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#251.お直しの話 ~ラグラン~

Posted by KINN Tailor on 19.2015 補正の話   1 comments   0 trackback
 私の塾に「お直し」の仕事に携わっている生徒さんが居るのですが、先日
非常に難しい直しの依頼を受けたという話を聞きました。それは「ラグラン
コートのサイズ直し」
でした。
 ラグランは袖と身頃が繋がっているため、直しの難易度は非常に高くなり
ますが、珍しい直しですので今回紹介したいと思います。

       ☆     ☆     ☆     ☆

ラグラン1直し**
 依頼内容は…
①肩幅を狭くする
②袖を細くする
③身頃を細くする

 …というものです。

★問題点としては…
a.袖を細くする際にマチで調整すると、身頃に付ける所の長さが短くなって
 しまう
b.身頃を細くする際に前身頃の脇で詰めると、袖付けのラインが変わる
c.後身頃は身頃と袖が1枚で裁ってあるので、背縫目線で細くすると袖の長さ
 が短くなってしまうが、脇で詰めると今度は袖のクリが変わってしまう。

(かなり難題である事がわかります)
※今回は生徒さんから相談を受けただけで実物を見ていませんので、細かい
 部分は推察に過ぎませんが、私がするであろう直しを以下に説明します。

ラグラン直し2**

 自分の体形の変化だけでなく、昔買ったけれども最近はあまり着ていない
服などを直して着るのは大変良い事ではありますが、直す内容によって高度
な技術が必要になります。
 お直しの仕事をしている方達の話を聞くと、お客様対応をする人が、直ら
ない物でも受けてしまう
場合が多く、深刻な問題のようです。
 実際「直せると思ったら縫い込みが少な過ぎて直せなかった」という事は
少なくありませんし、失礼な言い方かも知れませんが受付の方が直しの知識
があまりない場合、直す人間が大変苦労する羽目に陥る訳です。
 私は、直す服に多めに生地が付いていれば大体の直しをする事はできる
考えていますが、既に仕上がってしまっている服を解いて組み立て直す…と
いうのは一から作るよりも大変な事なのです。それでも、箪笥の肥しになり
かけていた服が蘇って、また愛用して貰えるようになるとすれば、少々大掛
かりでも直したい!と思うのです。
 そして難しい直しをする事は、職人にとっても貴重な経験になりますし、
腕を磨く良い材料にもなる訳です。

      *   *   *   *   *   *

 数回に渡り"お直し"についてお話してきましたが、また珍しいお直しなど
がありましたら、是非ご紹介頂きたいと思います。
 お直し以外でも、技術的な疑問や質問などへは可能な限りお答えしようと
思っていますので、お気軽にご連絡下さい。

#250.お直しの話 ~パンツを細くする②~

Posted by KINN Tailor on 12.2015 補正の話   0 comments   0 trackback
 今回は、少々大掛かりなパンツを細くするお直しのやり方を解説します。

 前回は胴周りを細くする際に尻縫目を使いましたが、詰める量が多くなる
後身の方が小さくなって動きににくくなります。これは後ろが小さくなる
事もありますが、(前回説明したように)ワタリが大きくなり過ぎないよう
に股下部分も小さくする必要があるため、尻縫目の長さが短くなり動くため
の余裕がなくなる
…という事も原因なのです。
 また後ろにはポケットがありますから、あまり詰めるとポケットが寄って
しまい見た目が宜しくないですし、使い勝手も悪くなってしまいます。
 そこで腰回りのサイズを大きく詰める場合は尻縫目だけでなく、脇縫目か
小股
でも調整する必要が出てきます。
 ではどちらで直すのが良いかと言うと、脇縫目はポケットがありますから、
これを作り直すのはかなり大掛かりな事になります。そこで私は小股を直す
事の方が多いのです。
 小股のところはファスナーがありますので、ファスナー、前タテ、天狗を
付け直さなければなりませんが、ポケットを作り直すよりは遥かに楽だと思
われます。そして、前身の内側が狭くなる方がパンツの下がりも綺麗になり
ますので、直しとしては都合が良い訳です。股下からは前回と同様に、外側
と内側の縫目を利用
してサイズを詰めます。

 それでは、その方法を説明しましょう。

イラスト1修正**

 前回も触れましたが、パンツを細くした時問題になる箇所が "ふくらはぎ"
です。ふくらはぎが張っている方の場合はどうしても影響が出易くなります
が、どうしても細くしたい場合は、アイロンワークである程度解決する事が
できます。
 イラストのように、外側の縫目を細くする際にふくらはぎの部分を残して
生地をカット
し、アイロンで追い込みます。そうすると、ふくらはぎの所に
"ゆとり"ができ、生地が引っ張られずに綺麗に落ちる訳です。
イラスト2**


 先日塾の生徒さんが、ちょうどパンツを細くするお直しをしたそうです。
ワタリが大きくならないように股下も調整したそうなのですが、お客様から
「お尻がつっかえる」と言われたそうです。
 それは、カーブを直す時に深さが足りなかったためにパンツが浅くなって
しまったのが原因と思われます。尻縫目のカーブを描く時は注意が必要です。
少し繰り下げる事を忘れないようにして下さい。
イラスト3**のコピー

#249.お直しの話 ~パンツを細くする①~

Posted by KINN Tailor on 05.2015 補正の話   0 comments   0 trackback
 お直しをする場合、サイズを大きくするのと小さくするのとで、どちらが
難しいかと言うと…小さくする方です。
 1cm程度の直しであれば問題ありませんが、それ以上になると色々と問題
が起きてきます。ジャケットの場合は脇を多く詰めるとアームホールの形が
変わってしまいますし、パンツの場合は直したくてもポケットやファスナー
などの関係で簡単に直せない事が多いのです。
 ただここ数年は細身のパンツが流行っていましたので、細くしたいという
要望が沢山ありましたし、既製服で丁度合うサイズがない場合は大きめの物
を買って細く直す…という事が多いようですから、今回はパンツをバランス
良く綺麗に補正する方法
をご紹介したいと思います。

 まず最初は比較的簡単に直せる方法です。
 ご存じの通りパンツは前身に比べ後身の方が大きくできています。これは
人間の足が前に動く事が多く、その動きを容易くするためです。ですから直
す時も、前身よりも後身が大きくなるように直さないといけない訳です。

 まず腰と尻は後ろの縫い目を利用します。この時に後ろの縫目線を変える
カーブが変わります(開いた状態になる)ので、それに合わせて股下のラ
インも変える
必要があります。これは後ろの縫い目線を詰めたために広くなったワ
タリを調整する
ためにします。

 次に股から下を細くするには、外側と内側の縫い目を利用します。膝、裾
に詰めたい寸法の1/4をマークし、外側の縫い目はポケットの下から、内側
の縫い目は股下からスタートしてマークと綺麗に繋がるようなラインを描き
ます。一連の流れをイラストで説明しましょう。

パンツ修正1**

パンツ修正2**

 このお直しで注意したい点は、後ろ縫い目線を変えたら股下も調整する
という事です。これを忘れるとワタリが大きすぎて、前後のバランスの悪い
パンツになってしまいます。
 また細いパンツで問題になるのは、"ふくらはぎ"です。ふくらはぎは局部
的に膨らんでいてその寸法が掴みにくく、細いパンツだとふくらはぎが生地
を外側に引っ張るため
に足がまっすぐに見えなくなります。
 膝から下の細さを決める前に、ふくらはぎの太さをよく確認する事をお勧
めします。

 次回は、少し大がかりなお直しの話をしたいと思います。

#248.お直しの話 ~ジャケット ゴージの直し~

Posted by KINN Tailor on 28.2015 補正の話   0 comments   0 trackback
 このブログの読者の方から、"お直し"についての質問を頂きましたので、
今回はその内容をお伝えしようと思います。

■ご質問は・・・
ジャケットの修理についての質問なのですが、襟のゴージラインの位置を
上げる
(上がったように見せる)のは、可能でしょうか?』
『ずっと昔に買ったジャケットを直しに出すかどうか考えているのですが、
ジャケットは所謂デザイナーズブランドの製品で、ゆったりとした作りです。
当方は「ガリガリ」な位に痩せています』
『ゆったり目で昔の物なので、ゴージラインが低く見えてしまいます。これ
を直す
事はできるでしょうか?』
 ・・・という内容でした。

 このお直しの場合は、ジャケットのサイズを小さくしてゴージを上げる
になります。襟や袖を一度外さなければなりませんので、少し大掛かりには
なりますが、勿論直しは可能です。
 その手順は次のようにします。

①襟と袖を外す
②肩の縫目をほどく
③この方の体形に合わせて身頃を詰める
(背縫目でも少し詰めて、襟ミツを小さくする)

説明図1**

④肩の縫目を前後共削る(この削る寸法でゴージの高さが決まる)
説明図2**

⑤襟を首周りに合わせて短くして付け直す
⑥肩を削った寸法に合わせてアームホールを下げ、脇縫目を詰めた分、背幅、
 胸幅を調整する
⑦身頃の詰め方によっては袖も多少細くする必要がある

説明図3**


 このお直しで特に注意して頂きたい所は、アームホールと袖です。アーム
ホールは直す前よりも小さくなる可能性があります。またデザインによって
は小さくした方が全体のバランスが良くなる場合もあります(拝見していま
せんが、昔のデザインは肩がとても広いため)。
 アームホールを小さくすると袖山も削りたくなるかも知れませんが、袖山
は削ってはいけません
。⑦のように幅を狭くするのは構いませんが、袖山を
削ると高さが足りなくなってしまいますので充分気をつけて下さい。

    *   *   *   *   *   *

 今後もお直しに関する質問をお受けします。
 基本的な事でも、日頃から「?」と思っている事でも結構です。
 メールにてご質問下さい。

#246.お直しの話 ~年齢と体形~

Posted by KINN Tailor on 14.2015 補正の話   0 comments   0 trackback
 皆さんよくご存じの通り、体形は年齢に応じて少しずつ変化していきます。

 スーツを着用される年齢を考えてみますと、一番安定しているのが40代
言えます。そして50代になると少しずつ変化が出てきます。
 若い頃は胸周りに筋肉が付いてているのですが、年を取るに従って筋肉が
少なくなり
、今度はお腹周りに余分な肉が付いてきます。若い頃に履いてい
たパンツのサイズと50代になってからのサイズを比べてみると納得できると
思います。
 またお客様はよく「サイズを計ってみると昔と変わらないのに、服がキツ
くなった」と仰います。これはウエストやヒップの位置が変わってきている
という事なのです。ウエストの位置は前に出てヒップは下に下がってしまう
事が多いので、サイズは一緒でも服とは合わなくなった・・・という理屈な
のです。

 では年齢による体形の変化を具体的に説明しましょう。
①上半身が前かがみになる
②上半身が前かがみになると、下半身は下に下がり膝が曲がる
③バランスを取るために手の下がりが前になる

体形の変化**

 このような変化が起きると服にどのような影響が出るかと言いますと・・・
◆ジャケット場合
①背の裾が上に上がったり、身体から離れたりする
②前の裾が左右に開く
④袖の前にシワが出る

 このような場合、私は図のようなやり方でお直しをしています。
直しジャケット**

◆パンツの場合
①お尻の下に横ジワが出る
②お尻のクリがつかえる
③後ろの裾が長くなる

 同様に、私は図のように直します。
パンツ直し**

 お客様が「ジャケットのサイズはいいようだけれど、何となくボタンが掛
けづらく
なった」とか、「このズボンだと歩きづらくなった」と仰る場合は、
上記のような変化が起きている可能性がありますので参考になさって下さい。

        *   *   *   *   *

 大 募 集 !

*お直しに関するご質問があれば、下記アドレスにお気軽にご連絡下さい。
 可能な限りお答えしようと思います。
 Kinn_tailor@w6.dion.ne.jp

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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