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#281.縦縞の裁断 最終話

Posted by KINN Tailor on 30.2016 裁断の話   0 comments   0 trackback
 皆さんご存じの通り、パンツは前身頃後身頃に別れています。縞模様
どこに通すか…という問題ですが、前身頃は中心線の所に通します。

 では後身頃はどうかと言いますと、これは作る人の好みによって変わって
来ます。
 裁断や縫製をされた事がない方は、裁断後のパンツの後身頃の生地を見る
と少し驚かれるかも知れません。それは前身頃に比べるととても幅が広く、
尻くりが大きく(多分思っているよりも…)見えるからです。
 考えてみると後身頃はお尻やふくらはぎなどをカバーする訳ですからその
分大きくなって然るべきですが、裁断をする際には「どこに縞を通す」のか
「布地の用尺」という 2つの要素を考慮しなければなりません。
 後身頃の場合は、前身頃のように中心線に縞を通す必要はありませんし、
私共の技術標語に「パンツはなるべくタテ(縦)にホンジ(本地)を通せ」
というのがあるように、パンツの外側の縫い目(タテ)に生地の縦地の目
(ホンジ)を通す
のが通例なのです。
 外側の縫い目に地の目を通すと、後身頃の中心線と内側の縫目は少し斜め
になりますが、その方がやや伸び易くなるので履き心地は良くなります。
これは縦縞の出方を考えても効果的で、後身頃の中心線や内側の線はあまり
目立ちませんが、外の縫い目近くに縦の縞が通っていれば、足が真っ直ぐ
綺麗に見える効果があります。

イラスト後身頃**

 ここ3回にわたり縦縞の裁断について話して来ました。ごく一般的に見かけ
る細い縞の生地の場合は、今回迄の「縦縞を通す箇所」に注意すれば良いの
ですが、太目の線で間隔の広い縞となると…気を付けなければならない点が
別に出て来ます。

縞の生地

 写真のような縞は生地の状態でもかなりインパクトがありますが、この手
の柄を選ばれる場合、スリーピースの事が多いので縞の出方に気を付けない
とスッキリ見えません。
 特に気を付けたいのは、ジャケットの釦を止めた時にベストの縞がジャケ
ットと同じ位置に通っているか
…という事です。私はこのような難しい縞柄
の場合は、まずベストの縞の位置を先に決めておいてからジャケットをそれ
に合わせて裁つ
ようにしています。
 ベストはジャケットとは違い釦が縦に4~5個並ぶ訳ですから、ジャケット
よりも前の直線の距離が長くなります。また釦を外して着る事はありません
から、ベストの縞の位置が全てに影響してきます。
 まず縞をどこに通すか…ですが、ベストもジャケットも端のぎりぎりの所
に縞が来ないよう
にします。端に縞があるのが悪いという訳ではありません
が、あまりぎりぎりで縞が欠けてしまうような事は避けなければなりません。
 また人間の体には厚みがありますから、体にくっついているベストはその
影響を受け易く、前の合わせの所は少し膨らむ事も考えられますので、縞の
先に地色の布が少し出るよう
にします。この写真の縞の間隔は2cmですから、
縞から3mm位を端にしてベストを裁ち、それに合わせてジャケットも裁てば
綺麗に揃います。
 細い間隔の縞ですと生地を多目に取る必要はありませんが、写真の生地の
ような場合は、大体1割増し位多目に生地を取るようにしています。また格子
や変わった柄の場合も大目に生地を準備するようにしています。
 その生地の余裕が精神的に影響するのか…?はわかりませんが、落ち着い
て裁断をする事ができ、結果的に綺麗な服に仕上がるような気がするのです。

#280.縦縞の裁断 その弐 ~ラペル~

Posted by KINN Tailor on 23.2016 裁断の話   0 comments   0 trackback
 普通、スーツにはラペルがあります。ラペルは掛け釦から襟の所まで身頃
が返って見返しが表側に
出ています。元々ジャケットの形は、前の端が首の
付け根まで真っ直ぐに伸びていた・・・つまりスタンドカラーだった訳です
が、カラーの上の釦を外して前を開けて着るようになった事からラペルが始
まったのです。

 縦縞の場合、通常ラペルの端に縞を通すようにしますが、スタンドカラー
だった事を思えば、その端に縞が通っているのはむしろ当然と言えるかも知
れません。
 ところがラペルが定着して以降、ラペルの形が微妙に変化し始めました。
最初は、ただ真っ直ぐのラペルをペタンと折って返したような形でしたが、
端をカーブさせるようになり、更に幅を広くしたり、ラペルをフワッと返っ
たように見えるようにロールさせるようにする…など、ラペルがデザイン上
重要な役割
を果たすようになりました。
 そうなると端に縞を通す事が難しくなります。デザインによっては…例え
ばラペルの幅が広く端のカーブも大きかったりすると、見返しはかなり大き
なパーツになってくる訳ですから、見返しの取り方も工夫をしなければなら
なくなります。
 最近はあまり幅が広いラペルは見かけなくなりましたが、ダブルのジャケ
ットが流行った頃は必然的に襟が広くなり、カーブもきつくなっていました。
ベストにラペルを付ける時などは、ラペルの端に縞を通さずに返り線の所に
通す
事もありますし、ベストの場合はジャケットを着ている時、返り線の方
が目立ちますから、そこに縞を通した方が綺麗に見えます。
 ジャケットの場合でも縞を端に通さずに返り線に通す時があります。その
場合は端の縞は切れてしまいますが、その方が綺麗に見える事もありますし、
お客様のお好みで・・・という場合もあります。
 ラペルのデザインと縞の太さや間隔などによって仕上がった時のイメージ
は微妙に変わってくるものですが、私は基本的にはラペルの端に縞を通す
うにしています。その方法を説明しましょう。

ラペル_裁断_アイロン**

くせ取り**

 くせ取りについてですが・・・端をカーブさせるのにアイロンを縦方向に
使うか、内側から端の方に向かってアイロンを動かした方が上手くカーブし
そうな気がするかも知れません。ところが縦に使うと前端が伸びてしまいま
すし、内側から使うと端が歪んでしまいます。従って端の方から内側に向か
ってアイロンを使い、形を整えます。

 見返しは細長い布ですから、アイロンを使う方向を間違えたり力を入れ過
ぎると伸び過ぎてしまい戻らなくなりますので、微妙な手加減が必要になっ
てきますが、端のカーブに合った綺麗な縞模様に仕上がると、とても気持ち
の良いものです。

 次回は、パンツについてお話したいと思います。

#279.縦縞の裁断 その壱 ~ジャケット~

Posted by KINN Tailor on 16.2016 裁断の話   0 comments   0 trackback
 裁断の柄合わせの話題になると、"格子柄"についての話になりがちですが、
今回は"縦縞"の裁断について話してみたいと思います。

 まず前身頃のどこに縞を通すかが問題になりますが、日本で普段使われて
いる裁断法ですと、パターンの前中心線に縦地を合わせますので、縞の生地
の場合は前の端に縞が通る事になります。
 私の場合は少し違っていて、前の端ではなく前身の中心線…つまりネック
ポイントからの線
に縞を合わせます。
イラスト1 縞を通すところ**
 上の図ですと、縞の通る位置は結果的には同じになるように思えるかも知
れません。ところが体形によっては違いが出て来ます。
 私の製図法ではネックポイントを胸幅の中心だけでなく、腹の幅の中心
使って出しています。これは体形に応じたネックポイントの位置を正確に出
すために行っているのですが、例えば肥満体の場合、ネックポイントの線が
胸幅、腹幅の中心に対して直角ではない事があります。その場合にネックポ
イントの線に縞を通す
と、縞の出方が普通とは変わって来ます。
イラスト2-1 ネックポイント**
イラスト2-2 肥満体**
 つまり体形によっては前の打ち合わせの所が縦縞からずれる事もあります
し、釦を掛ける所の縞が端に対して平行でない事もあるのです。「えっ?」…
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。ところが仕上がって実際に着
てみると、不思議な事にこの方が縞が真っ直ぐに見えるのです。

 次に後身頃ですが、これは特別な事は何もなく、左右綺麗に縞が揃うよう
にして背中心の縫い目の所に縞を合わせます。

 さて問題は袖です。袖は体形によって下がり具合が変わりますので、どこ
に縞を通すか…が結構難しいのです。私の場合は、採寸の時に手首の位置が
腕の付け根からどの位前に出ているか
を見ておきます。そして山袖の前の縫
い目の上の端
に縞を合わせ、袖口は少し前気味(1~2cm)になるようにします。
袖口を前に持ち出す事になると、用尺が多くなるのでなかなか難しいものです。
イラスト3 袖**

 次回は"見返し"についてお話したいと思います。

#142.ゆとりと縫い込み

Posted by KINN Tailor on 19.2013 裁断の話   1 comments   0 trackback
今回は、服のゆとり縫い込みについて説明します。

 服を着た時に窮屈に感じては困りますので、ゆとりは少なからず付けなけ
ればなりません。
 随分前にはルーズフィットと呼ばれる全体的にゆとりのある服が流行って
いた事もありましたが、近年の傾向としてはかなりタイトな服が人気のよう
です。ただ、これもそろそろ限界かな?…という気もしてきています。

 流行に関係なく、窮屈に感じやすい所は大体決まっていますから、そこに
ゆとりを付ければ良いという事になります。つまり動かす箇所です。例えば
ジャケットですと肩から腕、脇の下にかけてです。
 ただ大きくするだけですと形が悪くなりますから、必要な部分にだけ付け
るようにします。人間の身体の動きを見ますと前へ動かす方が圧倒的に多い
ので、それに合わせてゆとりを付ける訳です。
 ジャケットで動かす箇所と言えばまず。腕の動きを良くするためには、
アームホール背中の脇に緩みが必要になります。アームホールは幅にゆと
を取りますが、深くしてしまうと逆に動かしにくくなってしまいます。
また、胸幅や肩幅は大きくしない方が動かしやすいものです。
 次にパンツですが…こちらは上着と違う考え方をしなければなりません。
足の動きは上半身に比べて大きく、動き方も複雑です。上着と一番違う所
は全体で上下の動きがある…という事です。例えば腰をかける、しゃがむ…
などがそうですが、動きが大きくなりますので股上の長さが必要になります。
お尻周りにも緩みは必要ですが、股グリはアームホールと同じであまりクリ
を深くし過ぎると逆に動きにくくなりますので注意が必要です。
 私はジャケット、パンツ共に7~8mmの緩みを付けるようにしています。
この数字が厄介で、前回お話しした「縫い代」も7mmなので、製図のセミナ
ー(特にパンツ)の際によく質問を受けます。
 パンツは、後身で4縫い代取る箇所がある事は前回説明しましたが、「裁ち
切り」
に馴染みがない方は、「この4縫い代は、縫い代と緩みの事か??」
と考えてしまうのかも知れません。
 更にややこしくするのが「縫い込み」です。これは後から直しができるよ
うに余分な布を付けておく事で、縫い代とは別なのですが、これも混乱の基
のようです。
縫代&縫込1**
縫代&縫込2*
        *   *   *   *   *

 2回に渡り少々専門的な話になりましたが、私のDVDやセミナーを見て解
らない事や、ご覧になっていない方でも、服に関する質問などありましたら
コメントやメールを頂ければ…と思います。
(パンツの縫い込みについては「♯91直しの話 その参」で詳しく説明して
いますが…)
 答えられる範囲で、お返事していきたいと思います。

#27.イン・レイ(In Lay)

Posted by KINN Tailor on 30.2011 裁断の話   5 comments   0 trackback
 洋服を作る時、お客様の寸法に合わせてパターンを作成し、それを生地に
並べ、チョークを引いてから裁断をします。
 この…"パターンを生地に並べる"作業「イン・レイ」、日本では「差し
込み
」と云います。
 今回はこの「イン・レイ」についてお話ししましょう。

 一般のウールは幅が約150cmで、これを二つ折りにしてダブルと呼んで
います。これに対して半幅のものもあり、(手織りのツィードなどに多い)
これをシングルと呼びます。
 昔はモーニングの縞ズボンの生地などはシングルだったのですが、今では
ダブルになっています。
 シングル幅というのは、人間が手で折る時の手が届く幅から出来たものだ
そうで、昔の人の体格の関係で、今より少し狭かったようです。
 もともと手織りだったツィードなどを機械で織るようになり、ダブル幅に
できるのに、わざわざシングル幅で織っているものもあります。
 面白いですね。

 さて、一着に使用する長さですが、昔は2.8~2.9mでしたが、現在は体格
の関係から3.2mが標準となっているようです。
 イン・レイの時、パターンを置いていく順序は大体決まっているものです
が、パンツの裾幅やベストの長さによって、うまく置っきれない場合などは、
まさに"差し込んでいく"技術が必要になります。
 そこで私がイン・レイをする時に気を付けているポイントをお話します。

 まずは生地にキズや織りむらがないかを充分にチェックします。同時に、
生地に「ねじれ」がないかも見ます。
 問題がなければイン・レイの作業に移っていく訳ですが、大切なことは、
生地の「地の目」を良く見て型紙を置くということです。
「地の目」が狂ってしまうと仕上がった服が歪んでしまいます。
 どこに地の目を通すかについては、かなり専門的になりますので、また
の機会にお話しましょう。
 生地に"向き"がある場合(カシミヤやコーデュロイ)は、向きを揃えます
そうしないと仕上がった時に、色が違って見えてしまいます。

 「柄」がある場合は、上下を注意しなければなりませんし、格子柄の場合
は、柄合わせをする必要がありますので、通常よりも10%位生地を多く使い
ます。
 私共は、後から直しが出来るように仕立てるため、一般よりもかなり縫い
こみを多くとります
ので、生地は普通よりも多めに使用することになります。
 イン・レイで大切なことは、差し込み方によって使用する生地の量が変わっ
てくるのですが、それを最優先にするのではなく、生地を無駄にせず、ゆとり
を持って上手に使う
ことではないでしょうか。

インレイ ?*

インレイ ?*

インレイ ?*

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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