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#149. 型抜きの話

Posted by KINN Tailor on 07.2013 型抜きの話   0 comments   0 trackback
 お客様からご注文を頂く際には、通常ご希望のスタイルを伺ってデザイン
を決めていきますが、中にはご自分で描かれたイラストをお持ちになったり、
作りたい服の写真を送ってこられたりなさる方もいらっしゃいます。
 中にはご自分のお気に入りの服をお持ちになって「できるだけ同じデザイ
ンで、同じ雰囲気が出るように作って下さい」と仰る方もいらっしゃいます。
このような場合は、お洋服をお預かりして"型を抜く"のですが、これが単に
サイズを計れば良い…というものではないのです。

 以前、私が教えに行っていた工場で「メーカーから渡された見本と同じ服
を作りたいのだけれど、上手くできない」という相談を受けた事があります。
 その担当者はなるべく細かく採寸をしたとの事ですが、仕上がった服を見
てみると確かに何かが違うようでした。
 詳しく聞いてみると「上着の場合、後丈何センチ、前丈何センチ、幅何セ
ンチ、ポケットまで何センチ・・と計って、製図をしました」との事でした
が、実はこの方法ではうまくない事があります。つまり洋服は、仕上がった
物から計る寸法で作ったのでは、元の型紙と同じにはならない
のです。
 何故かと言いますと、どんな服でも縫製の途中で必ずアイロンやプレス機
で形を出す作業があって、生地の形が変わってしまうからなのです。

 では、このように形が変わってしまった物から元の形を抜くためにはどう
するか…と言いますと、生地の目がどうなっているのか…を見る事が大切に
なって来ます。
 図a.の計り方だと、胸まわりと胴まわりの寸法と、その差寸はわかります
が、ダーツがどれ位とってあるかはわかりません。そこで図b.のようにダーツ
の前と後の生地の目に糸
を入れます。
型抜きイラスト**

 そうすると生地の目が曲がっている事がわかると思いますが、そこでイ~
のそれぞれの寸法と、ニ~へのダーツ量を計れば、正確な型紙を作る事が
できる訳です。
 私は地の目が変わっている箇所全てに印を付けて、その寸法を計って型紙
を作るようにしています。

 お話しした工場でも、かなり沢山の所に印を入れて寸法を計っていたので
すが、あらためて「こんなに基準点が必要なんですね!」と驚いていました。
型を抜くのは簡単なようでいて、なかなか難しいものなのです。
 そして、この型紙を生かしながら自分流の修正を加えていかなくては、私
共で作る意味がなくなるのですが、その「どこまで自分流を入れるか」・・・
というのが実は一番難しいところでもある訳です。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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