中心線に縞を通す必要はありませんし、
私共の技術標語に「パンツはなるべくタテ(縦)にホンジ(本地)を通せ」
というのがあるように、パンツの外側の縫い目(タテ)に生地の縦地の目
(ホンジ)を通すのが通例なのです。
外側の縫い目に地の目を通すと、後身頃の中心線と内側の縫目は少し斜め
になりますが、その方がやや伸び易くなるので履き心地は良くなります。
これは縦縞の出方を考えても効果的で、後身頃の中心線や内側の線はあまり
目立ちませんが、外の縫い目近くに縦の縞が通っていれば、足が真っ直ぐに
綺麗に見える効果があります。

ここ3回にわたり縦縞の裁断について話して来ました。ごく一般的に見かけ
る細い縞の生地の場合は、今回迄の「縦縞を通す箇所」に注意すれば良いの
ですが、太目の線で間隔の広い縞となると…気を付けなければならない点が
別に出て来ます。

写真のような縞は生地の状態でもかなりインパクトがありますが、この手
の柄を選ばれる場合、スリーピースの事が多いので縞の出方に気を付けない
とスッキリ見えません。
特に気を付けたいのは、ジャケットの釦を止めた時にベストの縞がジャケ
ットと同じ位置に通っているか…という事です。私はこのような難しい縞柄
の場合は、まずベストの縞の位置を先に決めておいてからジャケットをそれ
に合わせて裁つようにしています。
ベストはジャケットとは違い釦が縦に4~5個並ぶ訳ですから、ジャケット
よりも前の直線の距離が長くなります。また釦を外して着る事はありません
から、ベストの縞の位置が全てに影響してきます。
まず縞をどこに通すか…ですが、ベストもジャケットも端のぎりぎりの所
に縞が来ないようにします。端に縞があるのが悪いという訳ではありません
が、あまりぎりぎりで縞が欠けてしまうような事は避けなければなりません。
また人間の体には厚みがありますから、体にくっついているベストはその
影響を受け易く、前の合わせの所は少し膨らむ事も考えられますので、縞の
先に地色の布が少し出るようにします。この写真の縞の間隔は2cmですから、
縞から3mm位を端にしてベストを裁ち、それに合わせてジャケットも裁てば
綺麗に揃います。
細い間隔の縞ですと生地を多目に取る必要はありませんが、写真の生地の
ような場合は、大体1割増し位多目に生地を取るようにしています。また格子
柄や変わった柄の場合も大目に生地を準備するようにしています。
その生地の余裕が精神的に影響するのか…?はわかりませんが、落ち着い
て裁断をする事ができ、結果的に綺麗な服に仕上がるような気がするのです。
どこに通すか…という問題ですが、前身頃は中心線の所に通します。
では後身頃はどうかと言いますと、これは作る人の好みによって変わって
来ます。
裁断や縫製をされた事がない方は、裁断後のパンツの後身頃の生地を見る
と少し驚かれるかも知れません。それは前身頃に比べるととても幅が広く、
尻くりが大きく(多分思っているよりも…)見えるからです。
考えてみると後身頃はお尻やふくらはぎなどをカバーする訳ですからその
分大きくなって然るべきですが、裁断をする際には「どこに縞を通す」のか
と「布地の用尺」という 2つの要素を考慮しなければなりません。
後身頃の場合は、前身頃のように中心線に縞を通す必要はありませんし、
私共の技術標語に「パンツはなるべくタテ(縦)にホンジ(本地)を通せ」
というのがあるように、パンツの外側の縫い目(タテ)に生地の縦地の目
(ホンジ)を通すのが通例なのです。
外側の縫い目に地の目を通すと、後身頃の中心線と内側の縫目は少し斜め
になりますが、その方がやや伸び易くなるので履き心地は良くなります。
これは縦縞の出方を考えても効果的で、後身頃の中心線や内側の線はあまり
目立ちませんが、外の縫い目近くに縦の縞が通っていれば、足が真っ直ぐに
綺麗に見える効果があります。

ここ3回にわたり縦縞の裁断について話して来ました。ごく一般的に見かけ
る細い縞の生地の場合は、今回迄の「縦縞を通す箇所」に注意すれば良いの
ですが、太目の線で間隔の広い縞となると…気を付けなければならない点が
別に出て来ます。

写真のような縞は生地の状態でもかなりインパクトがありますが、この手
の柄を選ばれる場合、スリーピースの事が多いので縞の出方に気を付けない
とスッキリ見えません。
特に気を付けたいのは、ジャケットの釦を止めた時にベストの縞がジャケ
ットと同じ位置に通っているか…という事です。私はこのような難しい縞柄
の場合は、まずベストの縞の位置を先に決めておいてからジャケットをそれ
に合わせて裁つようにしています。
ベストはジャケットとは違い釦が縦に4~5個並ぶ訳ですから、ジャケット
よりも前の直線の距離が長くなります。また釦を外して着る事はありません
から、ベストの縞の位置が全てに影響してきます。
まず縞をどこに通すか…ですが、ベストもジャケットも端のぎりぎりの所
に縞が来ないようにします。端に縞があるのが悪いという訳ではありません
が、あまりぎりぎりで縞が欠けてしまうような事は避けなければなりません。
また人間の体には厚みがありますから、体にくっついているベストはその
影響を受け易く、前の合わせの所は少し膨らむ事も考えられますので、縞の
先に地色の布が少し出るようにします。この写真の縞の間隔は2cmですから、
縞から3mm位を端にしてベストを裁ち、それに合わせてジャケットも裁てば
綺麗に揃います。
細い間隔の縞ですと生地を多目に取る必要はありませんが、写真の生地の
ような場合は、大体1割増し位多目に生地を取るようにしています。また格子
柄や変わった柄の場合も大目に生地を準備するようにしています。
その生地の余裕が精神的に影響するのか…?はわかりませんが、落ち着い
て裁断をする事ができ、結果的に綺麗な服に仕上がるような気がするのです。