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#143.ゴルフのケープ

Posted by KINN Tailor on 26.2013 デザインの話   0 comments   0 trackback
 今年は天候が不順で、体調に影響を受けておられる方もいらっしゃるので
はないかと案じています。
 今日も突然の雷雨があり、びっくりしました。さて急な雷雨というのは、
どのような状況でも嫌なものですが、特にスポーツに興じている時だと一層
困るのではないでしょうか。

 私共のお客様の中にはゴルフをなさる方が多いのですが、プレーの最中の
予期しない雨というのは、皆さん経験されているようです。
 私自身はゴルフをやりませんので、あまり気にしていなかったのですが、
ある時に雨対策の服について相談を受けたことがあり、「雨でもプレーを続
けるのか・・・」と思ったものです。
 お話を伺ってみると、雨用のオーバーパンツとジャケットはあるそうなの
ですが、防水が目的とあってビニール製だそうで、「何しろ、暑くてね!」
という事でした。
 雨が降ると足元はどうしても汚れてしまうので、パンツは既製の物でいい
という事になり、オーバージャケットを作ろう…という事になりました。
 色々お話を伺っているうちに、「ケープはどうか?」というアイデアが出
て来ました。雨が降っていてもプレーをする訳ですから、手が自由に動かな
ければなりませんし、脱ぎ着も簡単な…という事で「ケープ」を思いついた
訳です。
 このお話自体は随分昔の事で、今のように防水加工が施された軽い布が沢
山ある時代ではありませんでしたので、この時は防水性のナイロンを使いま
した。
 かなり長くて大きめのケープを作り、内側の肘の上に腕を通すループを付
けてみました。
 試着をしてみると、これが案外上手くいったようで…「意外に具合がいい
よ」と云われて、一寸嬉しくなりました。
 その後いつ頃までそのケープをお使い頂いていたのかは分かりませんが、
雨の際のプレー時には、お友達の間ではちょっと話題になったようです。

ゴルフのケープイラスト**

 ここ最近のゲリラ豪雨では、とても雨の中でプレーを続ける事などできな
いでしょうが、お客様からご相談を受けて巷にない物を作るのは、楽しみの
一つと云えます

#77.ナポレオンカラーの話

Posted by KINN Tailor on 14.2012 デザインの話   4 comments   0 trackback
 ナポレオンはフランスの皇帝として、また英雄としても名高い人ですが、
ファッションの方でも色々と影響を与えた人物です。

 何しろ私が子供の頃には、「なぜナポレオンは赤いズボン吊りをしていた
か?」という有名な"なぞなぞ" があったくらいで、ナポレオンはいつも赤い
サスペンダーをしていたのです。
 残っている画像では比較的ベストやジャケットを着用ている物が多いので、
今風のクイズならば…「ナポレオンはいつも何色のサスペンダーをしていた
でしょうか?」というお題になっていたかも知れません。
 皆さんもナポレオンと聞くと、あの帽子や独特の襟の形をしたジャケット…
「ナポレオンカラー」を思い出されるのではないでしょうか?

 ナポレオンカラーはラペルとカラーが根元まで別れていて、それぞれ単独
で動くようになっており、上襟(カラー)の襟腰の幅が広く、一度上に上が
ってから折れる…というデザインになっています。
    IMG*
 ちょうど先日、ナポレオンカラーのジャケットを作ってお納めしました。
このお客様は古い時代の服をよくご存知なのですが、かなり拘りのある方で、
その時その時のテーマを決められて、かなり大胆なデザインの服をご注文に
なります。
 今回は「古い時代のナポレオンカラー」ということで、普通は2~3㎝上襟
が上がって折れてくるところを「可能な限り高く!」ということで5~6㎝上
げることにしました。
 ただ「襟腰の折り目をハッキリと決めない(襟腰を高くも低くも出来る)」
というご希望もありましたので、作るのに少々苦労しました。
 襟腰を高くするには芯を硬くすれば良いのですが、それでは折り目がハッキ
リしてしまうので、裁断を工夫して・・・つまり襟腰と襟とのカーブを変えて
調整しました。
 仕上がった服をお召しになって、ご本人は「やっと昔風のナポレオンカラー
ができました」と大層喜んで下さいましたが、どうしてこのような思い切った
デザインの服をご注文されるかというと…英国の著名なテーラーとお知り合い
で、定期的に凝ったデザインの服を着て見せに行くのだそうです。
 そうすると、店の職人さん達も出て来て、その服について色々と会話が弾む
のだそうです。

 こういった楽しみがあれば、その時代やテーマに合わせたデザインの服を作
りたくなるのもうなずけるなぁ…と思いました。
 このお客様の服を作ると、私も一つ技術が増えたような気がします。

#56.ノーフォークジャケットの話

Posted by KINN Tailor on 19.2011 デザインの話   0 comments   0 trackback
 今年は「ハリスツィード」が誕生して100年になる…とのことでツィード
の商品が人気となっています。
 私共のプレタポルテ『Equality』でも、ツィードの生地を使う物がなか
なか評判のようです。
 ツィードというと「カントリーウエア」ということになりますが、中でも
「ノーフォークジャケット」のご注文が多くありました。
 確かに、せっかくツィードでジャケットを作るのだから、ノーフォクの方
が雰囲気が出て良い…とお考えになるのも当然かも知れません。

 ご存知のように、ノーフォークは背中にヒダが取ってあるので、腕の動き
が大変楽になり、スポーツをするためのジャケットとしては大変適している
と言えます。
 昔はゴルフをする時にジャケットを着用してプレーするのが普通でしたの
で、ノーフォークは正に"うってつけ"のジャケットだった訳です。
 さて背中のヒダですが…真ん中に割と大きなハコヒダを取るのが一番よく
見受けられる例です。
 ちょっと変わった例ですと、背中にヒダを何本も取っているものもありま
すし、両脇にヒダを取る物もあります。作る側の立場から言いますと、これ
が一番難しいデザインで、難しいポイントは2つあります。
 まず、両脇のヒダは肩まである長いヒダになりますので(上部は止めてあ
りますが)、袖を動かした後、ヒダが元の通り奇麗に重なるようにしなけれ
ばなりません。
 そして、もう一つはヨークがないということです。他のものは図a~cの
ようにヨークがあり、そこでダーツを取って背中の膨らみを出す補助にして
いますが、これは、それができないのです。ですから、肩のところをイセて
膨らみを出す
のですが、肩先はヒダが重なっていて厚くなっていますから、
これを奇麗にイセる技術が必要になってきます。
ノーフォーク 画**
 近頃はストレッチの生地やニットの生地がとても進歩しましたので、ヒダ
を入れなくても動きやすいのかも知れませんが、背中にヒダのあるジャケッ
トを"遊び着"用に持つというのも悪くないと思います。
 またお客様の中には、ノーフォークをツィードでなく、シルク混などを使
った綺麗な織柄のある生地で作られる方もいらっしゃいます。
 シルクは独特の上品なツヤがありますので、スポーティというよりかなり
お洒落なジャケットになります。
 個人的にはノーフォクジャケットは好きなデザインの一つですので、今年
は色々な生地でお作りすることができ、ちょっと楽しみな年の瀬を迎えられ
そうです。

#44.ニッカボッカーズ

Posted by KINN Tailor on 26.2011 デザインの話   2 comments   0 trackback
 今日は、前回の「尾錠」の際に登場した「ニッカボッカーズ」について
お話ししましょう。
 1930年頃が時代背景のドラマなどを見ると、ゴルフの際に必ず着用され
ているのがニッカボッカーズです。
 当時はゴルフ場の整備が悪く、足場も良くないことから着用することが
多かったようです。
 私も20年位前まではゴルフ用としてよく作らせて頂きましたが、実際に
使用している方に伺いますと、とてもはき心地の良い楽な物のようです。
 もともとはカントリーウエアですから、ゴルフだけでなく登山をなさる
方などもニッカを愛用されていることが多々あります。
 登山用のニッカとゴルフ用のニッカの違いは、「長さ」です。登山用の
場合
は、出来るだけ丈は短めにして膝のすぐ下のところで絞ります。一方
ゴルフ用は、もう少し長めで太めに作ります。
 オーダーをする際に「膝下○○インチ」という表現をしますが、標準の
形は膝下6インチ
(15㎝)、長い物ですと膝下8インチ(20㎝)で仕立て
ます。
 そしてニッカのデザインは、太さと膝の下の膨らみの量で決まります。
スクリーンショット
 図の×印を膝としますと、丈を長く作った分膝のところで紐で縛った時
膨らみが出て長くなります。
 登山では膨らみや長さは邪魔になるので、ゴルフのようにエレガントな
デザインにはしないのでしょう。
 この8インチの物を別名「プラスフォア」と云い、ゴルフの達人が着用
するニッカとされています。理由は、ゴルフのハンディで一番沢山の場合
が4点、つまり「+4」から来ている呼び名だそうです。
(*標準のニッカより2インチ長く、両足で4インチ=+4だから)
 どうやら私共のお客様は達人が多かったようで、この「プラスフォア」
のご注文もよく頂きました。
 これはその達人から伺ったのですが…ラウンドの後にはクラブハウスで
一杯飲むことがよくあったそうで、その際には服を着替えて出席します。
 その服を「19番ホール用」と呼びならわしているのだそうです。
 ・・・・いかにも紳士のスポーツらしく、お洒落な表現ですね。

#013.ポケットの蓋

Posted by KINN Tailor on 21.2011 デザインの話   0 comments   0 trackback
 ジャケットの脇ポケットには「蓋」が付いているものと、そうでないもの
があります。
「蓋」を付けるかどうかは、お客様の好みで決めて差し支えないのですが、
私が習った時は「礼服には蓋を付けず、ややくだけた物には付ける」という
ことでした。
 また別の人からは「蓋は“アマブタ”(雨の蓋)とも呼び、つまり屋外用に
付けるものだ」
とも習いました。
 礼服は屋外では着ないのか?…というとそんなことはなく、スーツを作る
際のひとつの目安ということのようです。
 確かにポケットに蓋の無いものは、有るものに比べておとなしい…という
か、真面目な印象に映るかも知れません。

 では胸ポケットはどうかというと、蓋を付けることも稀にあります。
 これはジャケットの場合のみで「蓋」といっても「飾り蓋」です。つまり、
ポケットの口の所にこの飾り蓋を付けるのです。ハリスツイードなどの生地
でスポーティなデザインの場合にこの作業をします。

 ベストは普通、ポケットに蓋を付けませんが「タタソール(Tattersall)」
という特殊なベストの場合は、下ポケットに「飾り蓋」を付けます。
「タタソール」は1766年創業のロンドン郊外にある馬市場で、有名な騎手
の名前から付いたそうです。
 この市場へ馬主が馬を買いに来る時に着用するのが「タタソール」です。
主に狐狩りなどの時に着るベストなのですが、馬主の証明として馬を買いに
行く時も着用された為に、その市場の名前がベストに付いた訳です。
 柄はガンクラブチェックで、色は比較的白っぽいグレーやベージュの地色
に赤や青の2色の格子柄が入っています。

             タタソール*

 現在では、紺やグレーのジャケットの下に着て、お洒落なベストとして
使われています。

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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