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#236.仕事の勉強の話 その二十一 ~チョッキ②~

Posted by KINN Tailor on 29.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 前身頃が形になったところで後身頃を作りにかかります。

 普通チョッキの後身は裏地で作りますから、裏地を2枚裁ち合わせるので
すが、当時私の店では同じ裏地を使うのでなく、内側に来る裏地は特注した
を使っていました。「#16.裏地」でもお話したのですが…当時は絹の裏地
を使う事が多かったのですが、絹は弱いので、ジャケットの袖裏、パンツの
腰裏、そしてチョッキの裏には綿とレーヨンの混紡の布地を使いました。
 この裏地は縞柄でしたが、私の店専用の柄でしたので、裏地を見れば何処
で作ったのかがすぐに判る…と言われていました。

混紡の裏地**
混紡の裏地

 この裏地は1960年頃迄しか作る事ができませんでした。何故かと言うと
キュプラ地が登場した事によって皆それを使うようになってしまい、わざ
わざ私の店だけのために作るのは難しいという事になってしまったのです。
 そこでキュプラで同じ柄の物を作って貰えないか頼んでみたのですが、
の太さが違う
ので同じような縞柄にはならないという事と、発注する単位
とても多くなってしまうため止むなく諦めました。その後暫くは袖裏用に売
られていた薄いクリーム色のキュプラを使っていたのですが、徐々にジャケ
ットの裏地と同じ物で統一
するようになりました。

 さて、チョッキの後身頃に話を戻しますと・・・後身を裁ち合わせた後は
ダーツを取り、アームホールと裾をミシンで縫って返すのですが、アームホ
ールは返した時に内側になる裏地が少し小さくなるようにしなければならな
いので、その分ずらして重ねるのが意外と難しく、苦労した覚えがあります。
ずらす量は1~2mmなのですが、この"わずかな量"というのが難しかった訳
です。
 後身を縫って表に返した時に内側から見てみると、内側の裏地がクリーム
色で、そこから淵を取るように表側の裏地が見える訳です。裏地は基本的に
濃い色が多かったので、同じ幅で綺麗に見えないととても目立ちましたし、
左右同じように見えないとおかしいものですから、かなり神経を使いました。

 このようにして後身ができると、次は脇入れになります。ここでまた一寸
した事なのですが…私の店独特の縫い方を勉強する事になりました。
 一般的な脇入れは、後身の中に前身を差し込んでミシンで縫って返すやり
方です。

チョッキ イラ1**

 私の店の場合は・・・前身の表側と後身の背中側を重ねて、重なった所を
ミシンで縫う
のですが、その際後身側は背中側の布だけを縫います。縫った
所を開いて、前身の端を後身の内側に差し込み、後身の裏地をかぶせて手で
まつって止めます。

チョッキ イラ2**

 つまり後身の脇が袋状になっているので、片側だけを縫い、もう一方で
むようにしてまつる
のです。私はこれを習った時に、ミシンで一度に縫うの
が難しいからこういうやり方をしているのかな?…と思ったのですが、そう
ではなく私の店で使っていた裏地(綿とレーヨン)と他の裏地は伸縮の具合
が違う
ので、このような仕上げをしているという事でした。
 ただ一般的な方法では、余程キッチリ合わせていないとずれそうですし、
チョッキの脇の下の所は空いているので、そこまで一緒に縫ってしまう…と
いうのが私にはどうにも抵抗があったので、うちのやり方で助かったとも言
えます。
 裏地がキュプラになった今でも、勿論このうち流のやり方を通しています。

チョッキ イラ3**


  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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