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#422.上襟の話 最終話

Posted by KINN Tailor on 30.2020 襟の話   0 comments   0 trackback
 今回は、いよいよ上襟を掛けていきます。

 まず、裁断した上襟の"クセ取り"をします。
 ご存じの通り襟のカーブは強く、また途中から半分に折らなくてはなりま
せんので、しっかりとクセを取ります。

〈クセ取り〉
イラスト1**
①イラストの矢印のように、S字形にクセを取る。
②S字になったら襟ミツに当たる部分を指で摘み、下側に膨らむように
 伸ばしながら両端は上向きに曲げる。
③最終的な形のイメージ
 上襟のクセ取りは、しっかり時間をかけて行わないと襟を掛けている時に
 元に戻ってしまい、結果綺麗に仕上がらなくなります。
 充分に蒸気を当ててクセを取り、蒸気が乾くまで時間をかけるようにしま
 しょう。

〈上襟を掛ける〉
 クセが取れたら上襟を掛けていきます。
イラスト2**_
①襟の付いた身頃を丸い台(まんじゅう等)に乗せ…
②上襟を乗せ、左右の肩の間を躾糸で止める。

▪️中心を止めたところ
1中心を止める**

イラスト3**
③両端を上に上げるとイラストの「イ」「ロ」の部分に弛み(たるみ)が出る
肩線から先をカーブさせると弛みが消える
 襟の端側から中心に向かって躾糸で止めていく

▪️肩線から先をカーブさせ、弛みを消す
2たるみを消す**

▪️綺麗に掛かった上襟
3仕上がり**

「何故、上襟に弛みが必要か?」と言いますと、腕は前に出す動作が多く、
その時に襟も前に引っ張られる事になります。
 特に引っ張られる箇所がどこか観察したところ肩線の所でした。そこで、
そこに緩みをつけてみたところ、動いても襟に斜めのシワが出なくなったの
で、私は襟を長く裁つようになりました。

 上襟据えは難しい工程です。上襟の裁断方法は色々あるようですが、私は
真っすぐに裁ってクセを取って掛ける、この方法が一番綺麗に仕上がる…と
自負しています。

#421.上襟の話 その弐

Posted by KINN Tailor on 09.2020 襟の話   0 comments   0 trackback
 今回は、「襟の製図」の仕方を説明します。
 
 まず…
▪️ジャケットの襟ぐりの形を、目打ちを使って紙に写す
1目打ちで形を**

▪️この襟ぐりの形を基に製図していく
2製図する**


〈製図の仕方〉

※前回説明した「首の太さによる違い」も、下図を参考にして下さい。
襟イラスト**
a. 肩線をNPから、襟腰分延長し、1とする(通常2.5cm)
b. 返り線を延長し、1を繋ぐ
c. その線をエリミツ分延長し、2とする
d. 2から直角線を引き、襟の倒し量を計り3とする
e. 3から直角線を引き、襟腰寸法を計り4とする
f. 4から3を通る直線を引き、3から襟幅を計り5とする
g. 襟止まりから好みの形の襟の端を描き、6とする
h. 5と6を緩やかなカーブで繋ぐ

 製図の際に気をつけたいのが、襟は左右同じ場合が少ないという事です。
採寸をした際に肩の高さが違う場合は、襟の製図を左右別々にする必要が
あります。

▪️製図したパターン
3パターン**

▪️パターンを基にしてできた襟芯
4芯**
・左右の長さが違うのがお判り頂けると思います。

※今回は「上襟について」の説明ですので、この芯を身頃に付けるところ迄
 は割愛します。

 身頃に襟が付いたら、いよいよ上襟を裁断します。
 ここで注意すべきところは、上襟の生地は端が横地になるようにし、片側
で約1cm長くなるように裁断する事です。長くすると、シワが出そうで心配
される方もいらっしゃるかも知れませんが、次回…「上襟の据え方」につい
て説明しますので、そちらを参考にして頂ければと思います。

▪️パターンより長めの上襟
5上襟**

〈つづく〉

#420.上襟の話 その壱

Posted by KINN Tailor on 26.2020 襟の話   0 comments   0 trackback
 ジャケットを仕立てる上で、はとても大きな存在です。襟のデザイン
"その服のデザイン"と言ってもいい位だと思います。
 ただ、"襟を作る作業"を考えた時、ハ刺しの仕方やラペルの返り具合など
多少研究する項目はあっても、「上襟」の研究をする事は残念ながら少ない
ように思います。

 私は以前、あるお客様から「上襟が首に上手く付くように・・・」という
ご要望を頂き、勉強をする機会を得ました。
 それで完成したのが「プルダウン」なのですが、その話は以前しましたの
で、今回は普通の…プルダウンを使わない普通の上襟の製図の仕方や上襟の
掛け方
などについて解説していきたいと思います。
 今回は、タイプ別どのような上襟を製図しなければいけないか…につい
ての説明です。

 上襟は、ジャケットの襟ミツを元に製図していきます。
 この時に考慮しなければならないのが、お客様の首から肩への角度です。
特別に角度や長さを計る訳ではありませんので、採寸の際にどんな角度で、
どのタイプの首か…という事をしっかり見ておかなければなりません。

〈首のタイプ〉
首の種類
〈襟の形〉
襟の形
 上のイラストで紹介した襟は、アイロンでクセを取る前の形です。
 太いタイプは、標準に比べ折り目線のカーブの角度が付いていて長い事が
わかります。太い首に沿って、寝た襟になります。
 細いタイプは、折り目線が直線で立ったような襟になります。
 太いタイプの襟の形を見て、柄やストライプの時は大丈夫か?…と思われ
るかも知れませんが、上襟ですから柄が出る幅は少なく、身体に綺麗に馴染
みますので問題はありません。

 次回は、具体的な製図の仕方について説明します。

〈つづく〉

#374.ショールカラーの話

Posted by KINN Tailor on 21.2019 襟の話   2 comments   0 trackback
 本ブログの読者の方から「ショールカラー」についての質問を頂きました。
ショールカラーの襟とその見返しの描き方について…という内容でしたので、
今回はその説明をさせて頂きます。

 まず襟の描き方ですが、これは普通の描き方と基本的には同じです。
 違いは、襟の刻みがない事ですので、普通に襟を描いてから外側のライン
を延長
し、ラペルと繋げれば良い訳です。
ショールカラー1

 次に見返しです。ショールカラーはラペル~襟に縫い目はありませんので、
見返しはその部分を繋げておかなければなりません。

 一般的なショールカラーの見返しは、ラペルと襟が繋がった物を左右一枚
ずつ
(普通のジャケットと同様に)描き、襟の中心で繋ぐようにします。
 私は、襟の中心の繋ぎ目が後ろから見えるのが気になるので、襟と左右の
ラペルが付いた見返し
を掛けます。この場合、見返しを掛けるのは肩が入り、
後身頃まで付いてから掛ける事になります。
 具体的には、図のようにラペル(釦の下辺りまで)と襟が繋がった見返し
を1枚
釦の下から裾までの見返しを2枚取ります。

ショールカラー2

 実際に見返しを掛ける際には、襟の部分はカーブしていますので、それを
想定して描かなくてはなりません。ここが一番のポイントになります。
 つまり…見返しが繋がっている為に、返した時に斜めに引っ張られてシワ
が出易くなるのです。これを防ぐ為には、見返し側の襟の角度が非常に重要
になる訳です。
 私がお勧めする方法は、後身頃が付いた実際のジャケットを使って見返し
を描く方法
です。これですと襟が付いていますので、平らに置くと襟が自然
にカーブしますので描き易い筈です。
 ラペルと襟が繋がった見返しは、生地を沢山使う事になりますし、綺麗
に掛けるのには少々技が必要ではありますが、やはり襟の後側に継ぎ目が
ない方が美しい
ので、私はこのやり方にしています。

      *   *   *   *   *   *

 長年仕事をしていますと、自分が日々やっている事が当たり前・・・と
いう感覚になり、皆さんの疑問…お聞きになりたい事が分かりにくくなり
ます。
 今回"ショールカラーの見返し"についてのご質問を頂き、自分のやり方
が特殊である事を思い出しました。
 今後もこのようなご質問があれば、できる限りお答えしようと思います
ので、遠慮なくお寄せいただければ・・・と思います。

#36. プルダウン:その参

Posted by KINN Tailor on 01.2011 襟の話   2 comments   0 trackback
 襟が浮いてしまう原因が、どうも「アゴを伸ばした時、曲線の部分が直線
に近くなること」であるらしい…と判ったので、アゴグリ(アゴのカーブ)
の作り方を、伸ばした時に丁度良い形になるよう
に変えてみました。
 つまり、図aを基本形とすると、図bのようにするのです。
 図aを伸ばすと図cになりますが、図bを伸ばすと図dになり、もともと
のアゴグリの形に近くなります。
 この状態にしてから襟を付けてみたら、見事に"浮き上がり"が解消したの
です。
図1 アゴグリ*
 
 次に、アゴグリのどこを中心に伸ばすのが良いのか…を研究しました。

 最初は均一に伸ばしてみたのですが、どうも上手くありません。次に下の
方を伸ばしてみると、肩のくせが上手く出ませんでした。
 結果としては、ネックポイントに近い部分を伸ばすと具合が良いことが判
りました。
 そこで、今まで後から付けていた襟を、まずネックポイントの所にイセ込
んで付け、一緒に伸ばす
ことにしてみました。
 そうすると、アゴグリも襟も同じように伸び、綺麗に仕上がったのです。
 これで、幾つかの難題が解決し、プルダウンが完成した訳です。

 このプルダウンを完成させたおかけで、嬉しいオマケも付いて来ました。

 アームホールの形が卵形の尖った形になり、それに合わせて袖を製図する
と、今までよりも袖山の頂上が前になったのです。

図2 アームホール*

 これは、私の袖の裁断に大きな影響を与えることになったのですが、これ
により腕の動きが良くなり、横から見て独特の形状を持つものになりました。
 長い時間を費やしましたが、「襟・肩・袖を一体に作る」というテーマも
実現したことになります。

これらすべての始まりが、最初に記述した…襟周りにこだわりのあるお客
様T氏がいらしたからで、完成するまでの間色々と試させて頂き、また沢山
のご意見を頂けたことにも深く感謝しています。
 "ものづくり"に終着点はありません。今後も更なるスーパープルダウンを、
皆様にご紹介できるよう、精進していきたいと思っています。

  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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