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#381.新しい裁断法によるパンツ その五

Posted by KINN Tailor on 29.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 いよいよ、製作工程をお見せします。
 今回使用する生地は、フォックス社の細かい千鳥格子柄の生地です。

①まず、生地にキズがないかを確認する
新裁断パンツ5-1
・生地を広げ・・・
・キズの有無を見ます。


②次に切り口、生地のゆがみを見る
新裁断パンツ5-2
・切り口が真っ直ぐかどう確認します。
・切り口を揃えます(今回は綺麗に切り揃えられていた)。
・耳を揃えます。 
*テーブルの端などを利用し、耳をできるだけ真っ直ぐな状態にして揃えます。


③ゆがみが出たら、生地を広げ直し下の生地を手で均しながらたたみ直す
新裁断パンツ5-3
・下側の生地を手で均す → ゆがみが小さくなる
・小さなゆがみは生地を引いて直します。
*この程度のゆがみの場合は、生地を斜めに軽く引くと直る場合が多いです。


④パターンを置いて地の目を通す
新裁断パンツ5-4
・先に、腰帯分取ります。
・前身頃の地の目を通します。


⑤前身頃のチョークを引く
新裁断パンツ5-5
・裾の折り返し分を確保します。
・チョークを入れます。
*チョークが入りました。


⑥修正する
新裁断パンツ5-6
・2.5cm計り、前身頃を小さくします。
・小股が小さくなった分、チャックの端がギリギリまで来ます。


 この続きは次回に・・・

〈つづく〉

#380. 新しい裁断法によるパンツ その四

Posted by KINN Tailor on 15.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 私が次に目を付けた、後ポケットのダーツについて少し説明します。
 後ポケットのダーツを取ると、下図のように脇の縫い目が内側に入ります。

新裁断パンツ4 イラスト1**

 一般的な体形で考えますと・・・人の身体はお腹側が膨らみ気味で、その
反対側…つまり腰のラインの背中の所が凹んでいます。ですから、上の図
のように脇が内側に入っているのは上手くない訳です。
 そこでアイロンでクセを取り前身側に向くようにします。

新裁断パンツ4 イラスト2**

 私が考えたのは、このクセ取り作業を省けないか?・・・という事でした。
普通お尻の膨らみを出すためには、ダーツを取らない訳にはいきませんが、
この脇の線が内側に入ったままでは、歩きにくく、座り心地の悪いパンツに
なってしまいます。
 クセ取りは絶対に必要な作業ですが、ダーツが2本も入っていて比較的
い距離でカーブ
させなければなりませんので、難易度が高い…と言えます。
 そこで私が考えた解決方は、縦に取るダーツを横に移動させる…という事
です。つまり(下図のように)本来の縦ダーツ長さの所で脇の縫い目まで切り
離し
、ダーツを取った分生地を曲げて裁断をします。

 新裁断パンツ4 イラスト3**

 この"横向きダーツ"で、脇の縫い目が前身側に向くかどうか?…疑問に
思われる方もいらっしゃると思います。それは、この後実際に仕立てている
工程でお見せしますのでご確認下さい。
 さてポケットですが…せっかく横向きに縫い目がある訳ですから、これを
利用する事にしました。
 新しい裁断法として試してみたのは、後身頃を2枚に分ける事と、後ろの
ダーツの位置を移動させた
事…その2点になります。
 実際に仕立てて、履いてみた感想をお伝えしますと・・・
しゃがんだ時に腰がきつくならない
立ち上がった時の尻から腿にかけての"たるみ"が少なくなった
今迄のパンツよりも履き心地が良い
 …など、幾つかの効果を実感しました。

 次回からは、実際に作る工程に入って行きます。

〈つづく〉

#379.新しい裁断法によるパンツ その参

Posted by KINN Tailor on 01.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 後身頃にもう一本縫い目を付けるという事は、後身頃を2つに分ける事に
なり、幅の広い物と狭い物になってしまう為、力関係が良くない・・・

 この問題を解決する為に、前身頃の幅を狭める・・という事をしてみた
のですが、前身頃の幅を狭くすると、見た目がおかしくならないか?…と
いう事が気になりました。
 脇の縫い目は(横から見て)ほぼ真ん中にありますが、これをどこまで
前に持って行って大丈夫か
やってみたところ、2.5㎝迄はさほど気にならな
い…という事がわかりました。
 またパンツの脇のポケットの口は斜めに作る事が多いのですが、口の上
を3㎝程内側
にしますから、脇の縫い目が2.5㎝内側に来ても、それを利用
して縦ポケットにすれば問題ない
…という事もわかりました。

 イラストで解説しますと・・・
(まず、いつもの方法でパンツの製図をし、そこに修正を加えて行きます)
新裁断パンツ前・後**
            ⬇︎   ⬇︎   ⬇︎
    新裁断パンツ後*

 ここで気を付けなければならないのは、前身の小股です。股下の所を狭く
した分、小股のカーブが浅くなってしまいますので、ファスナーの開き止ま
りを縫い目ギリギリまで下げる
必要があります。

 さて・・ここで、どうせ変わった裁断をするのであれば、もう少し変える
事ができるところはないか?…と思いました。
 目に付いたのは、後のポケットの上にあるダーツです。これは腰の膨らみ
を出すために必要で、ダーツを取った後にアイロンワークも必要となります。
 そこで、ここを改良する事に着目しました。

〈つづく〉

#378.新しい裁断法によるパンツ その弐

Posted by KINN Tailor on 18.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 さて、まずは「一筋縄でいかないパンツ」を「履きやすく・動きやすく・
綺麗に見せる」ための重要な作業 = "くせ取り"について、具体的にその個所
と効果
をイラストで解説します。

新裁断パンツ**

a. 小股に丸みを付ける事によって、チャックが綺麗に収まるようになる。
b. 前身頃の両側を伸ばすと中心が前に出て、脚が前に出るようになる為、
 歩きやすくなる。
c. 裾をモーニングカットにする。
d. ふくらはぎの形を出すことにより、履いた時にふくらはぎの影響を受け
 ずに綺麗に落ちるようになる。
e. 後身頃の内側を伸ばすと、内股に弛みが出ず綺麗に下がる。
f. 斜線赤の箇所を凹ませる。ヒップ下のラインが綺麗に流れるようになる。
g. 斜線青の箇所を膨らませる。ヒップの丸みが出る。
h. 裾をモーニングカットにする。

 イラストでもおわかりのように、後身頃の内側に"くせ"を取る個所が集中
しています。特に「くせ取りf.」はとても重要であり、同時に時間の掛かる
所です。
 イラストf.のアイロンが描いてある位置…つまり脇から"くせ"を取り始め、
矢印の3方向へ展開して行きます。これをすると股下z.のカーブが移動して
斜線赤の所が凹む事になります。z.の長さは変わらず、カーブが真っ直ぐか
逆に膨らんだ感じ
になります。
 "くせ取り"をした事がない方には想像しにくいかも知れませんが、アイ
ロンワークを施す事によって、生地が膨らんだり伸びたりします。・・と
いう事は、その影響によって別の所が凹んだり、縮んだりする訳です。
 この影響を狙って行うのが"くせ取り"です。

 私は、この"くせ取り"作業を軽減する事ができないか…考えました。
結果思い付いた事は、「この凹ませたい所にダーツを取る」という事です。
これが一番簡単な方法です。そして次に思った事は「後身頃の股下は普段
見えないから、ダーツよりもう一本縫い目を増やしてしまった方が綺麗に
仕上がる」という事です。
 早速試してみようと思いましたが、ここで問題がある事に気が付きまし
た。後身頃にもう一本縫い目を付けるという事は、後身頃を2つに分ける
事になる訳ですが、私が縫い目を付けたい所は、ヒップの"くりの下"の方
な訳です。そうなると後身頃が幅の広い物と、とても狭い物になってしま
い、あまり幅が違い過ぎるのは力関係が上手くない・・という事になって
しまいます。

 この続きは次回・・・

〈つづく〉

#377.新しい裁断法によるパンツ その壱

Posted by KINN Tailor on 04.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 私の服作りにおけるテーマの一つが、「着心地の追求」です。少々大袈裟
に聞こえるかも知れませんが、人間は動く訳ですから、着心地を考えないと
結果的に"美しいライン"は出ない
…というのが私の考えです。
 特にパンツについては、相応の"拘り"があります。パンツは2本の脚が別々
に動くという事に加え、座ったり、しゃがんだり…と、幾つもの大きな動き
を考慮しなくてはなりません。それでいて見た目も美しく、例えO脚でもY脚
でも、極力それがわからないようにしなければなりません。

 父の時代、同業他者には、ジャケットについて色々とお好みや拘りを仰る
お客様が多くいらしたようですが、私共の店では(珍しい事に)パンツにつ
いて厳しく仰る方
が多かったとかで、父も相当研究を重ねていたようです。
 その影響もあるのでしょう、私は最初から「パンツは一筋縄ではいかぬ物」
という観念で修業をしていましたから、もしかすると他の方よりも拘りは多
いのかも知れません。

 私のパンツは「履きやすさ・動きやすさ・脚を綺麗に見せる垂れ」という
3点を特徴にしていますが、それには裁断だけでなくアイロンワークによる
"くせ取り"が重要になってきます。
 この「アイロンワーク」ですが…私は得意というか、大好きな作業の一つ
です。修行をしている頃に、アイロンワークによるくせ取りを習いました。
 最初、父がくせ取りをしている様子を見て、「何であんなに生地をあっち
に向けたりこっちに向けたりしてアイロンを掛ける必要があるんだろう?」
と、不思議に思ったものです。そして、くせ取りを勉強して行く内に、その
効果の素晴らしさを知り、ある意味"くせ取りにのめり込む”ように研究を重
ねて行った訳です。
 今迄のくせ取りをより効果的に、そして今まで”くせ”を取っていなかった
所も"くせ"を取る事によって履き心地が良く、動きやすくする事ができたの
です。またくせ取りの影響で裁断が変わった所もありました。

 こうしてくせ取りを研究し続けて来た訳ですが、数年前からくせ取りを減
らす方向
で、同じ履き心地を実現する方法はないか?…と思い始めました。
一般的なスーツ生地ですと全く問題ないのですが、生地がとても厚かったり
硬い場合などに充分に"くせ"が取れない場合があったりするからです。
 そんな時に、考えたのが今回紹介する裁断法によるパンツです。
 脚の運動量は圧倒的に後側が多いので、パンツのくせ取りも後身が多く
なります。特に後身の内側のくせ取りが多いので、これをどうにか工夫でき
ないかを考えあぐねた末、「新しい裁断法」を思いつきました。

 4年程前にこのブログでも簡単に紹介しましたが、次回からその裁断法
と実際に仕立てる様子
を何回かに分けてご紹介していきたいと思います。

〈つづく〉
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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