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#185.絹の話 その壱

Posted by KINN Tailor on 30.2014 裏地の話   0 comments   0 trackback
 先日、群馬の「富岡製糸場」が世界文化遺産に登録された…という、誠に
素晴らしいニュースが飛び込んできました。

 絹と言うとどうしても和服のイメージが強いのですが、昔は洋服の裏地
絹を使っていましたから、洋服屋とも深い関わりがあります。
 絹の裏地はまず第一に非常に美しく、そして軽いのが特長です。表地と同
じように動物性の繊維ですから、馴染みがとても良いのです。糸が細いため
やや弱い事を除けば正に理想的な裏地だったと言えます。
 現在国内で養蚕をしているのは、ごく限られた所だけになってしまいまし
たが、私が子供の頃はとても身近な存在でした。

 以前ブログにも書きましたが、夏になると父が避暑に行かせてくれました。
御殿場の家を建てるまでは、農家の離れ(その家の人達は"新屋"と呼んでい
ました)を借りて過ごしましたが、本家の屋根裏部屋には養蚕をする場所が
作られていて、沢山のを飼っていました。これはごく一般的な事で、どこ
の家でも蚕を飼っていたのです。
 戦時中は御殿場に疎開していたため、農家の人手が足りない事もあって、
よく手伝いに行ったものです。田植えから稲刈りまでできる事は何でもしま
したが、その中に蚕の世話も含まれていました。
 蚕には桑の葉をあげるだけでなく、桑の葉を播いた後に蚕を両手で掬って
混ぜる
?…ような事をします。これは蚕が同じ場所に居続けないようにする
ためにやっていたのですが、棚は全部で30位ありましたから結構な仕事量
でした。

蚕の絵**

 余談ですが…この蚕の世話を一緒にやった人達の中に、東山千栄子さんが
居ました。小津安二郎監督の映画には常連のように出ていた女優さんですが、
近くに住んでいたそうで、遊びに来ては手伝いをしていたようです。近くに
「東山」という場所があって、そこの出身なので芸名が"東山千栄子"さんに
なったそうです。
 さて、話を戻しまして・・・蚕は大体40日位で繭になりますが、農家で
春と夏の2回(3回の所もある)蚕を育てます。蚕は冬は育ちませんので、
農業が忙しい時期に養蚕もしなければならなかった訳で、大変だったと思い
ます。
 何度か繭をもらって、茹でて糸を引いた事があります。あんなに小さな繭
から長い糸が引けるのに驚いたものです。昔はこの茹でた蚕も食べたそうで、
農家としては大切なタンパク源だったのだそうです。
 今の繭は、品種改良によって糸の太さ繭の大きさ等も変える事ができる
そうで、それによって桑の種類も変えているのだとか・・・。

 洋服の生地で言えば、羊の毛の太さもコントロールできるようですから、
技術の進歩は凄い!と感心しながら、同時に昔の種族(古代種?)も守って
もらいたいものだなぁ…などと、つい都合の良い事を考えてしまうものです。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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