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#398.白いドレスベストの話 最終話

Posted by KINN Tailor on 23.2019 礼服の話   0 comments   0 trackback
 引き続きドレスベストの作成工程を解説します。
 今回は、襟付けから仕上げまでです。
 一般的なベストにも襟を付ける事はありますが、ドレスベストの襟は少し
違っています。ドレスベストは前が大きく開いている為、襟が長く釦の
すぐ上まである
のが特徴です。

ドレスベスト3**

 一番左が襟ですが、この「バチ型」は襟の下の幅が広い為、裏を始末する
時に、釦に掛からないようにしなければなりません。
 イラストの返り線から右側が表に出る・・襟になる部分ですので、こちらを
先に仕上げます。それを身頃に載せ、見返しを折り、(写真右のように)鋭角
に折り曲げて
始末します。

 それでは、襟付けから仕上げまでの工程をご覧下さい。

4)襟を付ける
 ⑩表地に裏地を重ね、襟を縫います。
 ⑪襟を身頃に載せ、仮止めします。
白V10-11

5)裏の始末をする
 ⑫見返しを返し、余分な裏地をカットします。
 ⑬見返しを折って、まつります。
 ⑭襟が付きました。バチ型は一番下の所をループで身頃に止めます。
白V12-14

6)釦を付ける準備をする
 ⑮ドレスベストの釦は、取り外しができるように特殊な形をしています。
  釦の裏側にリングが付いている為、それが当たらないように比翼を
  付けます。
 ⑯釦用に丸いホールを開けて、かがります。
 ⑰比翼の内側は写真右のようになっています。
白V15-17

7)完成させる
 ⑱下前側に釦が付きました。
 ⑲上前側はいつもと同じ釦ホールを開けます。
 ⑳背中を付けて、完成です。
白V18-20

 今回は写真が少なく、後半は駆け足での解説になってしまいましたが、
 ドレスベストは襟と釦に特徴がありますので、そこをご覧頂ければ…
と思いました。

     *   *   *   *   *   *

 さて、早いもので今年(2019年)もあと僅かとなりました。
 今年もブログをお読み頂きまして、ありがとうございました。
 どうぞ皆様、良いお年をお迎え下さい。

#397.白いドレスベストの話 その弐

Posted by KINN Tailor on 09.2019 礼服の話   0 comments   0 trackback
 今週から、ドレスベストの作成工程を解説します。
 素材が全て白なので、写真の説明ではわかり難いかと思いますので、まず
下のイラストをご覧下さい。基本デザイン、芯地・裏地の素材などを記します。
素材説明

【製作手順】

1)裁断をする
 ①まず、型紙を使い裁断をします。
 ②前身頃と襟(表地)。
 ③後身頃(裏地) 後身頃は重ねて使うので、2枚裁断します。
白V1_3

2)前身頃を作る
 ④ダーツを取ります。
 ⑤次に、ポケットを作ります。 口布は表地、袋は裏地を使います。
 ⑥芯に前身頃を乗せ、仮り止めします。
白V4_6

3)身返しを据える
 ⑦釦を付ける所をしっかりさせる為に、別布を付けます。
 ⑧別布と一緒に、前の端と裾に付いている縫い代を折り返します。
 ⑨身返しが返りました。
白V7_9
*襟が付く所は斜めになっていて、生地が伸びやすいので気を付けます。
 伸びると身体から浮いてしまい、綺麗に収まりません。
 生地が柔らかい場合は、テープを貼って伸びるのを防ぎます。
 

 次回は、襟付け作業から先を解説します。

〈つづく〉

#396.白いドレスベストの話 その壱

Posted by KINN Tailor on 25.2019 礼服の話   0 comments   0 trackback
 今年は「陛下のご即位」という大きな行事があったため、燕尾服をお召し
になった方々を多く拝見する事ができました。
 燕尾服の特徴は(先日:#391で、生徒さんが作った燕尾服をご紹介しまし
たので、形はそちらも参考になさって下さい)、ジャケットの前がダブルの
ようなデザインで、脇は短く長いスカートが付いています。このジャケット
の前は止めずに着用しますので、常にベストが見えている訳です。
 燕尾服の時は、「白のドレスベスト」に「白の蝶ネクタイ」と決まってい
ますが、この「白のドレスベスト」には特徴があり、作り方も一般的なベスト
とは違いますので、今回はそのお話をしたいと思います。

 まず素材ですが、綿を使用します。比較的多く選ばれるのが、綿で
細かい織柄がある「ピケ」と呼ばれる物です。
 次にデザインですが、シングルで前の釦は少なく 3~4個。そして、何と
言っても特徴はです。
 通常、礼服のベストに衿を付ける場合は、ジャケットと同じような(剣
衿が多い)形をしていますが、ドレスベストの場合は、衿が分かれていない
・・下図のような形をしています。
白ドレスベスト

 そして、もう一つの特徴が、です。
 白い生地で汚れやすいため、洗濯をする必要があるので、前ボタンは取り
外しができる
ようになっています。
ドレベ釦

 この…取り外しができるためか?、最初からそうだったのか?・・は定か
ではありませんが、カフスと同じように宝石を使用している物もあります。
 写真は白蝶貝ですが、この白蝶貝の中心に真珠やダイヤモンド(!)を
使用した物もあります。
 ご覧のように、釦の脚の所に金属が付いていて、その先にリングが付い
ています。普段はあまり見ない…変わった形の釦です。そのため、ベストの
下前側の釦を付ける所も特殊な作り方をします。

 次回はそのあたりも含め、ドレスベストを作っている様子を見て頂きたい
と思います。
ドレベ縫う

〈つづく〉

#354.拝絹の話

Posted by KINN Tailor on 26.2018 礼服の話   0 comments   0 trackback
 私の塾に来ている生徒さんは、よく自分用の礼服を作ります。
 圧倒的に多いのがタキシードで次がフロックコートです。燕尾服は流石に
着て行ける場が少ないためか、作った生徒さんは今のところ居ません。

 礼服を作っている時に、拝絹の掛け方や、どこに拝絹を掛けるか?という
質問をよく受けます。
 タキシードについて解説しますと…まずタキシードの襟の種類は3つあり、
ステップカラー2種類(剣襟菱襟)とショールカラーヘチマ襟)です。

拝絹1**

 剣襟や菱襟のように、ラペルの所で切り替え線がある場合は、ラペルに
だけ
掛けます。ヘチマ襟のように切り替え線がない場合は全体に掛けます。
 タキシードは、パーティなど華やかな席に着る場合が多い事もあって、
拝絹だけでなく、ビロード地の黒以外の色を使う事もあります。
 余談ですが・・・ヘチマ襟にはフラワーホールを開けませんので、図の
ように裏側に花の茎を差す袋を付けます。花は襟の上ではなく、横から
出るようにします。

 フロックコートの拝絹については、「#298.フロックコートのまとめ」
  をご覧下さい)


 先日、こんな問い合わせがありました。
 お子さんが結婚される方からで、結婚式に自前のモーニングコートを着た
いと思っているが、先方の親御さんが貸衣装屋と話したところ、「両家の
モーニングの格が合わないとおかしいから、同じ物を借りるべきです」と言
われたが、本当にそういうものなのでしょうか?…という内容でした。
 その方が持っているのは、二つ釦のモーニングだそうですが、その二つ釦
というのもおかしい…と言われたそうです。
 モーニングコートの二つ釦は確かに珍しいかも知れませんが、間違えで
はありません

 そして「格」については、ごく一般的なモーニングコート…つまりジャケ
ットが黒やチャコールグレー(アスコットモーニングは用途が違いますので、
この場合は除外します)で、特別に変わった色の物…例えばパーティ向けの
派手な赤や黄色などでなければ、「格」というものはありません。
 ネクタイも一緒の方が良いと言われたそうですが、両家の親達が全く同じ
モーニングを着ているという方が、かなりおかしな感じになると思うので、
どうしてこのような話になったのか、些か不可解です。
 貸衣装屋さんの狙いで"モーニングの貸し料"を変えるために「格」を勝手
に設定したのかも知れませんが、モーニングコートはあくまで"モーニング
コート"
であって、「格」などはありません。・・・くれぐれもご注意を。

♯353.タキシードの話

Posted by KINN Tailor on 12.2018 礼服の話   0 comments   0 trackback
 今から40年位前迄、男性はある程度の年齢になったり、地位に就いたり
するとモーニングコートを仕立てる(または購入する)のが一般的でした。
 また、かのバブルの時代には20代でもタキシードを持っている・・・と
いう事もありました。 現在は、残念ながら着ていく場が少なくなったのか、
ダークスーツ的な物で良しとする風潮になってしまったのか…?、実際の
ところはわかりませんが、礼服を持っている方がとても少なくなってしまい
ました。

 そんな今でも、礼服に関する質問を頻繁に受けますので、全体として数
は減ったものの、興味のある方はまだまだいらっしゃるのだ…と思うと少し
ホッとします。

 先日も、タキシードについて質問を受けました。内容は、「ダブルのタキ
シードの場合でもベストは必要か?」
というものでした。
 ダブルの場合はベストが見えないので、着る必要がない…と思っていらっ
しゃる方もおられるようですが、洋服はダブルでもシングルでも三つ揃い
が正式
ですので、たとえ見えなくてもベストを着るのが正しいと言えます。
 「では、正式なタキシードはベストを着るものなのですね?」と聞かれて、
色々話してみると、質問者の言う"正式"は「正式な礼装としてのタキシード」
という意味でした。そうなると、この"正式"という言葉が引っ掛かって来ます。

 ・・・と言うのも、"正式の礼装"という事になりますと、タキシードは元々
燕尾服の略装
ですから、「正式なタキシード」という物はありません。
 もし言うのであれば…「タキシードとしての正式な着方」、もしくは「最も格
の高いタキシード」という表現の方が適切でしょう。
 では、「カマーバンド」はどうなのか・・・と思われる方もいらっしゃるかも知
れませんが、そもそもカマーバンドは暑い国や場所でベストの代わりに着用
したものですから、間違いではありませんが、出席する場によっては、ベスト
よりも軽く見られるかも知れません。
 以前、散々悩んだ挙句、カマーバンドをした上にベストを着て出席した…と
いう話を聞いた事がありますが、これは悩み過ぎで、どちらかにしなければ
なりません。
 "正式な・・・"については、少々こじつけっぽく思われるかも知れませんが、
「礼服の正しい知識」という事でご理解頂きたいと思います。

 (DVD 『礼装についてお話ししましょう』 で、その辺りを網羅してあります)

 次回は、礼服で意外と質問が多い「拝絹」についてお話ししたいと思います。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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