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#391.KINN TAILORING ACADEMY 生徒の作品:燕尾服

Posted by KINN Tailor on 09.2019 私塾の話   0 comments   0 trackback
 私が私塾KINN TAILORING ACADEMY)を始めてかれこれ20年になり
ます。その間、沢山の生徒さんが通って来てくれました。

 男性の生徒さんが「礼服」を作る事はよくあるのですが、大抵は「ディナ
ージャケット」を作ります。恐らくは実際に自分が着る事を想定しての選択
なのではないかと思います。
 そんな中で、「燕尾服」を作った生徒さんが居ます。
 本人としては、満足いく出来ではなかったようですが、私としてはとても
喜ばしい事でしたので、ここで紹介させて頂く事にしました。

□燕尾服製作者:鈴木亮治さん
 私のアカデミーには、2013年からいらしています。
 現在は縫製工場で縫製業務をされています。今回、燕尾服を作る事にした
 のも…「仕事で燕尾服を作る機会があり、そこで上手くいかなかった所を
 学び直すため」という事です。熱心ですね・・・。

 それでは、私のコメントも添えて紹介します。

【正面】
正面**
・ジャケット、ベスト、パンツのバランスが上手く取れています。
・ジャケットの前がもう少し中心に寄っても良いと思います。

【斜め前】
斜め**
・燕尾服のジャケットは前が短く、長いスカートが付いているのが特徴です。
・ジャケットの前の丈、スカートの長さ、パンツの出方のバランスが非常に
 難しいのですが、この角度から見ると、上手くいっている事がわかります。


【後ろ】
後ろ**
・ご本人もコメントしていましたが、スカートが中心に寄り過ぎてしまい
 ました。スカートを縫う時にもう少し後下がりにすると良いと思います。

【拝剣】
拝剣**
・拝絹が上手く掛かっています。

【脇】
脇**
・脇のラインがとても綺麗に出ています。
 ジャケットがタイトなので、脇のラインを綺麗に出すのは案外難しい筈です。 

 
 今回、燕尾服を作った際に大変だった所を聞いてみると、「ウエストライン
が綺麗に出なかった事と、スカートが真っすぐ落ちなかった事」だそうです。
 確かに、スカートが綺麗に落ちるようにするのは製図、縫製共に簡単には
いきません。本人は機会があれば作り直したい…と言っていましたので、
新たな目標にして貰えれば…と思います。
 いずれにせよ、何事もやってみないとわからない訳ですから、「燕尾服を
作った
」という経験は礼服だけでなく、仕事の色々な面に生きて来る素晴ら
しい挑戦だったと思います。

 *** 鈴木さん、ブログへのご協力有難うございました ***

#87.ベストの裏作り

Posted by KINN Tailor on 30.2012 私塾の話   0 comments   0 trackback
 私の教室に通っているFさんは、今ベスト作りに取り組んでいますが、丁度
前身頃の裏作りの作業になりました。

 普通の裏は、表地のダーツと同じ場所にダーツを取り、肩の所をたたみ、
表地と同じような形にしてから、アームホールの所をミシンで縫い合わせて
いくのですが、今回はちょっと変わったやり方をやってみよう…という事に
なりました。
 肩から裾まで一本のやや深めのダーツを取り、周囲を全部手縫いで止めて
いく方法です。このやり方ですと身体の動きについて行きやすく、味のある
仕上がりになります。
 裏地が余分に必要で、手縫いの分ちょっと手間はかかりますが、挑戦する
事になりました。

 まず裏地を裁ち合せますが、その時に通常より幅を3~4㎝広く裁断します。
それから大型の”まんじゅう”の上に身頃を乗せて、前(見返しの奥)とアーム
ホール、脇を合わせて躾止めします。それから肩から裾まで続く広めのヒダ
を1本取って身頃の膨らみに合わせながらたたみ、軽く押さえて躾止めして
いきます。
 この方法の一番の特徴は「裏地を現場合わせでたたむ」という事で、"まん
じゅう"の丸みを利用しながらヒダにアイロンをかけていくと、膨らんでいる
所はヒダが狭く、凹んでいる所はヒダが広くたたまれる訳で、つまり身頃の
ラインに沿った仕上がり
になる…ということなのです。
       裏地**
 Fさんはこの方法にとても興味を示して「これだと裏地に鋏を入れないで済
みますから良いですね!」と言っていましたが、全くその通りで、大変応用
の効くやり方なのです。

 Fさんはこの他にもう一つ、ボタンスタンドの幅を持ち出す方法も試して
みる事にしました。これはベストの重なりを多くして下のシャツが見えない
ようにする
仕上げ方ですが、あまり一般的ではありません。
         ベスト上がり線**
 最近私塾に通われる生徒さんは、今や有名になってしまった「プルダウン」
を勉強にいらっしゃる方が多く、勿論それは大変ありがたいことなのですが、
それ以外の今回のようなあまり一般的ではない方法に興味を持って貰えるのも、
ちょっと"ひねくれ者"の私としては嬉しいものです。
 ご本人にとっても「こんなやり方もあるのだ」という勉強をする事は仕事
の幅が広がりますし、必ず役に立つ時が来ると思います。

#34.私塾の話

Posted by KINN Tailor on 18.2011 私塾の話   2 comments   0 trackback
 私の私塾は、個々の生徒さんが自分のテーマを決め、それぞれ別々のこと
を勉強しています。
 製図をしている人、縫製を勉強している人、アイロンワークを習っている
人…と様々です。
 ただ、「思い通りの服が出来ない」「仮縫いの時の不具合が直らない」と
いう話題になると、皆さん手を休めて「補正の仕方」を聞きたがります。
 今日は最近相談をされた間違いやすい例をいくつか取り上げてみたいと思
います。

 少しO脚の方がパンツを作られたら、パンツが真直ぐ下がらずに裾が外側
に開いてしまった
そうです。お客様から裾を内側に入れて欲しいと注文され
て、パンツ内側の縫い目で裾をつめてお納めしたら、「前よりひどくなった
じゃないか」とお叱りを受けた…という相談がありました。
 これは良く間違える例の一つです。裾口を中に入れるには内側の縫い目を
つめれがよさそうな気がしますが、これをやると、パンツは更に外を向いて
しまうのです。
画像1 O脚*
 同じような例で、ジャケットの袖口を内向きにするというのがあります。
ハンガーに吊るして展示する場合、袖口が内側に向いている方が綺麗に見え
るために、そうするようです。
        画像2 袖口内側*

 袖は山袖と下袖を縫い合わせて作られていますが、山側の前の袖口を広く
して下袖の袖口を狭くすれば、山側が余計にかぶさって内側を向くと思って
補正をしていたようです。
 袖の縫い目が直線でしたらこの理屈で良いのですが、山袖の前の縫い目は
カーブして下袖より短い
ので、縫い合わせる時に山袖側を伸ばすことになり
ます。伸ばすと袖は外を向いてしまいます。袖口を広くするということは、
更にカーブがきつくなり短くなる訳ですから、逆の補正をしていた
…という
ことになります。
        画像3 袖*

 最後に、日本では襟が首にピッタリとくっついている方が好まれるため、
カーブした襟を作り、このカーブをプレス機でつぶして(縮めて)襟を密着
させようとしていた例があります。ところが・・・
 残念ながら、つぶせばつぶすほど、襟は首から離れやすくなってしまう
です。
 補正は自分が直接たずさわらないと経験出来ないことですから、私塾
で他の人の補正の話を聞ける…というのはとても貴重な体験のようで、応用
を身につけるのに、多少役立っているように感じます。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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