Loading…

#285.苦労した話 その参 〜番外編〜

Posted by KINN Tailor on 27.2016 寸法の話   0 comments   0 trackback
 今回は、前回紹介しました「参考寸法」についてお話します。

 参考寸法は、一般的な採寸箇所ではないけれど、これを計っておくと製図
をする時や製図した物が"その人の体形に合っているかどうかを確認する"
に役立つ寸法の事です。
 まずは、どの体形の方でも必ず計っておく参考寸法から説明します。

参考寸法イラスト1**
1)L寸
 L寸はお客様に軽く肘を曲げて頂いて袖の付け根から手首までを計ります。
 この寸法を袖の山袖外側のカーブに当ててみて、短かかったらカーブを強
 く
します。
 腕を動かしたり、食事の際に腕を曲げた時、袖丈が短くなるのを防ぎます。
2)手首の位置
 お客様が自然に手を下げた時に、肩から手首がどれ位前に出ているかを計
 ります。
 この寸法を使って山袖内側のカーブを決めます。これは、手を前に出すと
 袖 が短くなる
…というのを防ぎます。
3)オーバーショルダー
 鎌深から肩の中心を通り、前脇までを計っておきます。
 製図した前身頃と後身頃を肩同志で合わせて、寸法が足りているかを確認
 します(肩の角度が合っているかを見る)。
 製図の方がオーバーショルダーよりも短い場合は、肩をイカらせるように
 修正
します。それにより、ジャケットの前の合わせが逃げるのを防ぎます。
4)オーバーネック
 鎌深から首の付け根を通り、前脇まで計っておきます。
 製図の方がオーバーネックよりも短い場合は、ネックポイントを上げます。
 首が抜けるのを防ぎます。

 次は、体形によって計っておくと良い寸法を説明します。
参考寸法イラスト2**
5)、6)ヒップの厚み、幅
 身体の幅に対して普通よりもヒップサイズが大きい場合 5)と、逆に横幅
 が広いのにヒップが小さい場合
6)の時にヒップの厚みと幅を計ります。
 ヒップの一番張っている所が計れる位置に角差しを当てて a. b.を計り
 ます。この寸法は小股の幅を描く際に活かします。
 このような体形の方をヒップの大きさだけ使って製図をすると、股のクリ
 が合わず履きづらく、変なシワが出るパンツになってしまいます。
7)ふくらはぎの高さ
 通常はふくらはぎの太さを計る事はしませんが、ふくらはぎが張っている
 方の場合は、一番張っている辺りから裾までの高さを計ります。
 この寸法を使い、ふくらはぎを膨らませた製図をし、アイロンワークで
 くせ取り
をする事によって、パンツの落ち方が綺麗になります。

 この他に、お腹が出ている方の場合幾つか計る寸法があります。この説明
は少々長くなりますし、実際にかなり大変だった事もありましたので、次回
「苦労した話」の続きとして紹介したいと思います。

#26.「寸法」について

Posted by KINN Tailor on 23.2011 寸法の話   2 comments   0 trackback
 今回は「寸法」についてお話します。

 現在では日本の服飾業界は「メートル法」で統一されているようですが、
メートル法が施行されるまでは、紳士服は英国流の「ヤード・ポンド法」
婦人服は仏国流の「メートル法」とに別れていました。
 私は最初に外国の本で製図の勉強をしましたので、ヤード・ポンド法を
覚えました。
 紳士服の場合、縫代の量は、基本的に1縫代=1/4インチとされていまし
た(*工場生産品の場合は3/8インチ)。
 製図をする際に、4縫代取る箇所がジャケットやパンツにありますから、
1/4×4カ所で1インチ足せば良い…ということで覚えやすかったですね。

「メートル法」は仏国が主流だったようで、メートル原器(金属の棒に1m
の寸法が刻んである)も仏国にありました。
 1メートルという寸法は地球の子午線(地球の北極から南極を通って1周
する線)の4千万分の1だそうですが、子供の頃の私は、どうやって子午線
の長さを計ったのだろう???…と不思議に思っていました。

 日本には「尺貫法」という計り方があって、これもメートル法の施行前
まではずっと使われていました。
 面白いのは、1尺が2種類あるということです。つまり、大工さんなど
が使っている1尺は「カネ尺」と云って1尺=30.3㎝ですが、服飾関係で
使う1尺は「クジラ尺」と云って1尺=38㎝なのです。
 小学校の時に尺貫法を習いましたが、その頃の物差しは片側にセンチ
もう一方にカネ尺が刻んでありました。
 私は小学校で尺貫法を教わり、仕事ではヤード・ポンド法を覚えました
が、実際に職人さん達とやり取りする際は、皆さんクジラ尺を使っておら
れたので、クジラ尺も覚えなければなりませんでした。
 意外に具合が良かったのは、クジラ尺の1寸はほぼ1インチ半に等しい
のです。ですから換算するのにとても楽でした。
 例えば、ジャケットの両脇にポケットがありますが、この口の大きさは
ほぼ6インチなので、クジラ尺だと4寸になるのです。
 こんな具合でクジラ尺とインチは問題なく両立していた訳です。

 ところが、そこへ突然メートル法が施行され、しかもメートル法以外は
使用禁止!
、メートル以外の物差は販売禁止!…になってしまったのです。
別に"販売禁止!"にしなくても良さそうな気がしますが、どうも日本のやる
ことは少々変だな…と思いますね。
 ところが面白いことに、尺貫法の道具がないと困る人達の為にちゃんと
(?)闇市があって、クジラ尺を売っていたり、布地屋さんなどが内密に作ら
せて、お中元やお歳暮として届けてくれたということもありました。
 罰則がなかったとはいえ、なかなか大胆なことをしたものです。

 とにかく、このメートル法には苦労させられました。学校では習ってい
たものの仕事では使っていませんので、どうもイメージできないのです。
また、職人さんも同様でしたので、説明するのが大変でした。

 最後に・・・日本では、何故カネ尺とクジラ尺があるのでしょうか?
しかも木や金のように硬いものにはカネ尺、布地のように柔らかいものは
クジラ尺
と使い分けるようになった理由は何でしょうか?
 どなたかご存知の方がいらしたら、ぜひ教えて下さい。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR