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#188.側章の話

Posted by KINN Tailor on 21.2014 側章の話   0 comments   0 trackback
 前回「拝絹」の話をしましたので、今回は「側章」の話をします。

 ご存知のように、燕尾服タキシードのパンツには「側章」(ブレード)
を付けます。側章は元々軍服などの飾りとして使われていた物ですが、タキ
シードの場合は幅2cm位の物を脇縫い目の上に1本、燕尾服にはそれよりも
少し細い物を2本並べて付けます。
 一般的には、ジャケットの拝絹地を細長く切り、両端を追って縫い付ける
方法を取っているようです。日本では拝絹地に朱子目(=つまり光った物)
をよく使うので、パンツも揃えるのが好まれるのだと思います。
 私共では、側章には拝絹地を切って使う事はせず、側章用のテープを使い
ます。「どうしてか?」を聞いた事はなかったのですが、そもそも父の時代
には拝絹と側章を同じ生地で揃える習慣がなかったようです。
 父とお客様とのやり取りを思い出してみても、拝絹地をどれにするか…は、
よく話し合っていましたが、側章については父にお任せ…という場合が殆ど
でした。
 お客様から「同じ生地で」というご要望があった場合は、拝絹地を切って
使いましたが、テープは端が綺麗に始末されていますので、薄くスッキリと
付けるられる…という事もあり、基本的にはテープを使っています。

 昭和20年頃までは、日本では越前屋さんと中野屋さんの2社がこの側章用
のテープを作っていました。どちらも軍服に付ける階級章などを扱うお店で、
軍服を作っていた時代はかなり色々な種類の飾りテープを織っていました。
 但し、主に織っていたテープはジャケットの縁に付けたりする物で、側章
よりも幅の広い物でしたので、わざわざ側章用に細いテープを織って貰って
いました。
 越前屋さんの話ですと、「側章がもっと大量に使われるようになるなら、
専用の機械を1台入れられるので、もっと早く織れるのですけどね・・・」
という位、需要は決して多くなかったようです。
側章**
側章用のテープ

 終戦後には、拝絹地と同様に海外の物が手に入るようになりましたので、
それを使うようになりました。輸入品は国産品よりも薄くスッキリと仕上が
っている物が多く、機械の差だろうか?・・・と思ったものです。
 拝絹地と違い、テープの方は現在でも色々と出回っていますので安心です。

 最後に、私共とは古くから取引きのある「渡辺誠一商店」さんが、先週の
ブログを見て下さり、「昔取り扱っていた、越後サベリの絹地が少し残って
いましたのでご参考までに・・・」と、わざわざ送ってくださいました。
越後サベリ**
越後サペリ

 しっとりとした絹地が大変懐かしく思いました。ありがとうございました。

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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