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#404.お客様の服_ボックスプリーツのポロコート その弐

Posted by KINN Tailor on 09.2020 お客様の服   0 comments   0 trackback
 先週ご紹介しました「ポロコート」を、実際にご覧頂きます。

お客様のポロコート

〈正面〉               〈斜め〉
正面** 斜め**
・ダブル 6ツ釦の3ツ掛け
・襟、ポケットのフラップ、カフスは広め 全て縫い目に飾り星を入れた


〈襟元〉               〈裏地〉
衿元** 裏地**
・胸ポケット、肩にも飾り星が入っているので、華やかな印象に
・鮮やかな色の裏地 表地との馴染みも非常に良い


〈後〉                〈ブリーツ〉
後** プリーツ**
・プリーツが背中の上の方まで続いている
・5枚重なっているが、厚みを感じさせない仕上げにする事ができた
・3段重ねのプリーツ 歩くたびにプリーツが綺麗に動く

〈重ね正面〉
重ね正面**
・#402で紹介したスポーツジャケットと合わせて…

     *   *   *   *   *   *

 3回に渡り、お客様の服をご紹介させて頂きました。
 スポーツジャケットから観て頂きましたが、ご注文自体は、このポロコート
の方が先になります。
 キャメル地をご希望でしたので、色々と探したところ「Josua Ellis」のなか
なか良い生地が見つかり、このポロコートをお仕立てしました。
 その後、(前述しましたように)お客様がサイモン・クロプトン氏のブログ
を読んでいたところ、スポーツジャケットに合う生地として紹介されていた
生地が「Josua Ellis」のエスコリアルウールだったので、縁を感じて、ご自分
のジャケットの生地用にお求めになった…という事でした。

 仕立て屋をしていますと、ご注文を頂く際に、お客様がその洋服を注文さ
れる目的デザインの拘りなど、色々と伺う事ができます。
 その時々で様々なストーリーがあり、私もお客様と同じ気持ちになり、胸
が弾むものです。
 今回も思わぬ縁があり、良い物に巡り合う時は何かしら素敵なエピソード
がある
ものなのだ…と思いました。
 特にこのコートは、私としても「悩んだ末・・」でしたので、作る前のワク
ワク感よりは、仕上がった時の喜びが"ひとしお"でした。
 コートをお召しになり、歩くたびにプリーツが綺麗に動いていたのを見て、
これは上手くいった!」と自賛したものです。

 このブログの初期に、よく登場していたお客様のN氏は、「ロングコートは
裾の揺れが優雅
でなければならない・・」と仰っていましたが、まさにその
通りで、優雅さと華やかさがありました。
 何年経って味わいの出て来た頃、またこのポロコートを拝見するのも楽しみ
です。

#403.お客様の服_ボックスプリーツのポロコート その壱

Posted by KINN Tailor on 24.2020 お客様の服   0 comments   0 trackback
 今回も、お客様の服をご紹介します。
 前回、「スポーツジャケット」をご紹介しましたが、同じお客様の「ポロ
コート」
も、大変凝ったご注文でしたので、是非ご紹介したいと思います。

 お越し頂いた際に雑誌をお持ちになり、「このポロコートと同じデザイン
で…」とおっしゃいました。生地はカシミアではなく「キャメル」がご希望
との事でした。 キャメルは以前は良く使われていましたが、最近はあまり
お目に掛からなくなりました。それでも英国製の質の良いキャメルを運良
く入手でき、「これはいい!」と喜んだ迄は良かったのですが、問題はその
デザインでした。
 持参された雑誌には、ルチアーノ・バルベラ氏がポロコートを着て、幾つ
かポーズを取っている写真が載っていました。
 特徴的だったのが後姿で、「ボックスのプリーツが3段重ねて取ってある」
デザインでした。(下図参照)。

ポロコートデザイン**

 雑誌には、裾から腰の辺り迄の写真しかありませんでしたので、「多分、
背中にヨークを付けてプリーツを消しているのだろう」…と思い、その事を
お伝えしたところ、「ヨークは好きでないので、プリーツを背中まで付けて
欲しい」との事でした。・・・さて、ここから散々悩みました。
 プリーツ3段と言っても一番奥のプリーツは短めでしたので、裏から別布
を付ければいい筈なのですが、上の2段は畳んで重ねる事になりますので、
生地が5枚重なる事になります。
 5枚重ねた状態では背中が厚くなり過ぎるのでは?…とか、襟元が厚くて
衿が綺麗に付かない
のでは?…とか。そして背中の真ん中に縫い目がない
デザインなので、後身頃を1枚で裁つ事になるが、縫い目がないという事は、
一番奥の途中から付けるプリーツの縫い代などはどうすればいいのか?…
等々、心配事が山程ありました。

 とりあえず生地を畳んで厚さを確かめ、どうにか薄くする方法はないか
…を、まず考えました。
 今迄、かなり斬新なデザインの服も作ってきたつもりでしたが、デザイン
面では今回が一番悩んだかも知れません。
 色々とやってはみたものの結局良い方法が見つからず、仮縫いの際にもう
一度お客様と相談しました。
 お客様は、「厚くてもいいので、プリーツのままヨークは付けないで…」
とおっしゃいましたので、5枚重ねたまま背中を作り、襟元の内側の布
"さらって"付ける事にしました。
 散々悩みましたし、仕上がりが心配ではありましたが、でき上がってみる
と、とてもスッキリ!…いい味のコートになり、本当にホッとしました。

 その素敵なコートの写真は、次回たっぷりご覧頂きたいと思います。

〈つづく〉

#402.お客様の服_スポーツジャケット

Posted by KINN Tailor on 10.2020 お客様の服   0 comments   0 trackback
 今回ご紹介するお客様の服は、とても風合いの良い素晴らしい生地で仕立て
スポーツジャケットです。
 ご注文頂きましたのは、私共のお客様の中では比較的若い方ですが、海外の
著名なテーラーや色々な方のブログなどを読んで熱心に研究されているそうで、
既にご自分のスタイルをしっかりとお持ちでいらっしゃいます。
 今回はそのお客様が直接仕入れられた生地「エスコリアル ウール」を使って、
スポーツジャケットを仕立てました。


お客様のスポーツジャケット

表地:Joshua Ellis "ESCORIAL TWEED"

〈正面〉               〈脇〉
スポジャケ正面** スポジャケ脇**
・前は三つボタンの段返り 
・イタリアのデザインがお好みの為ゴージは高めで、ラペルの返りがゆったり
 するようにした
・大きめのパッチポケットと、脇の強めの絞りがスポーティな印象


〈後〉  
スポジャケ後**
・ご要望で背中にゆとりを持たせ、腰を絞ったデザインに

〈袖〉                〈裏地〉
スポジャケ袖** スポジャケ裏地**
・袖は本切羽の三つボタンで重ね付け
・薄い草色の裏地は華やか過ぎず、ツィードの色味を引き立てている


 お客様によりますと、英国人ジャーナリストのサイモン・クロプトン
のブログで紹介されていた生地だそうです。
 エスコリアウールはカシミヤよりも細く、繊細な仕上がりなのに、カシ
ミヤよりも耐久性に優れている
のだそうです。確かに、お仕立てをして
いた時に、驚くほど柔らかく、肌触りが良いけれども、力がない生地では
ないな・・という印象を持ちました。
 たまたま茶系のジャケットを考えていたところ、この生地の事を知り、
ご希望通りの茶色があったそうですが、そういった偶然の出会いがある方
は、洋服とのご縁も良い
のだと思います。
 お召しになった感想は、生地の素晴らしさは勿論の事、保温性も抜群だ
そうです。お客様のお陰で、また新しい素敵な生地で仕立てさせて頂く事
ができました。

#372.お客様の服_ディナージャケット

Posted by KINN Tailor on 22.2018 お客様の服   0 comments   0 trackback
 今回ご紹介するお客様の服は、華やかな織柄の生地で仕立てしたディナー
ジャケット
です。
 生地の状態で見るとかなり派手な印象ですが、仕上がってみると大変上品
な印象になるのは、流石「スキャバル」といったところです。
 この季節にピッタリのディナージャケットです。


お客様のディナージャケット

表地:スキャバル(SCABAL) 220g
裏地:キュプラ 黒
釦  :包み釦

〈正面〉               〈横〉  
スキャバル 正面 スキャバル 袖ぼたん
・ビロードのリボンを縁と上衿に   ・2種類のブロックチェック柄の生地で
                   包んだクルミ釦釦

 
〈下から〉
スキャバル 下から
・フラワーホールは開けず、ヘチマ襟の時のように裏側に袋を付け、
 襟の刻みの所に花が来るようになっている


〈カマーバンド〉 
スキャバル カマーバンド
・ベストの下側のようなデザイン
 釦は飾りでなく、掛け外しができる



 このディナージャケットをご注文下さったお客様が、お召しになった時の
写真を提供して下さいました。

永見隆幸 様

〈ディナージャケット〉       〈燕尾服〉
永見 様1 永見 様2
・トリノ王立劇場にて        ・トリノのホテルにて

     *   *   *   *   *   *

 本年もブログをお読み頂きましてありがとうございました。
 皆様どうかお身体を大切に、良いお年をお迎え下さい
                      

#355.お客様の服_リーロイド

Posted by KINN Tailor on 09.2018 お客様の服   0 comments   0 trackback
 今日ご紹介するスリーピースを注文されたお客様は、多くの人が集まる場
に出席される機会が多く、スピーチなどもよく依頼されるようで、いつも華や
かな印象の生地をお選びになります。
 お好みの生地を一言で表現すると、「さりげなく目立つ生地」…との事で、
このリーロイドスキャバルなどを好まれます。


◇お客様のスリーピース

◎表地:ウーステッド100% (400g)
◎裏地:キュプラ 鮮やかな青系
◎釦 : 水牛


〈正面〉              〈斜め前〉
リーロイド1 リーロイド2
・生地はウィリアム・リーロイド(WILLIAM LEAROYD)社製の少し粗めの
 ハッキリとしたストライプ
・デザインはシングル2ツ釦 ノッチラペル サイドベンツ


〈下から〉              〈横〉
リーロイド3  リーロイド4

〈寄り〉               〈裏地〉
リーロイド5  リーロイド6

 リーロイドを選ばれるもう一つの理由としては、生地の質感にあります。
 リーロイド社は1822年英国で創業され、「世界最高峰の生地」と称された
時代もありました。残念ながら現在はこの会社はありませんが、英国では
まだストックしている所があり、数は限られますが入手は可能です。
 さて、"生地の質感"ですが…ハリのあるしっかりとした生地で、仕立て
た際にラインが綺麗に出やすく身体にフィットするのが特徴といえます。

 この「リーロイド社」については、私も少々思い入れがありますので、次回
改めてご紹介したいと思います。



  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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