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#126.柄合わせ 縞 〜パンツ編〜

Posted by KINN Tailor on 29.2013 柄合わせの話   3 comments   0 trackback
 今回はパンツの縞の柄合わせについてお話しましょう。
 パンツの場合、前身頃は中心線に地の目を通しますから、縞は真直ぐに通
ります。しかし後身頃は後の中心(お尻の所)をバイヤスにするために、縞
は真直ぐにはなりません。
 お尻の縫い目は左右対称にしますが、前身と後身の横の縫い目の柄という
のはどうしてもずれてしまいます。更に普通のパンツは裾に行くにつれて細
くなりますから、横から見た柄というのは合わないものなのです。
 私の場合は、後身頃の中心線に縞を持って来る所を図のように少しずらし
ます。これで縞が合う事はありませんが、見た目ができるだけ良くなるよう
な工夫です。
イラスト1番目**
 またジャケットと同様にパンツも”くせ取り”をしますが、くせ取りをする
と縞が曲がって見えるのではないか?…と思われる方もいらっしゃると思い
ます。
 確かに縞は曲がりますが、そもそもくせ取りは、身体の曲がった線に合わ
せて取るものですので、実際にパンツを履いてみると、くせ取りをした線が
身体にフィットする
ため真直ぐに見え、横の縫い目の縞の切れる具合も変わ
って来ます。
 文章ですとややこしくなりますね。図にするとこんな感じに見えます。
イラスト2番目**
 パンツの横の縫い目の柄合わせをとても熱心にする方もいらっしゃるよう
ですが、それが第一になってしまってはいけませんし、どこもかしこも柄が
ぴったり合っているのも、逆に妙な感じがするのではないでしょうか。

 随分前になりますが、ある服飾評論家の方がイタリアから持って帰られた
パンツを服飾誌に紹介したところ、ちょっとした騒ぎに発展した事がありま
す。そのパンツはお尻の縫い目の所に真直ぐに縞が通っていたのです。
 反対派の大部分の意見は「お尻の縫い目をバイヤスに裁たなくては伸びな
いからダメだ」というもの。賛成派の意見としては「バイヤスにしなくても
決して履きにくい訳ではない。日本の技術者はこんなパンツを作れないから
文句を言っているだけだ」というものでした。
 一時は結構な騒ぎでしたが、いつの間にか収まったようで、どちらがどう
なったかは良く知りませんが、私がこの時思ったのは、このイタリアの技術
者の狙いは決してお尻の縫い目を真直ぐにしようとしたのではなく、パンツ
の横の縫い目へ縞を真直ぐに通そうとした
、その結果としてそうなったので
はないか…という事です。
 事実、イギリスの裁断法では古くからそのやり方があり、それが紹介され
ている本自体かなり古い時代の物なので、知っている人があまりいなかった
という事で、あのような騒ぎになったような気がします。
 いずれにせよイタリアでは、”柄合わせ”だけであんな騒ぎになる事はない
のではないかなぁ・・・と思う訳です。
イラスト3番目の**
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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