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#40.オリジナルの小物

Posted by KINN Tailor on 29.2011 アクセサリーの話   2 comments   0 trackback
 パンツのやベストの尾錠…これらはスーツを引き立てる大事な小物です。
昔は、私の店でもこれらをフランスのメーカーに注文し、オリジナルとして
名入りのものを作ってもらっていました。
 今はパンツの前はファスナーですが、当時は釦でしたし、基本的には三つ
揃いのスーツを作られるので、この釦や尾錠が大量に必要で、うちのような
小さな店でもオリジナルの小物の発注をすることができたのです。
 何度か追加注文をしましたが、その内フランスに依頼するのが面倒になり、
日本のメーカーへ発注してみました。
 仕上がってきた釦を見てみると、見本(フランスのもの)と微妙に違うの
です。写真の上がフランス製、下が日本製のパンツの前に使う釦です。
          釦**
         上)フランス製   下)日本製
         ※それぞれ「KINN」の文字が彫ってある

 写真だと判りにくいかも知れませんが、フランスの方が何となく"すべっこ
く"(ツルツルしている)、サイズも僅かに小さいのです。そして真ん中の糸を通
す穴はフランス製の方が4つの穴が小さくて中央に寄っています

 釦を付ける際は、ツレデという糸を各穴に2回ずつ通します。糸は2本どり
ですから、1つの穴に4本かかることになります。そして、糸をかけた後で、
釦の裏側に出た糸を糸でキリキリ巻いて柱を作るのですが、穴が中央に寄っ
ている方が柱が細くなり綺麗に見える
のです。
 日本のメーカーに問い合わせてみたところ、4つの穴をこれ以上近づけると
釦が割れてしまう…と言われました。
 今でこそ"技術は日本"というイメージですが、当時はちょっと違いました。
「上等舶来」という言葉があったのを思い出します。
       尾錠**
        鋳物製の尾錠
        ※「KINN」の文字の文字を施してある

 尾錠に関しては当時日本で作れる所がなく、やはりフランスに注文をして
いましたが、現在はしていませんので、今のストックがなくなったら終わり
ということになります。
 最近はベストを作られる方が少なくなりましたので、尾錠を使うことも減
りましたが、この尾錠が約80年前に発注したものかと思うと、とても貴重な
ものに思えてきます。
 釦はごく稀に「ファスナーではなく釦で…」という方がいらっしゃいます
ので、その場合は使いますが、これも残り少なくなってきました。
 最初は各色揃えていましたが、やはり黒や濃鼠からなくなってしまい、茶
だの白だのが沢山残っていました。
 ある時「染めてみたらどうだろう?」と思い、染色業者に依頼してみまし
たが、仕上がったものはとても汚らしく、使い物になりませんでした。
 私はこの釦は「アイボリーナット 天然素材」だと思い込んでいましたので、
簡単に染まるだろうとタカを括っていたのですが、なんと!プラスチック
ったのでした。当時は天然素材の方がはるかに安価だった筈です。
 最初に発注したのが100年近く前ですから、その時代すでにプラスチック
を使っていたこと自体が驚きです。フランスは進んでいたのですね。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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