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#321.スポーツジャケットの仕立て その十七

Posted by KINN Tailor on 27.2017 ジャケットの話   0 comments   0 trackback

 今回は、前回の続き…脇入れの始末肩入れについて解説します。

①脇の裏地を止める
1脇の裏地止め
・前身の裏地を地縫い糸で止めた後、背中の裏地を載せて止めます。
・脇の縫目に躾糸が入れてありますので、そこに合わせて背中側の裏地を
 折って止めます。


②肩パッドを準備する
2肩パッドの準備
・アイロンで背中側のパッドを手で引っ張りながらクセを取ります。
・続いて前側も同じようにクセを取ります。

2-2.png
・パッドの内側に指を入れ、真ん中が高くなるようにアイロンをかけます。
・パッドのクセが取れました。


③パッドを据える
3パッド据え
・身頃の肩の位置を、芯に書きます。
・パッドを芯に止めて行きます。私は躾糸で粗い八刺しで止めています。

3-2.png
・パッドが芯に付きましたら、裏地を被せて表身頃も含めて躾で止めます。

④肩をイセ込む
4肩をイセ込む
・まず前身頃の肩の長さを計ります。
・後身頃の肩の長さも計り、イセ込む量を決めます。
・躾糸を後身頃に入れます。

4-2.png
・糸を引きながら長さを確認し、丁度良い長さで糸を止めます。

⑤アイロンをかける
5アイロンかけ
・鉄台の丸い所を利用して、イセ込んだ箇所にアイロンをかけます。
・何度か位置をずらしながら、イセ込みが自然と馴染むようにします。


 このブログをはじめ、製図の本などでも説明をしていますが、日本人は
前肩の方が圧倒的に多いため、この肩を多めにイセ込む事が大切です。
 イセ込む量を多くして、尚且つ綺麗な肩に仕上げるコツは、今回説明した
アイロンワークにあります。鉄台を利用して背の部分が綺麗に膨らみ、肩線
が前肩になるよう
にすると上手くいきます。

 では、この続きは次回。

〈つづく〉

#320.スポーツジャケットの仕立て その十六

Posted by KINN Tailor on 20.2017 ジャケットの話   0 comments   0 trackback
 今回は、いよいよ脇入れです。

①まず(脇入れの前に)、裏ポケットの裏地を始末する
1-1裏地の始末
・口の端を指で確認します。
・口の大きさにあわせてチョークを引きます。

1-2
・鋏を入れ・・・・
・裏地を折って止めます。


②前身頃に後身頃を載せて止める
2前身頃に後ろ身頃
・前身頃の脇の縫目にチョークを入れます。
・後身頃は裁ち切りなので、チョークに合わせて載せ・・・
・躾で止めます。


③脇縫い目にミシンをかける
3脇縫い目
・もう片方の身頃も同じように躾で止めます。
・ミシンをかけます(この布は解れ易いので、少し内側を縫います)。
・脇をアイロンで割ります。
※アイロンをかける際には、前身の形をなぞるように、ダキの所には膨らみ
 を付け、腰回りはシャクらせ、お尻周りにまた膨らみを付けるようにアイロン
 をかけます。
・脇が繋がりました。


④余分な布をカット
4多すぎる布をカット
・脇の縫込みの多過ぎる所をカットします。
・裾もカットします。


⑤裾の始末をする
5-1裾の始末
・テープをアイロンで貼ります。
・その後、テープを千鳥縫いで止めます。
・裾を折って、千鳥縫いで止めます。

5-2.png
・次にポケットを裾の上に載せて、地縫い糸で止めます。
・ベントは、上前側は裾を先に折ります。
・下前側は縫い代(縦)を先に折るようにします。
・裾上げが終わりました。

 服を仕立てる手順は、仕立てる人よって変わって来る事があります。
「裏地をいつ仮止めするか・・・」等は、その一例と言えます。
 私のように脇を縫う前に裏地を付けると、脇を縫う際に裏地を一緒に縫って
しまう可能性がありますので、脇を入れてから…という人も多く居ます。
 私の場合は昔からの習慣で、「前身頃が形になった=裏地が仮付けされる」
までが一区切り…となっていたために、今でも何となくその手順で行っています。

 次回は、肩入れを説明します。

〈つづく〉



#319.スポーツジャケットの仕立て その十五

Posted by KINN Tailor on 13.2017 ジャケットの話   0 comments   0 trackback
 今回は背中を作り、裏地を仮止めします。

①背縫い目にミシンをかける
1背縫い目にミシン
・テープをベントよりも長く切ります。
・空き止まり用にも切り、アイロンで貼ります。
・背縫い目にミシンをかけます。


②-1.背縫い目の始末
2-1背縫い目
・背縫い目は割るので、ベントの止まりの上から10cm位を躾で止めます。
・まず、躾で止めた箇所をアイロンで押さえます。


②-2.背縫い込みの始末
2-2背縫い込み
・次に縫い込みを斜めに折りながらアイロンをかけ、徐々に開いていきます。
・背縫い目を割ります。


②-3.ベントの押さえ
2-3ベント抑え
・ベントを押さえます。
・綺麗にアイロンがかかりました。


③ベントの始末
3-1ベントの始末
・ベントに力布を仮止めします。
3-2力布止める
・力布を地縫い糸で止めます。
・後身頃の準備ができました。


④裏地を止める
4裏地を止める
・裏地の背縫目にミシンをかけます。
 背中にキセをかけるため、躾で止めてある所よりも1cm位外側を縫います。
・裏地を背縫目同志を合わせて、躾で止めます。
・後身頃に裏地が仮止めされました。


⑤前身頃に裏地を止める
5-1まず前肩の
・まず前肩のゆとり分を畳み、止めます。
5-2ダーツの位置を合わせ
・ダーツの位置を合わせて、止めて行きます。
5-3前身頃に裏地
・前身頃に裏地が仮止めされました

 次回は脇入れ肩入れです。

〈つづく〉

#318.スポーツジャケットの仕立て その十四

Posted by KINN Tailor on 06.2017 ジャケットの話   0 comments   0 trackback
 今回は、身頃の裏地を裁ちます。

①裏地に前身頃を置く
1裏地に前身置く
・身返しの止め糸より前に、裏地の端が来るようにして身頃を置きます。

②肩からアームホール前側にチョークを入れる
2肩からアームホール前後チョーク
・肩から約2cmのところにチョークを引き、更にそこから4cmの所にチョーク
 を引きます。
・この4cmは前肩の動きの為の"ゆとり"になります。
・アームホールも約2cm大きくチョークを引きます。
・裾は身頃の仕上がりと同じ位置にチョークを引きます。


③サイバラの裏地を裁つ
3サイバラ裏地断つ
・前身頃から約2cm離した所にもう一度身頃を置き、サイバラ用の裏地を裁ちます。
・この時点では身頃とサイバラの縫い合わせは直線で書いておきます。


④腹グセを取る
4ハラグセ取り
・ポケットの高さと大きさを計る。
・このポケットは斜めなので、斜めに腹グセを取る。


⑤ダーツを取る
5ダーツ取る
・ダーツの長さを計り、ダーツを取る。

⑥裾を調整する
6裾を調整
・ハラグセを取った分、裾を下げる。
・約4cm折り込み分を付ける。


⑦前肩のゆとりの印を付ける
7前身ゆとり印
7-3.png
・②で取った、前肩のゆとりのたたむ位置を確認して印を付けます。
・私共では横向きに裏地をたたみますが、縦向きに取っても構いません


⑧裏地を切って調整する
8裏地切って調整
・裏地を切ります。
・前身頃と腹グセの縫い合わせを直線で引きましたので、適当にカーブを
 付けて調整します。


⑨後身頃を裁つ
9後ろ身頃断ち
・後身頃も同様に約2cm付けて裏地を裁ちます。
・身頃の裏地がカットされました。


 次回は、後身頃のベンツの処理裏付けです。

〈つづく〉






#317.お相撲の話

Posted by KINN Tailor on 27.2017 特別な話   0 comments   0 trackback
 スポーツジャケットの仕立ての続きのつもりでしたが、面白い事を思い出
した
ので、今回一寸お休みさせて下さい。

 先日、19年振りの日本人横綱!という事で、稀勢の里の横綱昇進が大変な
話題となりました。相撲好きの私としてもとても嬉しい出来事でした。
 明治神宮で推挙の式典があり、奉納土俵入りがテレビで放映され大いに楽
しませて貰いましたが、かの明治天皇は相撲が大変お好きだった…と聞いた
事を思い出しました。
 私のブログに度々ご登場頂いているお客様の N氏から伺った、相撲に纏わ
る興味深い話を紹介したいと思います。

 N氏は、とある藩=大名の子孫でいらっしゃいますが、N氏の父君は明治
時代には国のお役にも就いておられた方で、現在の首相官邸の所にお住まい
がありました。
 その、当時のお住まいの話の最中に、ふと思い出されたのか、N氏「そう
言えば…父の時代(明治時代)に、うちに天皇皇后両陛下が3日程滞在なさ
った
事があったんだよ」…と仰いました。私はとても驚いて、その続きを
せっつくように聞いたのを覚えています。
 そしてN氏は、「とにかく両陛下がおいでになる…なんて事は、我が家に
とって大事件だった訳だから、その時の記録はちゃんと残してあるんだよ」
と、かなりぶ厚い書類を見せて下さいました。

 その書類には、どんな"おもてなし"をしたかや、差し上げたお食事の内容
などが詳しく書いてありました。
 その"おもてなし"の一つに「庭に土俵を作り、力士を大勢呼んで大相撲を
ご覧に入れた
。両陛下共大変お喜びになった」と書いてあったのです。
 両陛下がお越しになる事自体、私には想像し難い事ですし、"おもてなし"
と言っても果たして何が良いのか・・・正に頭が真っ白になってしまい思考
が停止しそうなところですが、N氏の父君が「相撲」という"出し物"を選ばれ
た事自体、明治天皇が如何に相撲がお好きだったか!…という事を物語って
いると思いました。

イラストN邸**

 今ではその両陛下が祀られている明治神宮で横綱の推挙式が行われるように
なり、両陛下もさぞお喜びの事と思います。
 来月には春場所も行われますが、新横綱には大いに期待したいと思います。

 次回からまた、スポーツジャケットの仕立てに戻ります。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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