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#152. カシミヤのオーバーコート

Posted by KINN Tailor on 28.2013 オーバーコートの話   0 comments   0 trackback
 日本で過ごしやすい季節とされているのは、やはり春と秋ですが、温暖化
の影響からなのか春と秋がとても短い・・・いや殆どなくなってしまったよ
うな気さえします。従来ならこの10月は最も秋らしさが感じられ、ちょっと
どこかに出かけてみたくなるものですが、今年は大変残念な事に台風の月に
なってしまいました。

 そんな天候の影響で肌寒い日が多い事もあり、今年はオーバーコートのご
注文が例年よりも多くなっています。
 私共が頂戴するオーダーは殆どがロングのオーバーコートになりますが、
先日、久し振りにフロックオーバーコートのご注文を頂きました。
 フロックオーバーコートは非常にクラシカルで重厚な印象のコートです。
これを少し変形させた物にパルトーがあります。いずれも特に礼装用という
訳ではなく"礼装のような"デザインなので、カジュアルに着るには少々敷居
が高くなるのか…ご注文がそれ程多くはないのですが、私としてはやはり懐
かしいというか…こういった伝統的なデザインのご注文を頂くと嬉しくなり
ます。

カシミヤのコートイラスト**

 さてオーバーの素材についてですが、保温性の良さや軽さの面からやはり
カシミヤを選ばれる方が多いようです。
 ここでカシミヤの話を少ししますと、カシミヤ(Cashmere)はその名前
の由来であるカシミール地方の物が有名で、特に寒い高地で取れる物が上等
とされています。
 近年ではモンゴル産のカシミヤで、彼の国の英雄チンギス・カンの名前を
付けたカーンカシミヤも上質な生地として知られています。
 また、ロシアとヨーロッパの間にキルギス地方がありますが、ここに生息
するカシミヤと羊が自然交配して生まれた動物がいます。希少なため、この
地方以外には出回らなかったのですが、数年前からヨーロッパの大手毛織物
会社が製品を作り、キルギスホワイトという名前で扱うようになりました。
 この他にもごく上等なカシミヤの長い毛で織られたスパンカシミヤなども
あります。キルギスホワイトやスパンカシミヤはコート向きではありません
が、高級なスーツ用の生地になります。
 また毛の加工をしていくと最後にクズが残ります。それを化繊糸に巻き付
けて織ると、比較的安価なカシミヤ生地が誕生するのですが、カシミヤの良
いところは、この方法でもカシミヤの風合いがちゃんと出る…という事です。

 カシミヤは全世界で愛されていますが、特に日本人が好むようで、カシミ
ヤの価格を上げてしまったのは日本人…と言われています。また面白い事に
英国ではあまり使われていないのが現状です。
 やはり自国で取れるウール、シェトランドツィード、ハリスツィードなど
が人気のようです。
 最後に…カシミヤは羊ではなく山羊の毛という事をご存知でしたか?
 念のため・・・
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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