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#330.スポーツジャケットの仕立て 二十六 (最終話)
さて、いよいよ最終工程…ジャケットに仕上げアイロンを掛けて行きます。
1.まず袖から始め、次に背中を掛けます。

※仕上げアイロンは本来、"あて布"をし、時間をかけてじっくり掛けますが、
今回は見やすいように、"あて布"なしで説明します。
2.前身頃

・続いて前身頃です。前の端の所もしっかり押さえます。

・脇の縫目は多少上へ引っ張るようにアイロンを掛け・・・
その上げた分を胸の方へ持って行き・・胸の膨らみを出します。
・襟の返り線の所は裏からアイロンをあてて、一度線を消します。
3.肩

・肩は背中の真ん中から肩に向かって掛け、前肩になるように手で加減を
しながら、アイロンを掛けます。
4.襟

・襟は上から押さえます。
5.袖 付け根

・最後に袖の山の形を整えます。
・アイロンで蒸かして、手で形を整えます。
*半年もの時間が掛かりましたが、無事に仕上がりました。

・着てみました。シックリ来ます。
□全体

・今回ハリスツイードを使用しましたが、昔の物とは違い、比較的柔らかく
作り易い生地でした。
□襟

・ストームタブを使用しない時、襟の後ろに納めず、常に見えるデザインに
しました。
□袖

・釦ホールの糸の色が合わず、解いてやり直しました。
・ほつれ易い生地かと思っていましたが、意外とそうでもなく、綺麗に仕上
がってホットしました。
□ストームタブ

・冬場に暖かいだけではなく、デザイン的にも好きなので付けました。
昨年11月からスタートした、今回の企画でしたが、思ったより長くなってしまいました。
お付き合い頂きました皆様に感謝します。
次回からは、また懐かしい話などを綴ってみたいと思っています。
1.まず袖から始め、次に背中を掛けます。

※仕上げアイロンは本来、"あて布"をし、時間をかけてじっくり掛けますが、
今回は見やすいように、"あて布"なしで説明します。
2.前身頃

・続いて前身頃です。前の端の所もしっかり押さえます。

・脇の縫目は多少上へ引っ張るようにアイロンを掛け・・・
その上げた分を胸の方へ持って行き・・胸の膨らみを出します。
・襟の返り線の所は裏からアイロンをあてて、一度線を消します。
3.肩

・肩は背中の真ん中から肩に向かって掛け、前肩になるように手で加減を
しながら、アイロンを掛けます。
4.襟

・襟は上から押さえます。
5.袖 付け根

・最後に袖の山の形を整えます。
・アイロンで蒸かして、手で形を整えます。
*半年もの時間が掛かりましたが、無事に仕上がりました。

・着てみました。シックリ来ます。
□全体

・今回ハリスツイードを使用しましたが、昔の物とは違い、比較的柔らかく
作り易い生地でした。
□襟

・ストームタブを使用しない時、襟の後ろに納めず、常に見えるデザインに
しました。
□袖

・釦ホールの糸の色が合わず、解いてやり直しました。
・ほつれ易い生地かと思っていましたが、意外とそうでもなく、綺麗に仕上
がってホットしました。
□ストームタブ

・冬場に暖かいだけではなく、デザイン的にも好きなので付けました。
昨年11月からスタートした、今回の企画でしたが、思ったより長くなってしまいました。
お付き合い頂きました皆様に感謝します。
次回からは、また懐かしい話などを綴ってみたいと思っています。
#329.スポーツジャケットの仕立て その二十五
前回袖が付きましたので、今日は袖を綴じるところからです。
「綴じ」は、袖付けの中でも一番難しい作業と言われています。表地と裏地
やパッドなどがきちんとした位置に止まるように綴じを行います。
糸をきつく入れ過ぎると動きが悪くなりますし、ぐすぐすでは綴じた意味
がなくなります。どの程度の間隔で、どんな力具合で・・・という事を説明
するのは難しく、これこそは経験を積んで「力加減」を掴んでいくしかない
と思います。
①袖を綴じる

・躾糸2本取りで袖を綴じていきます。
・袖の付け根に入れた糸をガイドにして、糸を入れます。
・充分注意しないと糸が表から見えてしまいますので、ひと針づつ確認します。

・袖一周に糸を入れるとなると、途中で糸が足りなくなります。
新しい糸にする時は、糸を止めてしまわずに新しい糸を繋いでいきます。
・綴じが入りました。

・余分な生地をカットして行きます。
・生地は仕上がり線から20mm~25mmにカットしますが、袖の後ろの縫い目
の所はカットせずに残します。
・後から袖付けの角度が変わった時…例えば肩幅を狭くしたくなった時など
に必要になります。
②ユキ綿を付ける

・ユキ綿は、袖の前の合い印から後の合い印の少し先まで入れます。
・ユキ綿が付きました。
③アイロンをかける

・縫目を押さえて・・・次に上からも押さえます。

・袖山にアイロンのスチームをあてた後に、手で形を出します。
・袖付けが終わりました。後は裏地を処理すれば身頃が完成します。
④ストームタブを付ける

・今回、ストームタブを付ける事にしました。

・ストームタブ用の釦を付けます。糸はツレデを使います。
・結び目は作らず、糸を生地に2度通すと糸が止まります。
・釦に糸を4回通します。

・糸をぐるぐると巻き付け・・・

・その柱に糸を数回刺して、でき上がりです。
次回、いよいよ仕上げにかかります。
〈つづく〉
「綴じ」は、袖付けの中でも一番難しい作業と言われています。表地と裏地
やパッドなどがきちんとした位置に止まるように綴じを行います。
糸をきつく入れ過ぎると動きが悪くなりますし、ぐすぐすでは綴じた意味
がなくなります。どの程度の間隔で、どんな力具合で・・・という事を説明
するのは難しく、これこそは経験を積んで「力加減」を掴んでいくしかない
と思います。
①袖を綴じる

・躾糸2本取りで袖を綴じていきます。
・袖の付け根に入れた糸をガイドにして、糸を入れます。
・充分注意しないと糸が表から見えてしまいますので、ひと針づつ確認します。

・袖一周に糸を入れるとなると、途中で糸が足りなくなります。
新しい糸にする時は、糸を止めてしまわずに新しい糸を繋いでいきます。
・綴じが入りました。

・余分な生地をカットして行きます。
・生地は仕上がり線から20mm~25mmにカットしますが、袖の後ろの縫い目
の所はカットせずに残します。
・後から袖付けの角度が変わった時…例えば肩幅を狭くしたくなった時など
に必要になります。
②ユキ綿を付ける

・ユキ綿は、袖の前の合い印から後の合い印の少し先まで入れます。
・ユキ綿が付きました。
③アイロンをかける

・縫目を押さえて・・・次に上からも押さえます。

・袖山にアイロンのスチームをあてた後に、手で形を出します。
・袖付けが終わりました。後は裏地を処理すれば身頃が完成します。
④ストームタブを付ける

・今回、ストームタブを付ける事にしました。

・ストームタブ用の釦を付けます。糸はツレデを使います。
・結び目は作らず、糸を生地に2度通すと糸が止まります。
・釦に糸を4回通します。

・糸をぐるぐると巻き付け・・・

・その柱に糸を数回刺して、でき上がりです。
次回、いよいよ仕上げにかかります。
〈つづく〉
#328.スポーツジャケットの仕立て その二十四
◎前回作った袖に釦を付け、裏地を仮付けしました。


・当初、釦ホールの糸は裏地の色と同じような赤茶色を考えていました。
・実際に使ってみたところ、糸が意外と目立ってしまったので、少しぼやけた
ような茶色にしてみると、全体と上手く溶け合い良い感じに仕上がりました。
①袖山をイセる

・躾糸を2本取りにして細かく糸を入れて行きます。
・糸を引いて(約30mm)イセ込みます。

・イセ込んだ所を、アイロンで上手に蒸かして馴染ませます。
・綺麗な山になりました。
②袖を付ける

・身頃の袖を付ける位置にチョークを引き直します。
・合い印を合わせて、躾糸で止めて行きます。
*** 袖付け解説 ***

・袖のイセ込み具合や生地の厚さなどによって、合い印を合わせて付けても
袖が綺麗に落ちない場合があります。そのような場合は上のイラストを参考
に調整してみて下さい。

・袖の仮付けをして問題が無かったら、穴糸を使い返し縫いで止めて行きます。
・袖が付きました。
・裏地や芯が動かないように、袖の付け根身頃側に躾糸を入れます。

・アイロンで縫い目を押さえます(山側のみ)。
・次に鉄台に袖を刺し込んで・・・今度は上から押さえます。
前側、後側、真ん中と順番に押さえて行きます。

・袖山の形が綺麗に出ました。
次回は、袖付けの続きを説明します。
〈つづく〉


・当初、釦ホールの糸は裏地の色と同じような赤茶色を考えていました。
・実際に使ってみたところ、糸が意外と目立ってしまったので、少しぼやけた
ような茶色にしてみると、全体と上手く溶け合い良い感じに仕上がりました。
①袖山をイセる

・躾糸を2本取りにして細かく糸を入れて行きます。
・糸を引いて(約30mm)イセ込みます。

・イセ込んだ所を、アイロンで上手に蒸かして馴染ませます。
・綺麗な山になりました。
②袖を付ける

・身頃の袖を付ける位置にチョークを引き直します。
・合い印を合わせて、躾糸で止めて行きます。
*** 袖付け解説 ***

・袖のイセ込み具合や生地の厚さなどによって、合い印を合わせて付けても
袖が綺麗に落ちない場合があります。そのような場合は上のイラストを参考
に調整してみて下さい。

・袖の仮付けをして問題が無かったら、穴糸を使い返し縫いで止めて行きます。
・袖が付きました。
・裏地や芯が動かないように、袖の付け根身頃側に躾糸を入れます。

・アイロンで縫い目を押さえます(山側のみ)。
・次に鉄台に袖を刺し込んで・・・今度は上から押さえます。
前側、後側、真ん中と順番に押さえて行きます。

・袖山の形が綺麗に出ました。
次回は、袖付けの続きを説明します。
〈つづく〉
#327.スポーツジャケットの仕立て その二十三
袖作りを続けます。
◎今回、釦は水牛を選びました。

・天然素材ならでは…の質感と高級感、耐久性が魅力です。
⑤釦を付ける位置を確認する

・袖口には4つ…釦を付けます。
・下から27mmの所が第一釦で、間隔は15mmにします。
・第四釦から20mmまでを開ける事にします(上二つの釦は飾りにするので、
実際には開きません)。
・写真のような並びになります。
⑥躾糸で止めて縫う

・柄が合うように確認しながら躾糸で止めて、ミシンで縫います。
⑦アイロンで割る

・アイロンで縫い目を割ります。
・山袖側は仕上がり線で折ります。
・下袖側は開き止まりから15cm上の所を斜めに折って、アイロンをかけます。
⑧釦ホールをかがる

・袖の端から15mm入った所が穴の中心、全体を20mmとして印を付けます。
・穴ミシンを掛け・・・ハトメで穴を開けて、ノミで切ります。
⑨袖口を仕上げる

・釦ホールができました。上二つは飾りです。
・釦が付く所を仕上げます。まず袖口を仕上がり線で折り、躾糸で止めます。

・袖を裏側に返して、釦が付く所の周りを躾で止めます。
・仕上がり線から40mmの所に印を付け、ミシンで縫います。

・縫い目をアイロンで割って、袖口を返します。
・まず袖口の角を斜めに内側に折り、地縫い糸で止めます。
・次に仕上がり線の所で折ります。

・第一釦の所は、折り返した箇所が浮くようにします。
・これで釦が引っ掛かりません。
・袖の形になりました。
次回は、袖付けです。
〈つづく〉
◎今回、釦は水牛を選びました。

・天然素材ならでは…の質感と高級感、耐久性が魅力です。
⑤釦を付ける位置を確認する

・袖口には4つ…釦を付けます。
・下から27mmの所が第一釦で、間隔は15mmにします。
・第四釦から20mmまでを開ける事にします(上二つの釦は飾りにするので、
実際には開きません)。
・写真のような並びになります。
⑥躾糸で止めて縫う

・柄が合うように確認しながら躾糸で止めて、ミシンで縫います。
⑦アイロンで割る

・アイロンで縫い目を割ります。
・山袖側は仕上がり線で折ります。
・下袖側は開き止まりから15cm上の所を斜めに折って、アイロンをかけます。
⑧釦ホールをかがる

・袖の端から15mm入った所が穴の中心、全体を20mmとして印を付けます。
・穴ミシンを掛け・・・ハトメで穴を開けて、ノミで切ります。
⑨袖口を仕上げる

・釦ホールができました。上二つは飾りです。
・釦が付く所を仕上げます。まず袖口を仕上がり線で折り、躾糸で止めます。

・袖を裏側に返して、釦が付く所の周りを躾で止めます。
・仕上がり線から40mmの所に印を付け、ミシンで縫います。

・縫い目をアイロンで割って、袖口を返します。
・まず袖口の角を斜めに内側に折り、地縫い糸で止めます。
・次に仕上がり線の所で折ります。

・第一釦の所は、折り返した箇所が浮くようにします。
・これで釦が引っ掛かりません。
・袖の形になりました。
次回は、袖付けです。
〈つづく〉
#326.スポーツジャケットの仕立て その二十二
スポーツジャケットの仕立てを掲載し始めてから、早いものでもう半年が
経ちました。今回からいよいよ袖作りに入ります。
◎袖釦は4つ。2つを本開き、2つを飾りにします。

①裏地を裁断する

・裏地に表地を載せてチョークを引きます。
・袖口の所には、釦の位置も示しておきます。
②アイロンでクセを取る

・山袖の前が下袖に被るようにするため(縫目が見えないように)、クセを
取ります。
・袖口の折り返し部分も綺麗に折れるようにクセを取ります。
・クセを取った所をたたむと…縫い目になる箇所が内側に入っているのが
わかります。
③袖を作る

・袖の前側を縫い合わせて、縫い目を割ります。
・たたむと、右上の写真ようになります。
④袖口の下準備をする

・袖口の折り返しは10cmです。
・力布を折り返しよりも2cm程長く切り、据えます。
・周りは地縫い糸でからげておきます。
※袖口の折り返しが10cm!…と聞いて、驚かれる方もいらっしゃると思います
が、これも私共独特な仕立て方の一つです。
なぜそうするか?…それは、後から袖の長さを出したい時に対応できるよう
にするためです。
「釦の穴を開けてしまうのに長くできるの?」と不思議に思われる方のために
作り方を下のイラストでご説明しましょう。

・上から1~2つ目の穴を飾り穴にしておけば、袖を伸ばした後に穴の位置
を下に持って行く事ができるのです。
ご本人のお直しではなく、お子さんやお孫さんへ譲られる方も少なくありません。
そのような時こそ、このやり方で良かった・・・と、つくづく思う瞬間なのです。
次回は、袖を仕上げていきます。
〈つづく〉
経ちました。今回からいよいよ袖作りに入ります。
◎袖釦は4つ。2つを本開き、2つを飾りにします。

①裏地を裁断する

・裏地に表地を載せてチョークを引きます。
・袖口の所には、釦の位置も示しておきます。
②アイロンでクセを取る

・山袖の前が下袖に被るようにするため(縫目が見えないように)、クセを
取ります。
・袖口の折り返し部分も綺麗に折れるようにクセを取ります。
・クセを取った所をたたむと…縫い目になる箇所が内側に入っているのが
わかります。
③袖を作る

・袖の前側を縫い合わせて、縫い目を割ります。
・たたむと、右上の写真ようになります。
④袖口の下準備をする

・袖口の折り返しは10cmです。
・力布を折り返しよりも2cm程長く切り、据えます。
・周りは地縫い糸でからげておきます。
※袖口の折り返しが10cm!…と聞いて、驚かれる方もいらっしゃると思います
が、これも私共独特な仕立て方の一つです。
なぜそうするか?…それは、後から袖の長さを出したい時に対応できるよう
にするためです。
「釦の穴を開けてしまうのに長くできるの?」と不思議に思われる方のために
作り方を下のイラストでご説明しましょう。

・上から1~2つ目の穴を飾り穴にしておけば、袖を伸ばした後に穴の位置
を下に持って行く事ができるのです。
ご本人のお直しではなく、お子さんやお孫さんへ譲られる方も少なくありません。
そのような時こそ、このやり方で良かった・・・と、つくづく思う瞬間なのです。
次回は、袖を仕上げていきます。
〈つづく〉