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#132.袖の話 ~採寸~

Posted by KINN Tailor on 10.2013 採寸の話   0 comments   0 trackback
 お客様の採寸をさせて頂く時に、特に注意を払う箇所として挙げられるの
「袖丈」です。

 一般的に袖丈何センチというと、袖の山の一番上から袖口までの事を云い
ます。私は下図のように4カ所採寸をするようにしています。
袖採寸イラスト**
 そして、袖丈の基本の寸法として用いるのは、脇の下から袖口までの内丈
です。
 成人の腕の長さは、そうそう変化するものではありませんが、身頃の作り
方やデザインによって、山袖は予想以上に影響を受ける物です。
 まず一番大きく影響する物として「パッド」があります。
 お客様の肩の角度(いかり肩やなで肩)や、お客様のお好みでパッドの厚
さを変えますが、その場合は袖山の高さも変える必要があります。
 次に「肩幅」です。
 肩幅を広くした場合は袖丈を短くしますし、狭い肩幅がお好みの場合は袖
丈を長くしないと足りなくなってしまいます。
 お客様から以前作った服を今風のデザインに直したい…というご相談を受
ける事がたまにあります。ゆったりした身頃をタイトにする…というご注文
が少なくないのですが、この場合は袖をそのまま付けてしまいますと丈が短
くなってしまう訳です。通常ですと袖山には縫い込みが入っていませんから、
一度袖を外して、山袖のラインを描き直して付けなければなりません。
袖丈イラスト**
 袖の採寸で、とても難しいのが「下がる角度」です。人間の身体には色々
な癖がありますが、自然に立って手を下げた時に、手が身体の前の方へ下が
る方と、そうでない方とがいらっしゃいます。
 私は袖付けの前の線(下がり)から何センチのところに、袖口が来るかを
計り、それを袖山の製図に活かすようにしています。
袖 腕の位置横向き**
 私がまだ若かった頃に、経験不足からこんな失敗をしたことがありました。
お客様はややお年を召した方で、仮縫いまでは順調に進み特に問題はありま
せんでした。ところが仕上がってお召し頂いた時に、突然(?)袖丈が短く
なってしまったのです。
 とてもびっくりしましたが、よくよくお話を伺ってみますと、その方は普
段から肘を少し曲げた姿勢をなさっていたのです。私はその状態で仮縫いを
して仕上げてしまったのですが、完成した服をお召しになった時に、肘を伸
ばされたので丈が足りなくなった…という訳でした。袖口に縫い込みがあり
ましたので、お直しをして無事に納める事ができましたが、普段の姿勢には
があるもので、それによっては姿勢を良くした時に長さ(袖丈に限りませ
んが)が変わることもある…という大変貴重な経験をさせて頂だいた訳です。

 次週は、今回お話をした事柄を製図にするとどうなるか、お話ししたいと
思います。

#118.掌の感触

Posted by KINN Tailor on 04.2013 採寸の話   0 comments   0 trackback
 先日、ある雑誌の取材を受けた時に「私は採寸をする際に、掌でお客様の
お体の形を感じ取る
のをとても大切にしている」という話をしましたところ、
大変興味を持たれました。

 実際に採寸をする際に必ずやっていることなのですが、例えば両方の肩を
上から掌を当てさせて頂き、肉の付き方、骨の感じ、そして肩から背中、肩
から腕へのラインなどを感じ取る訳です。
 これをやり始めたのは、仕事を始めて12~3年経ってからの事です。私が
修行を始めた頃の採寸法は、一般的に「胸寸式」でしたが、私はそれよりも
各部の寸法を細かく採寸する「短寸式」を勉強しました。
 ですから寸法はかなり細かく取るのですが、その頃に思ったのは、「人間
の身体は各所に凹凸があるので、もっと細かく寸法を取りたい!」という事
でした。
 そこで、実際にやってみたのですが・・・例えば、パンツを製図する上で
大変やっかいな”ふくらはぎ”を細かく採寸しようとすると、縦方向、横方向共、
とても沢山の寸法を頂く必要がありましたし、いざその数字を使って製図を
し仮縫いをしたところ、決して満足のいく結果にはなりませんでした。
 つまり私は、身体にピッタリくっつくボディスーツを作りたかった訳では
なく、その方の体型に合っていて、着心地が良く綺麗なラインの出る服を作
りたかったので、やたらと採寸をすればいい…という事ではなかったのです。
 そこで辿り着いたのが、正しい採寸をすると同時に、掌を使ってその方の
体型を”感触”として掴み取り、ラインに活かす…という発想だったのです。
 勿論、やり始めて直ぐにできた訳ではありませんでしたが、オーダーメイ
の良いところは”仮縫い”という作業がありますので、そこで微妙な調整をさ
せて頂ける訳です。そして、それを繰り返して行く内に、今では自然と掌で
感じた事をラインで描く事ができるようになりました。
 本当に人間の身体というのは実に素晴らしい物で、訓練と云いましょうか、
経験を積む事によって最初は(それこそ)手探りだったものが、確実なもの
になっていくのですね。

 私は私塾の生徒さんやセミナーの時に、「製図の勉強をする時は、必ず原寸
で描くように」とアドバイスをしています。馴れていないうちは、小さい
1/4サイズ位の画だと結構上手く描けますし、何となくバランスも取れている
感じになります。でも、実際に仕事で使うのは原寸大な訳です。いざ、描い
てみようと思っても、身体が覚えていないと描けません。特にカーブは、サ
イズが大きくなった途端に難しくなってしまいます。でも、アームホールや
アゴグリ、全体のバランスを整えるラインなどは全部カーブですから・・・
原寸大で練習して身体に覚えさせてしまえば間違いない訳です。

 私は今、製図の本作成の為に1/4サイズでパターンを描いているのですが、
いつもは原寸大ですから、それこそ変に気を使ってしまい、大変疲れる日々
を送っています。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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