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#397.白いドレスベストの話 その弐

Posted by KINN Tailor on 09.2019 礼服の話   0 comments   0 trackback
 今週から、ドレスベストの作成工程を解説します。
 素材が全て白なので、写真の説明ではわかり難いかと思いますので、まず
下のイラストをご覧下さい。基本デザイン、芯地・裏地の素材などを記します。
素材説明

【製作手順】

1)裁断をする
 ①まず、型紙を使い裁断をします。
 ②前身頃と衿(表地)。
 ③後身頃(裏地) 後身頃は重ねて使うので、2枚裁断します。
白V1_3

2)前身頃を作る
 ④ダーツを取ります。
 ⑤次に、ポケットを作ります。 口布は表地、袋は裏地を使います。
 ⑥芯に前身頃を乗せ、仮り止めします。
白V4_6

3)身返しを据える
 ⑦釦を付ける所をしっかりさせる為に、別布を付けます。
 ⑧別布と一緒に、前の端と裾に付いている縫い代を折り返します。
 ⑨身返しが返りました。
白V7_9
*襟が付く所は斜めになっていて、生地が伸びやすいので気を付けます。
 伸びると身体から浮いてしまい、綺麗に収まりません。
 生地が柔らかい場合は、テープを貼って伸びるのを防ぎます。
 

 次回は、襟付け作業から先を解説します。

〈つづく〉

#396.白いドレスベストの話 その壱

Posted by KINN Tailor on 25.2019 礼服の話   0 comments   0 trackback
 今年は「陛下のご即位」という大きな行事があったため、燕尾服をお召し
になった方々を多く拝見する事ができました。
 燕尾服の特徴は(先日:#391で、生徒さんが作った燕尾服をご紹介しまし
たので、形はそちらも参考になさって下さい)、ジャケットの前がダブルの
ようなデザインで、脇は短く長いスカートが付いています。このジャケット
の前は止めずに着用しますので、常にベストが見えている訳です。
 燕尾服の時は、「白のドレスベスト」に「白の蝶ネクタイ」と決まってい
ますが、この「白のドレスベスト」には特徴があり、作り方も一般的なベスト
とは違いますので、今回はそのお話をしたいと思います。

 まず素材ですが、綿を使用します。比較的多く選ばれるのが、綿で
細かい織柄がある「ピケ」と呼ばれる物です。
 次にデザインですが、シングルで前の釦は少なく 3~4個。そして、何と
言っても特徴はです。
 通常、礼服のベストに衿を付ける場合は、ジャケットと同じような(剣
衿が多い)形をしていますが、ドレスベストの場合は、衿が分かれていない
・・下図のような形をしています。
白ドレスベスト

 そして、もう一つの特徴が、です。
 白い生地で汚れやすいため、洗濯をする必要があるので、前ボタンは取り
外しができる
ようになっています。
ドレベ釦

 この…取り外しができるためか?、最初からそうだったのか?・・は定か
ではありませんが、カフスと同じように宝石を使用している物もあります。
 写真は白蝶貝ですが、この白蝶貝の中心に真珠やダイヤモンド(!)を
使用した物もあります。
 ご覧のように、釦の脚の所に金属が付いていて、その先にリングが付い
ています。普段はあまり見ない…変わった形の釦です。そのため、ベストの
下前側の釦を付ける所も特殊な作り方をします。

 次回はそのあたりも含め、ドレスベストを作っている様子を見て頂きたい
と思います。
ドレベ縫う

〈つづく〉

#395.トラブルが出た時の対処の仕方 パンツ 最終話

Posted by KINN Tailor on 11.2019 補正の話   0 comments   0 trackback
 前回に続き、設問の解答をします。

Q4)サイズが小さい訳ではないのに、お尻の上に横シワが出る。

⇨A:ウエストラインのすぐ下に、横ジワが出るというのは、その部分が
 大き過ぎる
という事を意味しています。

*これは比較的わかりやすい問題だったと思いますが、何故取り上げたか…
 実は最近、若い方の採寸をしていて、少々体形が変わってきたと思う事が
 多々ありました。
 時代が変われば生活様式も変わりますので、体形の変化も起きます。昔は
 「以前に比べて背が高くなった」ですとか、「近頃の若い人は脚が長くな
 った」…等々、生活の欧米化による変化が顕著でした。
 そういう体形の方は今も沢山いらっしゃいますが、更にかなりの割合で、
 私が思う「新しい体形」の方々が増えているように思えるのです。
*新しい体形の方は比較的細めの方に多く見られます。最近の生活では運動
 量が少ないのか?、または運動の仕方が違うのか?…全体的に筋肉の付き
 方が少ない
ように感じます。
〜ここで言う「運動」とは、特別なスポーツという事ではなく、普段の歩き
 方、姿勢などによる日常生活で自然に付く筋肉の事です〜
(最近は椅子に座るよりも、ソファーにリラックスして座る機会が多かった
 り、スマートフォンを長時間見ていたりする事が要因なのかも知れません)
*その特徴とは・・・
 お尻の上に筋肉がなくお腹が前の方に出ている・・お腹に肉が付いている
 のではなく、(極端な言い方をすると)骨自体が前に出ているような感じ
 の体形をしています。そして首の周りにも筋肉が付いていないのか?…
 ミツの所にも横シワが出る
事が多くあります。

【直し方】
・採寸をする時に、首回りの肉の付き方をよく観察し、襟ミツの所のライン
 が綺麗に出ない時は「ドミット」などを入れて調整するようにします。
・パンツについては、W(腰)、H(尻)に対して、S(お尻の膨らんでいる
 位置)をHから1/6上がった所にポイントを置いていましたが、体形に応じ
 て下方向へずらす…という修正を加えています。

トラブルパンツ4 **


 今回のように、計りたくても計れない微妙な位置の変化などの対処は非常
に難しいのですが、とにかくよく観る、そして掌で触り確認する事が大切だ
と思います。

#394.トラブルが出た時の対処の仕方 パンツ編 その参

Posted by KINN Tailor on 28.2019 補正の話   0 comments   0 trackback
 前回に引き続き、問題の解説をします。

Q2)腰掛けたり、しゃがんだりすると腰帯の後が下に下がってしまう。

Q3)パンツのサイズが小さい訳ではないのに、歩きにくい。
  (足が前に出にくい・階段を上がる時に脚が上がりにくい)

⇨A:Q2とQ3は同じ対処法になります。
 椅子に座る時や歩いたり、階段を上がる時には必ず「膝を曲げる」という
動作をします。そうしますと、(下図に示したように)お尻から膝裏までの
長さが長くなります。
パンツ参**

 座ると腰帯が下がってしまうのも、脚が前に出ず歩きにくいのも、後身頃
の長さが足りていない
…という事が原因と考えられます。
 …かと言って、曲げた時の長さに合わせて作ってしまうと、普通の姿勢…
つまり立っている時に「余り」が出てしまう為、見た目が悪くなってしまい
ます。

【直し方】
・解決法は、曲げた時に必要な長さを、長さだけでなく「膨らみ」として
仕上げる事です。
< 

*私は、パンツを製図する際に、前身頃に比べ後身頃を4cm程長くします。
 その内3cmは腰の深さ分、残りはクセ取りによって膨らみとなる分です。
*パンツの太さに関係なく(極端に細い場合は別)、クセ取りをしないと、脚
 の動きにパンツがついてこないので、とても歩きにくくなってしまいます。
〜何度も書いていますのでお判りかと思いますが、「クセ取り」はパンツの
 落ちを綺麗にするだけでなく、動き易くする為の不可欠な作業です〜
くせ取り**
*問題として残るのが、腰帯の高さ…つまり「深さ」です。
 最近は少し良くなってきたようですが、一時期はとても腰の浅いパンツが
 流行りました。今でもそういったデザインを好まれる方も多いので、これ
 ばかりはどうにもなりません。
*腰を浅く作れば、座ったりしゃがんだ時に腰帯が下がり、シャツが出てし
 まったり、肌が見えてしまう事になります。
 この問題は・・・年齢と共に解決する?かも知れませんね。

〈つづく〉

#393.トラブルが出た時の対処の仕方 パンツ編 その弐

Posted by KINN Tailor on 14.2019 補正の話   0 comments   0 trackback
 それでは、前回出題した問題の解説をします。

Q1)パンツを履いて立った時に、裾が外側を向いてしまう。

⇨A:パンツでトラブルが出る場合は、大体は「脚のクセ」によるものです。
 ですから、脚が真っすぐなのに裾が外側を向いてしまう…という事は、脚
 ではなく他に原因がある…と考えられます。
  今回のトラブルは「パンツの下がり方」ですので、パンツ全体に影響する
 所に原因があると考えられます。
  パンツ全体に影響する箇所・・それは「腰」です。今回のように、中心線
 と裾が外を向くという事は、外側(脇)が上に引っ張られている・・つまり
 外側が短い
…という事になります。このような症状が出るのは、腰に肉が
 付いているか
腰骨が張っている為に起こる事が多いです。
【直し方】
・下図のように、腰帯を両脇で少し高くなるように付ければ良い事になります。

*製図をする際に、通常は前身頃の腰は脇まで真っすぐに描きますから、脇
 を上げるとなるとやや抵抗があるかも知れませんが、上げるとしても1cm程度
 ですし、その方が身体には合っている訳です。製図の基礎で習う事ではあり
 ませんが、驚くような補正という訳でもありません。
トラパン2_対処**

 今回は"おまけ"の解説をします。

Ex_Q)下のイラストは、良くあるトラブルですが、何が原因でしょうか?
 (すぐにお判りになるかとは思いますが・・・)

   トラパン2_O脚Q**
⇨A:この症状は、O脚の人に出るトラブルです。
 一番良いのはO脚用の製図をする事ですが、そういかない場合は・・・
【直し方】
 下図に示したように、前身頃の内側を上に上げる事で、パンツ全体が内側
 を向いて来ますので解消されます。お試し下さい。

    トラパン2_O脚A**

 続きは次回に・・・・

〈つづく〉
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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