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#100.ベストの話

Posted by KINN Tailor on 29.2012 ベストの話   5 comments   0 trackback
 近頃、三つ揃いとしてではなく、ベスト(Vest)を着る方が増えてきたよう
に思います。それはやはりスーツではなく、ジャケットとパンツという着方
が一般に広がってきた事が影響しているのでしょう。

 ジャケットとパンツという組み合わせですと、かなりカジュアルな印象に
なりますが、そこにベストを加える事で一寸お洒落な雰囲気になりますし、
素材や色を変えるのも比較的手軽にできるので、とても便利なアイテムでは
ないでしょうか。
 最近の傾向ではニット素材の物が多いようですが、これからの季節でした
ツィードなども合わせやすく、カジュアルな装いと言えどもベストを着る
事でグレードが上がります。
 昔は普通のスーツに違う生地でベストを合わせる事が殆どで、その代表的
な物が以前もご紹介したタタソール(Tattersall)です。比較的薄い色の地
に2色の格子(ガンクラブチェック)が入っている物です(♯013.ポケット
の蓋で紹介)。
 生地だけで見ると結構派手なのですが、ベストに仕立ててジャケットの間
からチラリとのぞいているところなど、とてもお洒落な感じがします。
 私共へお見えになった古いお客様方は皆さん一枚位は、このタタソールを
お作りになりました。
 ベストがお好きなお客様は気軽な時にジャケットを着ないでベストだけ
お出かけになる事もあります。この場合は背中も共布で作り、丈をやや長め
にする事が多いです。
 更にお好みの方はベストに袖を付けられます。ベストに袖が付いたらジャ
ケットと同じじゃないか…と思われる方もいらっしゃると思いますが、これ
が違うのです。
 昔は、イギリスの郵便配達人が着ていました。このような用途に使われた
ベストは古い裁断書にも載っていて、「袖付ベスト」という項目になってい
ます。つまりジャケットの短い物という位置づけではなく、あくまでも”袖の
付いたベスト”
なのです。
 材料も割と肉厚なものを使い保温力を充分持たせ、身頃は身体に密着させ
て軽快に動けるよう配慮されています。当時は一種の"働き着"として考えられ
たのでしょう。

袖付きベストの裁断書**
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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