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#227.仕事の勉強の思い出 その十三 ~襟付け①~

Posted by KINN Tailor on 20.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 肩入れが終わると、服をボディに着せる事ができます。作った服をボディ
に掛けてみて肩先が前に出れば、肩入れは成功した(前肩になっている)事
になります。

 襟の裁断の仕方は…身頃を使って長さを計り、芯を作ります。その裁断の
仕方を職人さんに説明して貰ったところ、襟の長さは「身頃から計った長さ
で良い」との事でした。そして「襟を付ける時に、襟ミツの所をゆっくり目
に付けて(5mm位)、肩の縫い目から先を短めに付けないと肩が浮いてし
まうよ」
と言われました。

襟付け**

 早速襟を裁断して付けてみたところ、父がその服を着てみて「とても綺麗
に付いてるけど、何か少しキツい気がする」と言うのです。襟の仕事の勉強
をしていた頃は、洋服の勉強を始めてから4~5年経っていましたので、父は
60歳位になっていました。年齢のせいか…首周りの感触について、それまで
よりも余計に気になり出していたようで、丁度自分で襟の作り方を研究して
いた頃でした。
 その事があるまでは、襟というのはぴったりフィットしているのが良いと
思っていましたし、外国の雑誌を見た時に、有名な俳優さんが着ている服の
襟が首から少し離れている・・・つまり浮いているのを見て、これは一種の
流行りなのか?…それとも作り手が下手なのかな?…と、思ってみたりした
ものです。
 父によると「首から離れているのは良くないけれど、ピッタリ付き過ぎて
いるのは感心しない
ね。襟が付き過ぎていると肩が凝るよ。私は襟が紙一重
位浮いているのが良い
と思っているけど、その加減はなかなか難しいよ」と
いう事でした。
 つまり父の考えとしては、身頃より襟の方を少し長くするのが良いだろう
…という事です。そこで改めて外国の裁断書の襟の所をよく読んでみたら、
確かに襟を少し長く裁断するようになっていました。製図の説明がかなり複
雑なので、最初読んだ時は理解し切れていなかったようです。
 早速そのやり方で襟を作ってみると・・・襟が首から離れてしまいました。
日本人と外国人の体型の違いかな?…とも思いましたが、もしかしたら付け
方にコツ
があるのかも知れない…と思い、ゆとりを持たせる箇所を色々と変
えてみました。

 かなりの時間がかかりましたが、肩の縫目にあたる所にゆとりを持たせる
と何となく上手くい…という事がわかりました。父に試して貰うと「この襟
は楽でいいね!」と言ってくれました。
 この時の襟はまだまだ研究が足りない物の筈ですが、今思えば、父の「紙
一重の浮き」
という話がなければ、私の服も今とは一寸変わった物になって
いた事でしょう。

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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