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#130.扱いの難しい生地

Posted by KINN Tailor on 27.2013 生地の話   0 comments   0 trackback
 今回は生地の性質によって、裁断が難しい物についてお話しします。

 まずは、ホツレやすい生地…というのがあります。洋服の場合は和服と違
って、カーブやバイヤスにカットする箇所が出てきます。また裁断した生地
仮縫いの為に組立てたり、ほどいたりしますし、その間にアイロン操作で
生地を伸ばしたりもする訳です。
 そうするとホツレやすい生地は、本当にどんどんホツレてきます。ですか
ら、初めから縫込みを沢山つけておきませんと、仕事を進めて行く内に下手
をすると大きさが足りなくなってしまう!…というようなこ事も起こります。
 大袈裟かと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、ジャケットのア
ームホールなどは通常縫込みを多い所で2㎝位、少ない所は縫い代分の7㎜
しか付けませんので、これがホツレてしまうと大問題な訳です。
 ですからこの場合は、縫い込みを多めに付けるだけでなく、仕事に入る前
ホツレ止めをしておかなければなりません。

 次に難しいのは、表面が滑りやすい生地です。ご存知の通り、服は左右で
ひと組ですから、裁断をする際には生地の表側が内側に来るように二つ折に
してからチョークを引き、2枚重ねて裁断します。滑りやすい生地の場合、鋏
で切る時に、上下の生地がずれてしまう事があります。これは、材質だけで
なくカットする人の腕前にもよります。
 服作りの経験が浅い人にとって、一番緊張するのがこのカットをする時
ようです。
 どうしても、馴れない内は大きな裁断鋏の長さを生かせずに、一回に切る
長さが短めになり、またスピードもないので、表面がツルツルしている布だ
と2枚がおとなしく重なっていてくれないので、余計にずれてしまう訳です。
 生地が滑りやすい上に柄がある場合などは、ずれてもらっては困りますの
で、最初に1枚(片側)だけ裁ってから、それを生地に載せてもう一方を切
るのですが、カットするのに結構な時間がかかったりします。

 もう一種類扱いにくい生地としては、とても柔らかい生地がそれにあたり
ます。
 婦人物のシルクなどを思い浮かべて頂くとわかりやすいと思います。これ
は非常に厄介で、2枚重ねて置いただけで上下がずれてしまう事さえあります。
 やっと柄を合わせても、型紙をあててチョークを引くと、チョークを引く
圧力
で、引いた方向に一緒に布がずれてしまう(つれてしまう)のです。
 上手くいかない場合はチョークを引くことを諦めて、型紙を置いた後に
で躾
を打ってしまいます。この手の生地は切躾の糸もどんどん抜けてしまう
事が多いので、糸は長めに切ります。この糸を先に入れる作業は、チョーク
のように形を写すというより大体の形のポイントに糸を入れて、2枚の生地
をずれなくする
のが目的です。
 ですから、カットした後にまた型紙をあてて微調整しなければなりません。
柔らかい生地の場合は、切躾をする時の生地の間に鋏を入れて糸を切る時も、
生地が”たれて”来て、糸だけでなく生地まで切ってしまう恐れもあります。
 ですから、色々な意味での器用さが要求されるかも知れません。

     *    *    *    *    *

 Tweed Mania (ツイード・マニア)の準備が整いました。
 詳しくは、WebサイトのLinkをご覧下さい。

   
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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