Loading…

#338.特殊な体形について その参

Posted by KINN Tailor on 21.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は、オーバーネックについて説明します。

 オーバーネックは普段あまり計る事はありません。もし実際に計っている
方がいらっしゃったとしても、オーバーショルダーなどと同じ考えで計る事
が殆どではないでしょうか。つまり、首の付け根の位置を確認する事が目的
となりますから、片側だけ計れば良い…となります。
 私の場合は…肩や脇の位置が違うにも関わらず、オーバーショルダーが思
った程違わなかった時に、首の付け根の位置が左右でどれ位違うか…を知る
為に計りますので、両側計ります。

計り方は下の要領です。
27オーバーネック1  28オーバーネック2
鎌深から首の付け根を通って、胸のラインの前中心までを計る。

29オーバーネック3  30オーバーネック4
・次に反対側…胸の前中心から首の付け根を通って鎌深までを計る。

オーバーネックの採寸を図にすると、図のようになります。
オーバーネック寸法

・この方のオーバーネック寸法は右が49cm、左が51cmでした。
*この採寸によって、右の肩が首の付け根から1cm下がっている事がわかり
 ます。

◎そして、これこそ滅多に計らない箇所ですが・・・
31オーバーネックじゃなけいど資料
後ろから腕の付け根の位置を計ってみる。
*これが驚いた事に2.5cmの差がありました(普通は1~1.5cm程度)。
*右側の首の付け根が左側よりも下がり、肩先に行くほど差が大きくなって
 います。
*それに伴って脇の付け根も下がっている事がわかります。これだけの差が
 出るのは背骨が右側に曲がっている為です。

左右差を図で表すと、このようになります。
左右付き合わせ


 ここ迄で、上半身の左右の差を平面的に捉える事ができました。
 加えて、次回説明する「斜辺裁断法」によって、立体的に…背中の膨らみ
具合の違いを正確な数字で
知る事ができるようになります。

〈つづく〉

#337.特殊な体形について その弐 (改定)

Posted by KINN Tailor on 07.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
8/7公開の本ブログに一部訂正があるため、以下を改訂版として差し替え
 させて下さい。


     *   *   *   *   *   *

 それでは、採寸した数字を用いて説明していきます(私は「短寸式」
採寸を行います)。

①肩幅XS(Cross Shoulder)
1肩幅
腕の付け根から真っ直ぐ上がった所を始点として反対側までを計る: 48cm
*この方と同じ位の体形だと46cm位なので、肩幅が少し広い事がわかる。

②背幅XB(Cross Back)
肩から腕の付け根の1/2の所を始点として反対側まで計る: 44cm
*普通よりも少し広め

③鎌深SD(Scye Depth)
5鎌深  5−2鎌深
ソケットボーンから脇の下のラインまでを計る: 21cm
(脇の下に手を入れて、脇の下の位置を確認してから計ると良い)
*普通よりもやや長め

 次に計る越肩前肩は普通片側しか計りませんが、この方のように左右の
肩の位置が違う場合は、両側共
計ります。

④越肩OS(Over Shoulder)
6越肩
鎌深の下のポイントから前の腕の付け根までを計る: 左 48cm、右 47cm
*思っていたよりも差がなかった。

⑤前肩ST(Strap) 
7前肩
ソケットボーンから前の腕の付け根までを計る: 左 36cm、右 35cm
*これも思っていた程ではなかった。

⑥ブレード
9ブレード  8ブレード
鎌深の下のポイントから脇の下を通り、腕の前の付け根までを計る
左 34cm、右 33cm
*この位の差は、まぁよくある数字。


 前回、背中を触っている写真を見て頂いたと思いますが、その時わかった
事があります。それは単に左右の肩の高さが違うというのではなく、背骨が
曲がっている事によって肩の高さが違っている
…という事です。
 そして実際に採寸してみると、身体の曲がりから想定した程、左右の数字
の違いがなかった事に少々戸惑いました。
 何故かと言うと・・・この方のように左右の肩の高さが違う場合、型紙は
左右別々に作る
必要があります。ところが数字に差がなかった為、製図する
上で必要な「ネックポイント」を別々に割り出す事ができなかったのです。
 その為、普段は計らない「オーバーネック」を計る事にしました。

 次回は、そのオーバーネックから説明します。

〈つづく〉

#132.袖の話 ~採寸~

Posted by KINN Tailor on 10.2013 採寸の話   0 comments   0 trackback
 お客様の採寸をさせて頂く時に、特に注意を払う箇所として挙げられるの
「袖丈」です。

 一般的に袖丈何センチというと、袖の山の一番上から袖口までの事を云い
ます。私は下図のように4カ所採寸をするようにしています。
袖採寸イラスト**
 そして、袖丈の基本の寸法として用いるのは、脇の下から袖口までの内丈
です。
 成人の腕の長さは、そうそう変化するものではありませんが、身頃の作り
方やデザインによって、山袖は予想以上に影響を受ける物です。
 まず一番大きく影響する物として「パッド」があります。
 お客様の肩の角度(いかり肩やなで肩)や、お客様のお好みでパッドの厚
さを変えますが、その場合は袖山の高さも変える必要があります。
 次に「肩幅」です。
 肩幅を広くした場合は袖丈を短くしますし、狭い肩幅がお好みの場合は袖
丈を長くしないと足りなくなってしまいます。
 お客様から以前作った服を今風のデザインに直したい…というご相談を受
ける事がたまにあります。ゆったりした身頃をタイトにする…というご注文
が少なくないのですが、この場合は袖をそのまま付けてしまいますと丈が短
くなってしまう訳です。通常ですと袖山には縫い込みが入っていませんから、
一度袖を外して、山袖のラインを描き直して付けなければなりません。
袖丈イラスト**
 袖の採寸で、とても難しいのが「下がる角度」です。人間の身体には色々
な癖がありますが、自然に立って手を下げた時に、手が身体の前の方へ下が
る方と、そうでない方とがいらっしゃいます。
 私は袖付けの前の線(下がり)から何センチのところに、袖口が来るかを
計り、それを袖山の製図に活かすようにしています。
袖 腕の位置横向き**
 私がまだ若かった頃に、経験不足からこんな失敗をしたことがありました。
お客様はややお年を召した方で、仮縫いまでは順調に進み特に問題はありま
せんでした。ところが仕上がってお召し頂いた時に、突然(?)袖丈が短く
なってしまったのです。
 とてもびっくりしましたが、よくよくお話を伺ってみますと、その方は普
段から肘を少し曲げた姿勢をなさっていたのです。私はその状態で仮縫いを
して仕上げてしまったのですが、完成した服をお召しになった時に、肘を伸
ばされたので丈が足りなくなった…という訳でした。袖口に縫い込みがあり
ましたので、お直しをして無事に納める事ができましたが、普段の姿勢には
があるもので、それによっては姿勢を良くした時に長さ(袖丈に限りませ
んが)が変わることもある…という大変貴重な経験をさせて頂だいた訳です。

 次週は、今回お話をした事柄を製図にするとどうなるか、お話ししたいと
思います。

#118.掌の感触

Posted by KINN Tailor on 04.2013 採寸の話   0 comments   0 trackback
 先日、ある雑誌の取材を受けた時に「私は採寸をする際に、掌でお客様の
お体の形を感じ取る
のをとても大切にしている」という話をしましたところ、
大変興味を持たれました。

 実際に採寸をする際に必ずやっていることなのですが、例えば両方の肩を
上から掌を当てさせて頂き、肉の付き方、骨の感じ、そして肩から背中、肩
から腕へのラインなどを感じ取る訳です。
 これをやり始めたのは、仕事を始めて12~3年経ってからの事です。私が
修行を始めた頃の採寸法は、一般的に「胸寸式」でしたが、私はそれよりも
各部の寸法を細かく採寸する「短寸式」を勉強しました。
 ですから寸法はかなり細かく取るのですが、その頃に思ったのは、「人間
の身体は各所に凹凸があるので、もっと細かく寸法を取りたい!」という事
でした。
 そこで、実際にやってみたのですが・・・例えば、パンツを製図する上で
大変やっかいな”ふくらはぎ”を細かく採寸しようとすると、縦方向、横方向共、
とても沢山の寸法を頂く必要がありましたし、いざその数字を使って製図を
し仮縫いをしたところ、決して満足のいく結果にはなりませんでした。
 つまり私は、身体にピッタリくっつくボディスーツを作りたかった訳では
なく、その方の体型に合っていて、着心地が良く綺麗なラインの出る服を作
りたかったので、やたらと採寸をすればいい…という事ではなかったのです。
 そこで辿り着いたのが、正しい採寸をすると同時に、掌を使ってその方の
体型を”感触”として掴み取り、ラインに活かす…という発想だったのです。
 勿論、やり始めて直ぐにできた訳ではありませんでしたが、オーダーメイ
の良いところは”仮縫い”という作業がありますので、そこで微妙な調整をさ
せて頂ける訳です。そして、それを繰り返して行く内に、今では自然と掌で
感じた事をラインで描く事ができるようになりました。
 本当に人間の身体というのは実に素晴らしい物で、訓練と云いましょうか、
経験を積む事によって最初は(それこそ)手探りだったものが、確実なもの
になっていくのですね。

 私は私塾の生徒さんやセミナーの時に、「製図の勉強をする時は、必ず原寸
で描くように」とアドバイスをしています。馴れていないうちは、小さい
1/4サイズ位の画だと結構上手く描けますし、何となくバランスも取れている
感じになります。でも、実際に仕事で使うのは原寸大な訳です。いざ、描い
てみようと思っても、身体が覚えていないと描けません。特にカーブは、サ
イズが大きくなった途端に難しくなってしまいます。でも、アームホールや
アゴグリ、全体のバランスを整えるラインなどは全部カーブですから・・・
原寸大で練習して身体に覚えさせてしまえば間違いない訳です。

 私は今、製図の本作成の為に1/4サイズでパターンを描いているのですが、
いつもは原寸大ですから、それこそ変に気を使ってしまい、大変疲れる日々
を送っています。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR