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#342.特殊な体形について その七

Posted by KINN Tailor on 16.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は、ベストとパンツの採寸です。

■ベストの採寸

①襟開OP(Open)
18ベストオープン
・ソケットボーンからベストのVゾーンの上端迄を計ります。

②脇丈SL(Side Length)
19ベスト脇丈
・ソケットボーンから首の付け根を通り、ベストの脇の長さを計ります。注)1

③前丈FL(Front Length)
17ベスト前丈
・ソケットボーンからベストの前の開き迄を計ります。注)2

④背丈BL(Back Length)
20ベスト背丈
・ソケットボーンからパンツの上が隠れる位の長さを計ります。

*尚、最近はベストを短めに作る傾向がありますが、本来は手を上げたり、
 前かがみになってもシャツが見えない長さに仕立てるのが基本です。
注)1、2も同様で、ベルトが見えない長さ迄を計るようにします。


■パンツの採寸

 イラストの箇所↓を計ります。
img006.jpg

①パンツ丈OS(Out Seam)
・腰のくびれた所から靴のかかとの上迄計り、そこから1.5~2cm短くします。
・かかとが高い靴の場合は、短くする量を少なくします。

②股下IS(In Seam)
・物差しを股に入れ、靴のかかとの上迄を計ります。パンツ丈と同様に調整します。

③ふくらはぎCA(Calf)
・パンツの裾位置からふくらはぎの一番張っている所迄を計ります。注(3

④腿T(Thigh)
・腿にメジャーを巻き、お客様に確認をしながら、適当な緩みを付けて計ります。

⑤膝K(Knee)
・膝の位置でパンツの幅を計ります。

⑥裾B(Bottom)
・裾の位置で幅を計ります。
*モーニングカットにする場合は、靴との関係を考えて前上がりの量
 決めます。

 パンツの採寸をする際に注意しなければならないのが、脚の形です。
 残念な事に、脚が真っ直ぐな方は比較的少なく、大抵はX脚であったりO脚
だったりします。特に日本人に多いのはO脚ですが、極端に膝と膝の間が開
いている方の場合など、三角定規を使って離れ具合を確認させて頂く場合も
あります。
 また、ふくらはぎの張り具合を知っておく事も大切です。ふくらはぎの高さを計るだけではなく、
直接ふくらはぎを触って張り具合を確認するようにしましょう。

⑦ふくらはぎの具合を確認
22ふくらはぎ1

・極端なO脚やふくらはぎの張りが強い場合は、それなりの細工が必要になります。
"それなりの工夫"については、別の機会に説明したいと思います。)

 次回から、裁断について解説していきます。


341.特殊な体形について その六

Posted by KINN Tailor on 02.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 では、採寸の続きを説明したいと思います。
(※肩周りの製図の仕方は、後日改めて説明します。)

 今回の方はとても不思議な事に…肩周りだけが特殊で他の箇所はごく一般
的な数字でした。
 普通、肩の数字が左右でこれ程違いがある場合は、腰や足などにも影響が
出るものですが、それが全くない事も、ある意味"特殊"と言えます。
 特に変わった数字ではありませんでしたので、ここでは採寸の際の注意点
を主に説明していきたいと思います。

体形その6イラスト

①背丈WL(Waist Length)
・ソケットボーンから腰の最もくびれた所迄を計ります。
・パンツのベルトの位置を計るのではなく、実際の腰の位置を計るように
 します。

②上着丈CL(Coat Length)
・ソケットボーンから親指の第一関節迄計ります。
・上着丈はお客様のお好みによりますので、採寸をしながら伺うと良いで
 しょう。
・長めの丈にする場合は親指の先迄、短めの場合は親指の付け根迄が目安と
 されています。

③総丈FL(Full Length)
・ソケットボーンからかかと迄計ります。
・靴を履いている場合、靴のかかとの上迄計ります。

④胸囲B(Breast)
・腕の付け根の所で胸一周計ります。
・あまりキツくなり過ぎないように、指が2~3本入る位緩めに計ります。
・肩甲骨があるので、テープが前上がり、後ろ下がりになりやすいので気を
 付けます。

⑤胴囲W(Waist)
・腰のくびれた所を計ります。
・胸囲と同様に緩めに計ります。パンツ用の胴囲は緩めずに計ります。

⑥尻囲H(Hip)
・ヒップの一番出ている所を計ります。こちらも緩めにします。

⑦胸幅XC(Cross Chest)
・肩から腕の付け根の1/2の所を反対側まで計ります。

⑧胸幅Xbu(Cross Bust)
・腕の付け根の所を反対側の付け根まで計ります。
・製図の時に使うのは⑧の数字です。⑦はアームホールを描く時に参考に
 するために必要です。

⑨裄FSL(Full Sleeve Length)
・ソケットボーンから肩の上を通り、手首迄を計ります。

⑩外丈OSL(Outside Length)
・肩の上から手首迄を計ります。

⑪内丈ISL(Inside Length)
・腕の付け根から手首迄を計ります。

⑫ヒジL
16L寸
・背の中心から背幅のポイントを通り、腕に沿って肘迄計り、肘から先は腕
 を直角に曲げた状態で手首迄計ります。
・L寸は製図の後に、この数字が取れているかを確認するために計ります。

 次回は、ベストパンツ用の採寸についてお話しします。

〈つづく〉

340.特殊な体形について その五

Posted by KINN Tailor on 18.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 それでは、実際に「斜辺裁断」用の採寸をしてみます。

①高さ
斜辺採寸1
・鎌深は既に計ってありますのでその数字を利用します。

②底辺
斜辺2
・鎌深の下のポイントから脇(肩先から真っすぐに降りてきた所)迄。

③肩の高さ
斜辺3
・脇から肩先迄を計ります。

④内側斜辺
斜辺4
・脇からソケットボーン迄。

⑤外側斜辺
斜辺5
・鎌深から肩先迄を計ります。

 普通は片側だけ採寸しますが、この方の場合は差がかなりありそうでした
ので、両側計りました。すると外側斜辺は左に比べて右が1cm少なく内側
斜辺は右が2cmも少ない
という結果になりました。
斜辺イラスト
 つまり、左肩に比べて右肩が下がっている為に外側斜辺が短くなり、右の
肩甲骨の膨らみが少ない為に内側斜辺が少ない
事がわかります。
   斜辺数値

 よくあるケースでは…肩のどちらかが下がっている、またはスポーツなど
の影響で、どちらかの肩に筋肉が余計に付いている・・・などで、このよう
な場合は肩線の位置を調整する事で概ね解決します。
 しかし今回の場合は、肩の位置が違うだけでなく腕の付け根の位置も違う
事がわかっていました。更に、今回の採寸によって肩甲骨の膨らみ方に差が
ある
事もわかりました。つまり、肩甲骨を含めた肩の大きさ(形)が左右で
かなり違う
という事なのです。
 これらの事から、後身頃と襟の製図は、左右別々に行う必要がある事が
わかりました。

〈つづく〉




339.特殊な体形について その四

Posted by KINN Tailor on 04.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は「斜辺裁断」について説明します。 

 私は最初から短寸式を勉強して製図をしていました。短寸式は細かい数字
がわかるので、体形に合った製図ができ、他の採寸法より良い・・・という
のが私の感想です。
 それでも実際に服を作ってみると、背の長さが不足する…つまり服の背の
裾がハネる等、時々妙な事が起りました。
 色々悩んだ末に出た答えが、「肩甲骨の膨らみ分が不足している」という
事でした。

 ところが、その頃は肩甲骨の膨らみを計る方法はありませんでした。そこ
で、膨らみを計る為に、幾つかのポイントを決めました。
 私なりに考えたポイントは、以下の4つです。
①ソケットボーン ②鎌深 ③脇 ④肩先 
(図 イラスト1)
 その計り方は・・・
①〜②:ソケットボーンから鎌深(高さ) 
②〜③:鎌深から脇(底辺) 
③〜④:脇から肩先(肩の高さ) 
③〜①:.脇からソケットボーン(内側斜辺)
及び
②〜④:鎌深から肩先(外側斜辺)
・・・です。
特殊体形 採寸4

 計った数字を使うと、2つの三角形が描けます。
(図 イラスト2)
 この三角形の形を見るだけで、概ねその肩周りの体形を掴む事ができます。
 例えば、日本人に多い「イカリ肩」の場合は、③~④が長くなるか①~②
が短くなります。
 内側斜辺①~③を計る事によって、首の位置が前に付いているか、後に付
いているかがわかります。
 また外側斜辺④~②を計る事によってどれ位前肩か…が数字でわかるよう
になりました。
 一番知りたかった肩甲骨ですが、膨らんでいる人は①~③、②~④の寸法
が長くなりますので、①~④の間隔が広くなります。その場合は、肩のイセ
込みが沢山必要になる・・と言ったような具合に、肩甲骨周りの数字を知る
事で、膨らみだけでなく肩や首の位置もわかるようになったので、それ迄と
は全く違う感覚の製図となり、後身頃の下がり具合が格段と綺麗になったの
です。

 次回から採寸の続きに戻ります。

〈つづく〉

#338.特殊な体形について その参

Posted by KINN Tailor on 21.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は、オーバーネックについて説明します。

 オーバーネックは普段あまり計る事はありません。もし実際に計っている
方がいらっしゃったとしても、オーバーショルダーなどと同じ考えで計る事
が殆どではないでしょうか。つまり、首の付け根の位置を確認する事が目的
となりますから、片側だけ計れば良い…となります。
 私の場合は…肩や脇の位置が違うにも関わらず、オーバーショルダーが思
った程違わなかった時に、首の付け根の位置が左右でどれ位違うか…を知る
為に計りますので、両側計ります。

計り方は下の要領です。
27オーバーネック1  28オーバーネック2
鎌深から首の付け根を通って、胸のラインの前中心までを計る。

29オーバーネック3  30オーバーネック4
・次に反対側…胸の前中心から首の付け根を通って鎌深までを計る。

オーバーネックの採寸を図にすると、図のようになります。
オーバーネック寸法

・この方のオーバーネック寸法は右が49cm、左が51cmでした。
*この採寸によって、右の肩が首の付け根から1cm下がっている事がわかり
 ます。

◎そして、これこそ滅多に計らない箇所ですが・・・
31オーバーネックじゃなけいど資料
後ろから腕の付け根の位置を計ってみる。
*これが驚いた事に2.5cmの差がありました(普通は1~1.5cm程度)。
*右側の首の付け根が左側よりも下がり、肩先に行くほど差が大きくなって
 います。
*それに伴って脇の付け根も下がっている事がわかります。これだけの差が
 出るのは背骨が右側に曲がっている為です。

左右差を図で表すと、このようになります。
左右付き合わせ


 ここ迄で、上半身の左右の差を平面的に捉える事ができました。
 加えて、次回説明する「斜辺裁断法」によって、立体的に…背中の膨らみ
具合の違いを正確な数字で
知る事ができるようになります。

〈つづく〉

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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