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#359.脚が捻れている場合の製図

Posted by KINN Tailor on 11.2018 製図の話   0 comments   0 trackback
 今回は、O脚に加え "脚が捩れている" 場合の、製図方法とアイロン操作に
ついて説明します。
 「脚の捻れ」は2パターンあります。真っ直ぐに立った時、つま先が内側
を向く「TOE IN」と、外側を向く「TOE OUT」です。
捻れ イラスト1**

 つま先がどの位内側(or外側)に入っているか…をメジャーで計る必要は
ありませんが、採寸の際に大体の見当をつけておきます。
 製図の際には、まず普通の状態(脚が曲がっていない状態)の製図をし、
次につま先が本来の位置からずれている分の修正をします。

捻れ イラスト2**

 イラストからもわかるように、「TOE IN」の場合は前身頃は裾が内側
身頃は裾が外側
に振れるようにします(TOE OUTの場合はこの逆の修正
をする)。つまりパンツの中心線がつま先の向きに合うようにする…という
事になります。

 これにアイロンワークを加え修正していく訳ですが、アイロンをしないと、
ただ裾が内側に捻れているパンツになってしまい、脚が真っ直ぐに見えま
せん。
 前身頃は全体が内側に回るようにアイロンを掛けます。後身頃は、採寸
の際に計った「ふくらはぎの位置」を中心に行うようにします。
 TOE INの場合、ふくらはぎが外側に出ているので、ふくらはぎの所を内
側に追い込み
全体は外側に回るようにアイロンを掛けます。
 TOE OUTの場合は、この逆になりますので、前身頃全体は外側後身頃
全体は内側に回る
ようにアイロンを掛けます。
 ふくらはぎは内側に入って来て目立たなくなりますので、アイロン操作の
必要は特にありません。
捻れ イラスト3**

 私塾の生徒さんで、O脚で悩んでいた人がこの方法で製図してみたところ、
パンツが綺麗に落ちて脚が真っ直ぐに見えるようになった…と、大変驚いて
いました。機会のある方はぜひお試し下さい。


#358.O脚のパンツの製図

Posted by KINN Tailor on 28.2018 製図の話   0 comments   0 trackback
 今回は、「O脚のパンツの製図」について説明します。

 O脚の方の採寸をする際に気を付けるべき事は、単なるO脚なのか、それ
ともそれに加えて脚が捻れているのか…を見なければなりません。
 私の今迄の経験から言いますと、O脚の場合(程度は様々ですが)、脚が
捻れている事が多く、この「捻れ(ねじれ)」に対応した製図をしないと、色々
頑張ってもパンツが綺麗に落ちない…という事になります。

 「捻れ」には2種類あります。
 お客様に真っ直ぐに立って頂いた時に、つま先が内側を向いていてパンツ
の中心線が外側を向いている
・・・、若しくはその逆で、つま先が外側を向い
ていて中心線が内側を向いている
かを判断します。
 O脚か、またはそれに加えて捻れがあった場合は、次の個所も計るように
します。
・O脚の場合は、膝がどの位離れているかを計る
・脚の捻れがある場合は、パンツの丈(外側)を計る時に裾〜ふくらはぎの
 位置迄を計る


O脚の採寸**

*イラストに描いた三角定規は私の父が作った物で、
 今でも使用しています。



 それではまず、O脚で、脚の捻れがない状態の製図を説明します。
O脚製図**

◎製図をする場合は、前身頃の製図に重ねて後身頃を描きますので、前身頃
 だけ図のように修正
すれば良いという事になります。


 次に、この場合のアイロンワークについては、以下の要領になります。
  O脚アイロン**
◎脚が「O型」な訳ですから、アイロンでできるだけパンツが内側に振れるよう
 に持っていきます。


 次回は、O脚に加えて「脚が捻れている場合」について解説します。

〈つづく〉

#357. O脚のパンツの補正

Posted by KINN Tailor on 14.2018 補正の話   0 comments   0 trackback
 先日、ある生徒さんから「O脚のパンツ補正」について質問を受けました。
日本人でO脚の方は比較的多く、今では矯正グッズやストレッチの仕方など
メディアでも色々と紹介されています。
 女性の場合は矯正する方もいらっしゃるようですが、男性は普段足が隠れ
ていますので、矯正までする事は少ないようです。それでも会話してみますと
結構「O脚である事」を気にされていて、「足が真っ直ぐに見えるパンツにし
て下さい」
…などという注文を受ける事も、ままあります。
 そこで今回は、既成のパンツでの補正の仕方について説明してみたいと思
います。

 まずO脚の方のラインは、具体的には下図のような状態になります。
O脚1**

(1)前の折り目線が外側を向き両足の間は開いて、裾が外を向いています。
---この場合は、足全体が緩やかにO脚になっていると考えられます。
(2)は(1)の状態に加えて、股下に小さなシワがたくさんできます。
---この場合は、O脚がややキツイ状態と言えます。

 これらの共通点は、前中心(a)が下がり気味になっている事です。です
から aを持って引き上げると・・・前の折り目線やシワが綺麗にな
ります。つまり、前中心を上げて脇を下げれば良い…という訳です。
O脚補正2**

 パンツの前中心の位置を下げて脇の位置を上げると、パンツの裾が内側に
寄って来るので、裾が逃げていたのが補正され
、真っ直ぐに下がるようにな
ります。
 また前中心を下げているので、尻縫い目線を深くしないと履きづらくなり
ます。よって、ここも補正が必要です。但し既成のパンツは脇に縫い込みが
入っている可能性は低いので、その場合は前中心と尻の縫い目線で補正する
ようにします。

 次回は…仕立てる際、「裁断の段階でO脚用に変えていく方法」について
説明したいと思います。

〈つづく〉

#356.リーロイドの生地

Posted by KINN Tailor on 23.2018 生地の話   0 comments   0 trackback
 私が金洋服店の社員として仕事を始めた頃(1950年頃)、店があった港区
の辺りには洋服屋を営んでいる家が比較的多くありました。
 そこで、個々で生地を買うよりはまとめて買った方が値引きをしてもらえる
・・・という理由から「購入組合」なるものを作って、年に2~3回仕入れをす
るようになりました。
 その第一回目の時に、私も父について神田の生地屋さんに行きました。今
では生地見本(バンチ)で選ぶのが当たり前になっていますが、当時はまだ
バンチはなく、現物の生地か大き目にカットされたその見本を見て選ぶよう
になっていました。その中にとても魅力的な生地があったので、父と相談し
て注文する事に決めたところ、店の主任が「実はその生地は、これからウチ
で売り出して行きたいと思っているメーカーの物なので、是非沢山買って下
さい!
」と言われました。それが「リーロイド(Learoyd)社」の生地だった
のです。
リーロイド社**

 リーロイド社について、簡単お話ししますと・・・
 英国で1800年代の初め頃から「産業革命」が起こり、蒸気機関を使った
工場があちらこちらにでき始めました。服飾業界においては、主に生地の
表面の汚れを落としたり、整えたりするような大型の機械が発達し、飛躍
的に生産技術が向上
していったようです。

機械1** 機械2**
◇技術向上、生産力向上のために次々に新しい機械が開発された

 英国のウエストヨークシャーの南西部にハダスフィールド(Huddersfield)
という場所があります。英国生地の聖地とも呼ばれている場所ですが、18
22年
ウィリアム・リーロイドがここに毛織物工場を作り、高級な生地を
作る事を目的として仕事を始めました。
 仕事は上手くいったようで、1800年代の終わり頃にはかなり大きな会社
になっていたようです。
ハダスフィールド**

 私がリーロイドの生地を特に気に入った理由は、手で触った時の感触が
とても良かった
事です。生地自体はそんなに厚くないのに、しっかりしてい
…という印象でした。かなりの出来を期待して仕立ててみましたが、結果
としては「しっかりしていながら、しっとりと身体にフィットする」という、
私の予想を遥かに超えた素晴らしい仕上がりでした。加えて色味や柄が綺麗
な事も、お客様に人気があった理由です。

 話をリーロイド社に戻します。
 1900年代に入ると、ジョージ国王マリー女王が(後にはエリザベス女王
も)リーロイド社を訪問され、その評価は世界中のバイヤーの注目を集める
事となりました。
 1964年には、高級ウールを使用した世界で最高価格の生地を発表する
など業界に話題を提供していましたが、1970年後半になると業界の競争
激化のもとコスト削減を求められ経営が厳しくなり、数社との共同生産を
始めるようになります。そして1994年には工場が火災に遭う!という惨事
により、ついには閉鎖となってしまうのです。

 リーロイド社がなくなってしまった事は大変残念なのですが、うちと付き
合いのある生地屋さんが、自身で年に数回英国へ行き、ストックとして残
っている生地を探して
来てくれます。
 そのお陰で、今でもこの素晴らしい生地を使う事ができるのです。

#355.Extra-お客様の服 リーロイド

Posted by KINN Tailor on 09.2018 お客様の服   0 comments   0 trackback
 今日ご紹介するスリーピースを注文されたお客様は、多くの人が集まる場
に出席される機会が多く、スピーチなどもよく依頼されるようで、いつも華や
かな印象の生地をお選びになります。
 お好みの生地を一言で表現すると、「さりげなく目立つ生地」…との事で、
このリーロイドスキャバルなどを好まれます。


◇お客様のスリーピース

◎表地:ウーステッド100% (400g)
◎裏地:キュプラ 鮮やかな青系
◎釦 : 水牛


〈正面〉              〈斜め前〉
リーロイド1 リーロイド2
・生地はウィリアム・リーロイド(WILLIAM LEAROYD)社製の少し粗めの
 ハッキリとしたストライプ
・デザインはシングル2ツ釦 ノッチラペル サイドベンツ


〈下から〉              〈横〉
リーロイド3  リーロイド4

〈寄り〉               〈裏地〉
リーロイド5  リーロイド6

 リーロイドを選ばれるもう一つの理由としては、生地の質感にあります。
 リーロイド社は1822年英国で創業され、「世界最高峰の生地」と称された
時代もありました。残念ながら現在はこの会社はありませんが、英国では
まだストックしている所があり、数は限られますが入手は可能です。
 さて、"生地の質感"ですが…ハリのあるしっかりとした生地で、仕立て
た際にラインが綺麗に出やすく身体にフィットするのが特徴といえます。

 この「リーロイド社」については、私も少々思い入れがありますので、次回
改めてご紹介したいと思います。



  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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