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#299.フロックコート まとめ2

Posted by KINN Tailor on 10.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 フロックコートのベストは、最初は上着と共布が殆どでしたが、徐々に
"お洒落"をする…という試みから色変わりも使われ始めました(原則として
色変わりは昼間のみ)。
 デザインはシングルまたはダブルで、襟付きの場合もあります。但し上着
はダブル
でVゾーンが広くないので、ベストはあまり見えません。
 パンツもベストと同様に初めは上着と共布が使われましたが、やはり昼用
として千鳥格子の柄物も使われるようになりました。
 また夜用として、ディナージャケットのように外側の縫目の上に側章を付
ける事もあります。
 つまりフロックコートは、最初の内は黒一色でしたが、昼間の催しで徐々
にベストやパンツに色や柄物を使う傾向が強くなり始めました。そうなると、
ジャケットがダブルだとベストやパンツがあまり見えないので、ジャケット
ダブルのデザインで前幅を狭く作り、シングルのように着るのが流行り出
しました(現在ではフロックコートはシングル仕様にする事の方が多い)。

 ベストやパンツを見せるようになると、そちらの方が華やかで好む方も多
かったのでしょう…結局昼用のフロックコートのスカートの前の裾を斜めに
切り落として、パンツをたくさん見せる
デザインの「モーニングコート」
と変化していった訳です。ですからモーニングの事を別名"カット・アウエイ
・フロック"
と呼ぶ訳もおわかり頂けると思います。

フロックコート変化**

 私のDVD…『礼服についてお話しましょう』の中でも説明していますが、
現在ではフロックコートは昼間の正礼装として使用され夜間は使用されま
せん(夜間の正礼装は燕尾服)。

 フロックコートもモーニングコートもそうですが、正式な装いをする時に
今一番困るのが備品(アクセサリー)の類です。例えば前回ご紹介したアス
コットタイを止める細長いピンなどは、扱っている所が今では殆どありませ
んし、手袋は正式には薄いグレー(クリームでも可)ですが、丁度良い色の
物はあまり売っていません。
 礼装を嗜む機会が減ってしまっているので仕方のない事かも知れませんが、
せっかく正礼装をするのであれば、備品もきちんと揃えたいものです。

グレー手袋
*グレーの革手袋 色味も革の薄さも丁度良い。

     *   *   *   *   *   *

◆ ◆ ◆  DVD 『礼服についてお話しましょう』 ◆ ◆ ◆

ダイジェスト ⇩⇩⇩
https://www.youtube.com/watch?v=md0r1brgmGQ

礼装プロモ
販売価格 ¥4,800(税別)

#298.フロックコート まとめ1

Posted by KINN Tailor on 03.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 数回に渡り、仮縫いを通してフロックコートについて説明してきましたが、
そろそろ"まとめ"に移りたいと思います。

 まずデザインですが…基本はダブルブレスト丈は膝の下(長さは好みに
よって変わります)までです。拝絹(フェーシング)の掛け方が特徴的で、
昼夜共に使えるように襟の端から2~3cmは掛けません。つまり通常、拝絹
を掛ける場合、ラペルの表側全体に掛けますので身返しは拝絹地になります
が、フロックコートは一部だけですから、身返しは共地にしてその上に拝絹
を掛ける
訳です。

フロックいら1**

 は6個で、両胸の2個は飾り釦にする(3つ釦の2つ掛け…と言う)のが
一般的ですが、8個にする(4つ釦の3つ掛け)場合もあります。袖釦は4つ
です。
 また、モーニングコートなどの剣物と同じように、背の切り替え線の腰の
両側に釦が付きます。これは昔(フロックコートなどが盛んに着られていた
19世紀頃)は乗馬をする事が多く、その際にスカートが邪魔にならないよう
にする為に必要だった釦
で、未だにその釦を付けるのはその頃の名残りなの
です。
 当時のフロックコートは、スカートの裾にも釦が付いていて、乗馬する時
はスカートをめくってスカートの釦と腰の釦をループで止めました(ループ
は別に持っている)。
 現在は基本的に必要がないので裾の釦は付けませんが、お客様によっては
希望される方もいらっしゃいます。

フロックいら2**

 もう一つ、剣物の特徴としてポケットがあります。胸ポケットはあります
が、脇ポケットはありません。その代わり(…という訳ではないのですが)
ちょっとした物を入れるためにタンザクの内側にポケットがあります。場所
からして、あまり便利という風でもありませんので、大抵は手袋を入れるの
に使うくらいです。

 次に、シャツは原則として白のウィングカラーで、ネクタイはアスコット
タイまたはダービータイ
を締めます。近年はダービータイはあまり使われな
くなり、アスコットタイが主流になっています。
 アスコットタイの結び方は色々ありますが、一番多く見受けられるのが、
首の前で1回結び、結び目の上に左右から結び目の先をかぶせてスカーフの
ように広げる形です。重ねた部分を長いピンで止めるので「ピンスタイル」
とも呼ばれています。

フロックいら3**

 この続きは、次回・・・・

#297.フロックコートの仮縫い その四

Posted by KINN Tailor on 26.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 先週に続き、フロックコートのベスト(ダブル・襟付き)の仮縫いを説明
します。


⑦芯の細工が終わりましたので、芯を据えて端の処理をします。
芯据え1〜3

⑧襟を仮止めします。
襟付4〜8
※身頃に襟の位置を合わせ、まず表側から押さえ、次に返して裏から止めます。

⑨-a.脇入れをします。
脇入れ9〜12
※中表にして脇を止め、返して表から押さえます。

⑨-b.両脇が入ったら、背中の裾を処理します。
背中裾処理13〜15

⑩肩入れをます。
肩入れ17,18
※脇と同じように中表にして止めます。背中側(裏地側)を1㎝長く裁って
 いますので均等にイセ込みます。次に返して表から押さえます


背中とつながった19脇と肩が入りました。


 最後に、仕上げアイロンを掛けます。
まず、脇と背中に。
アイロン脇20,背中21
※脇を前身に馴染むようにアイロンで押さえます。背中は背のカーブやダーツ
 を活かすようにアイロンを掛けます。


次に
アイロン肩22〜25
※鉄台の大きい方のカーブを利用します。
 肩のカーブを乗せてアイロンで押さえ、肩が前へ曲がるようにします。


最後に…オープンの上の所にクセを取ります。
アイロン前26〜28
※襟からオープンの上の部分を少し下に伸ばします。次に肩に親指を入れ、
 持ち上げるようにして掛けます。そうすると、肩先からアームホールの部分
 が浮き上がるように(前肩に)なる訳です。


仕上り**29,30,31
ベストの仮縫いが仕上がりました。


     *   *   *   *   *   *


△ 製図の本をご購入頂いた方へ ▽

「服部晋の製図」にあるベストの製図は、襟もとがクセ取りをするカーブ
 になっていません。
クセ取りをする場合は、NPを5mm出し、NPから3~4㎝下の所までカーブ
 でつなげる
ようにします。同時に背中も5mm長くします。
前肩になると肩のラインがカーブするので、5mm長くしても問題ありません。
本の付帯解説

#296.フロックコートの仮縫い その参

Posted by KINN Tailor on 19.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 前回、フロックコート(ジャケット)の仮縫いを紹介しましたが、その後
フィッティングを行ったところ、ベストに修正する所が出ましたので、もう
一度仮縫いをする事になりました。
 そこで折角ですので、ベストの仮縫いについても説明したいと思います。

 フロックコートとベストのバランスは、通常は下図Aのようになりますが、
今回はお打ち合わせの際に、フロックコートの前を開けたまま着る事を前提
とされていましたので、下図Bのようになるよう裁断をしました。

イラスト1**

 ところが実際にお召しになると、コートの前を常に開けて着る訳ではなく、
閉めて着る事もある…という事になり、そうなると襟があまり見えないので、
もう少し襟を上げる事になりました。肩でベストを上げる・・・つまり全体
的に上にズラす方法もありましたが、ベストの長さは変えないで…とのご要
望でしたので、襟の位置だけ移動させる事にしました。

 通常、襟付きベストの仮縫いは襟を付けずに行いますが、今回は襟がポイ
ントですので、襟を仮付けした状態のベストを準備します。

まず・・・
①襟の位置(オープン)を修正します。
オープン1,2,3
※襟を2cm上げる…という事でしたが、実際にチョークを引いてみると意外
 と襟が上がった印象にならなかった(襟は斜めにカーブしているため)
 ので、2.5cm上げる事にしました。併せて、打ち合いも調整します。


②襟の形を整えます。
襟調整⇨調整済
※襟の形は、目分量で整えます。

修正したチョークに切り躾を打ちます。
切躾⇨切躾後

④襟の型紙を作成します。
ルレット⇨書上⇨型完成
※ルレットを使い襟の型を映し、その跡を鉛筆でなぞります。型紙ができました。

⑤襟を裁断して、組み立てます。
襟裁断1⇨2⇨作成⇨完成

身頃に芯を据える前に、芯に細工をします。
 ベストは身体に密着する物ですから、ジャケット以上に肩まわりにクセを
 取る必要があります。クセを取り易くするには肩に切れ込みを入れます。
イラスト2**
※一般的にはこの切れ込みに小さな三角形の芯地を縫い合わせますが、私は
 切れ込みを入れるだけです。それは、その方が芯が自由に動くので、クセ
 が取り易くなるだけでなく、ベストを着た時の動きも良くなるからです。

芯カット⇨肩カット
※入れる場所はネックポイントから4cm位肩先の寄った所。長さ7~8cm鋏を
 入れます。


 この続きは、次回・・・・

 〈つづく〉

#295.フロックコートの仮縫い その弐

Posted by KINN Tailor on 12.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 先週は前身上部まで解説しました。今週はその続きを・・・・


⑤前身頃に背中(半身)を付けます。
フロック イラスト**
※この時、前身と背中を中表に合わせて縫いますが、そうすると背のカーブ
 (ダルマと呼んでいる)とサイバラのカーブの向きが逆になるので、綺麗な
 カーブ
になるように注意して付けなければなりません。


写真1 背中が付きました。


次にスカートを付けます。
写真2→3→4
 前身とスカートを中表にして縫い合わせたら、スカートを下に下げて押さ
 え縫い
をします。次にスカートの後ろ側と背のタンザクを縫い合わせます。
※スカートには2本ダーツを取ります。このダーツの位置をサイバラを付ける
 位置と合わせる事が多いようですが、私共の場合は合わせないようにして
 います。それは、スカートを膨らませる量によってダーツを取る位置が変
 わる
可能性があるからです。



裏返してタツを芯に止め、スカートの持ち出しを止めます。
写真5→6
⑧身頃の半分が仕上がりました。


背中同志を縫い合わせ、タンザクの処理をします。
※タンザクは「♯273金洋服店とモーニング その七」で紹介したように、
 実際の仕上がりのようにします。

写真7,7→8
続いて、肩を入れます
※私共の肩入れではお馴染ですが、後の肩は2cmイセてあります。


身頃の襟付けの長さを計り、型紙を起こして襟を作ります
写真9→10
※同じお客様の服でも、毎回長さを計り、襟の型紙を起こします。


⑫襟を付けます。
写真11→12
※こちらもお馴染のプルダウンです。


⑬フロックコートの仮縫いが仕上がりました。
写真13,14

 〈つづく〉



  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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