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#198.父の生地見本 その壱
今回は、昔父が作った生地見本の中から、今では滅多に見られない物を何
点かご紹介したいと思います。
「生地見本」と云っても、お客様に見せるための物ではありません。当時は
出入りの生地屋さんが見本を持って来て、その中から生地を選び、1着分ずつ
仕入れたものです。それをお客様にお見せしてご注文を頂く訳です。
そして裁断をした後の残った生地の内、気に入った物を記念として見本に
していました。
私共では生地は割とたっぷり仕入れていましたので、かなり大きな見本が
残っています。そして父の字で書き込みをしてあるのが大変懐かしく・・・
当時を思い出させます。
今回は、父が好きだったツィードを選んでみました。
まず最初は、ツープライの糸で織ったスコッチ(Scotch)のオーバーコー
ティングです(ツープライは通常縦横1本ずつの糸で織るところを2本ずつで
織った物。フォープライまである)。

スコッチ(Scotch)
驚くのはその目方です。何と…32~34オンス!と書いてあります。
ご存知のように生地は厚さを重さで表示します。ヤード/ポンド法の時代
(つまり英国物が主流だった頃)は1平方ヤードの重さを表示していました
が、現在では1平方メートルの重さをグラムで表示する場合が多いようです。
この見本の頃は冬物が15~16オンス(450g)、合い物が12~14オンス
(350g)、夏物が10オンス(280g)位でしたが、今ではずっと軽くなって
冬物でも300~350gぐらいしかありません。
さて先程の生地ですが…32~34オンスですからおよそ950g位ある訳で、
オーバーを作るためには1平方ヤードの5.5倍の生地が必要ですから5kg位に
なります。昔はこんなに厚く重いオーバーを着たのか!とビックリしますね。
次はホームスパンです。(Homespun)
ホームスパンは手紡ぎ、手織りで「これぞホームスパン」という印象です。

ホームスパン(Homespun)
「ホームスパン」と呼ばれている生地の中には機械織りの物もあるようで、
本当に手で織った物を、特にジュニュインホームスパン(Genuine Home
spun)と言う必要があるようです。
この生地も8.5~9オンスありますから、主にオーバー用として使ったのだ
と思いますが、先程の物に比べればずっと軽く、手織りならではのふわっと
した手触りが魅力です。
続いてはハリスツィード(Harris Tweed)です。
今やハリスツィードは日本でも大人気で、そのマーク(地球の上に十字)
も有名ですが、(この生地に書き込まれた父の説明によると…)生地の裏側
に5ヤード毎にマークのスタンプが押されているそうです。確かにこの見本
の裏側にもスタンプがありますね。

ハリスツィード(Harris Tweed): 表

ハリスツィード(Harris Tweed):裏
この生地が珍しいと思うのは、100%バージンウールで織ってあるから
です。バージンウール(Virgin Wool)というのは、乳離れした直後の子羊
から刈った毛の事で、その羊の生涯で一度しか取れない貴重な毛なのです。
一番最初に取れるのがバージンウール、そして生後7ヶ月までの羊の毛を
ラムズウール(Lamb’s Wool)、それから2歳までの毛をイヤリング(Year-
ling)と呼びます。
1着分の生地を織るのに子羊が4頭位必要だそうですから、1反織ると
すると、同じ時期に生まれた羊が相当数いなければならない事になります。
この生地はバージンウールと言ってもハリスツィードですから、ふわっ
ふわした感じではありません。ハリスツィードの中では柔らかい感触です。
では次回、この続きを・・・
点かご紹介したいと思います。
「生地見本」と云っても、お客様に見せるための物ではありません。当時は
出入りの生地屋さんが見本を持って来て、その中から生地を選び、1着分ずつ
仕入れたものです。それをお客様にお見せしてご注文を頂く訳です。
そして裁断をした後の残った生地の内、気に入った物を記念として見本に
していました。
私共では生地は割とたっぷり仕入れていましたので、かなり大きな見本が
残っています。そして父の字で書き込みをしてあるのが大変懐かしく・・・
当時を思い出させます。
今回は、父が好きだったツィードを選んでみました。
まず最初は、ツープライの糸で織ったスコッチ(Scotch)のオーバーコー
ティングです(ツープライは通常縦横1本ずつの糸で織るところを2本ずつで
織った物。フォープライまである)。

スコッチ(Scotch)
驚くのはその目方です。何と…32~34オンス!と書いてあります。
ご存知のように生地は厚さを重さで表示します。ヤード/ポンド法の時代
(つまり英国物が主流だった頃)は1平方ヤードの重さを表示していました
が、現在では1平方メートルの重さをグラムで表示する場合が多いようです。
この見本の頃は冬物が15~16オンス(450g)、合い物が12~14オンス
(350g)、夏物が10オンス(280g)位でしたが、今ではずっと軽くなって
冬物でも300~350gぐらいしかありません。
さて先程の生地ですが…32~34オンスですからおよそ950g位ある訳で、
オーバーを作るためには1平方ヤードの5.5倍の生地が必要ですから5kg位に
なります。昔はこんなに厚く重いオーバーを着たのか!とビックリしますね。
次はホームスパンです。(Homespun)
ホームスパンは手紡ぎ、手織りで「これぞホームスパン」という印象です。

ホームスパン(Homespun)
「ホームスパン」と呼ばれている生地の中には機械織りの物もあるようで、
本当に手で織った物を、特にジュニュインホームスパン(Genuine Home
spun)と言う必要があるようです。
この生地も8.5~9オンスありますから、主にオーバー用として使ったのだ
と思いますが、先程の物に比べればずっと軽く、手織りならではのふわっと
した手触りが魅力です。
続いてはハリスツィード(Harris Tweed)です。
今やハリスツィードは日本でも大人気で、そのマーク(地球の上に十字)
も有名ですが、(この生地に書き込まれた父の説明によると…)生地の裏側
に5ヤード毎にマークのスタンプが押されているそうです。確かにこの見本
の裏側にもスタンプがありますね。

ハリスツィード(Harris Tweed): 表

ハリスツィード(Harris Tweed):裏
この生地が珍しいと思うのは、100%バージンウールで織ってあるから
です。バージンウール(Virgin Wool)というのは、乳離れした直後の子羊
から刈った毛の事で、その羊の生涯で一度しか取れない貴重な毛なのです。
一番最初に取れるのがバージンウール、そして生後7ヶ月までの羊の毛を
ラムズウール(Lamb’s Wool)、それから2歳までの毛をイヤリング(Year-
ling)と呼びます。
1着分の生地を織るのに子羊が4頭位必要だそうですから、1反織ると
すると、同じ時期に生まれた羊が相当数いなければならない事になります。
この生地はバージンウールと言ってもハリスツィードですから、ふわっ
ふわした感じではありません。ハリスツィードの中では柔らかい感触です。
では次回、この続きを・・・