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#424.「製図本」コピー版の作成
皆様、大変ご無沙汰しております。お元気でお過ごしでしょうか?
お陰様で今年も、まだ仕事を続けさせて貰っています。
さて2014年に販売を開始し、完売した私の『製図本』ですが、完売後も多くのお問い合わせを頂いておりました。
当初は増刷を考えましたが、この"横開き形式での製本"をする機械がなくなってしまったため手作業になってしまい、販売価格に迫る製作費になってしまう事がわかりました。
販売価格を改定する事はしたくありませんので断念していた訳ですが、あるお客様から「コピーでもいいので欲しい!」というご要望を頂きました。
それ迄は製本に拘っていたのですが、コピーという方法がある…と教えて頂いたようなもので、「なる程それならば!」と早速コピー版を作成する運びとなりました。
内容は全く同一ですが、全頁が普通紙です。所謂「上製本」の"設え"ではありません。
その点をご理解頂き、「教材」としてお手元に留めたい…と仰る方に、販売をさせて頂きたいと思っています。
【販売価格】
『服部晋の製図』コピー版 ¥8,800
販売手数料(送料・代引手数料等) ¥1,000
合計 ¥9,800(税込)
✴︎ご希望の方は弊社HP迄、メールにてご連絡下さい。
☆銀行振込ご希望の方は、振込確認後の発送となります。
* * * * *

お陰様で今年も、まだ仕事を続けさせて貰っています。
さて2014年に販売を開始し、完売した私の『製図本』ですが、完売後も多くのお問い合わせを頂いておりました。
当初は増刷を考えましたが、この"横開き形式での製本"をする機械がなくなってしまったため手作業になってしまい、販売価格に迫る製作費になってしまう事がわかりました。
販売価格を改定する事はしたくありませんので断念していた訳ですが、あるお客様から「コピーでもいいので欲しい!」というご要望を頂きました。
それ迄は製本に拘っていたのですが、コピーという方法がある…と教えて頂いたようなもので、「なる程それならば!」と早速コピー版を作成する運びとなりました。
内容は全く同一ですが、全頁が普通紙です。所謂「上製本」の"設え"ではありません。
その点をご理解頂き、「教材」としてお手元に留めたい…と仰る方に、販売をさせて頂きたいと思っています。
【販売価格】
『服部晋の製図』コピー版 ¥8,800
販売手数料(送料・代引手数料等) ¥1,000
合計 ¥9,800(税込)
✴︎ご希望の方は弊社HP迄、メールにてご連絡下さい。
☆銀行振込ご希望の方は、振込確認後の発送となります。
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#423.ご挨拶
今年は、大変な1年になってしまいました。
"コロナウィルス"という未曾有の事態に、私もそうですが誰もが不安な日々
を送られている事と思います。
年末のご挨拶を考えてみても、コロナ禍以外の話題が見当たりません。
4月から夏頃迄は、仕事も私塾も控えていましたので、記憶もポッカリ空い
てしまっています。70年以上仕事を続けてきましたが、初めての事です。
その間も、ブログだけは続けさせて貰いました。お陰でどうにか日常を保て
ていたような感じです。
そのブログも、振り返ると始めてから丁度10年経った事になります。300回
目を迎えた時には、キリ良く辞めるか…と思ったりしましたが、その時はまだ
何か書き残した事があるような気がして、続ける事にしました。
主に技術的な題材を中心に描いてきましたが、"懐かしい話"や"特別な話"など、
今迄あまり人に話したことがなかった事もこのブログで披露して来ました。
自分としては、「よく書いたな」と言うか…「既に書ききった」という気持
ちに近い感じです。
そこで、今迄のように定期的に更新するのは今回で終りにしたいと思います。
今迄、長くお読み頂きました皆様には、心からお礼申し上げます。
ブログは今回をもって終了しますが、勿論従来の仕事や私塾は続けて行きま
すので、技術的なご質問などあれば、いつでもお受けします。
メールにてご連絡下さい。
*技術的なご質問はこちらへ:kinn_tailor@w6.dion.ne.jp
* * * * * *
明治神宮は今年で鎮座100年を迎えました。
コロナウィルスの影響でなかなか行けませんでしたが、やっと10月29日に
行く事ができました。「百年大祭」に向けて準備が進められていました。
コロナウィルスの収束、そして皆様のご健康とお幸せを祈願して来ました。
◾️お札

・参道には、百年祭用の祈願のお札が飾られていました。
◾️野菜

・特別に野菜のお供え物も作られていました。
◾️提灯

・百年大祭用の提灯。
◾️鳳凰

・金の鳳凰も特別に公開されていました。
◾️晴天

・晴天にも恵まれ、無事お参りする事ができました。
それでは来年こそ、この靄がスッキリと晴れる事を心から祈りながら・・・
皆様良いお年をお迎え下さい。今迄本当に有難うございました。
"コロナウィルス"という未曾有の事態に、私もそうですが誰もが不安な日々
を送られている事と思います。
年末のご挨拶を考えてみても、コロナ禍以外の話題が見当たりません。
4月から夏頃迄は、仕事も私塾も控えていましたので、記憶もポッカリ空い
てしまっています。70年以上仕事を続けてきましたが、初めての事です。
その間も、ブログだけは続けさせて貰いました。お陰でどうにか日常を保て
ていたような感じです。
そのブログも、振り返ると始めてから丁度10年経った事になります。300回
目を迎えた時には、キリ良く辞めるか…と思ったりしましたが、その時はまだ
何か書き残した事があるような気がして、続ける事にしました。
主に技術的な題材を中心に描いてきましたが、"懐かしい話"や"特別な話"など、
今迄あまり人に話したことがなかった事もこのブログで披露して来ました。
自分としては、「よく書いたな」と言うか…「既に書ききった」という気持
ちに近い感じです。
そこで、今迄のように定期的に更新するのは今回で終りにしたいと思います。
今迄、長くお読み頂きました皆様には、心からお礼申し上げます。
ブログは今回をもって終了しますが、勿論従来の仕事や私塾は続けて行きま
すので、技術的なご質問などあれば、いつでもお受けします。
メールにてご連絡下さい。
*技術的なご質問はこちらへ:kinn_tailor@w6.dion.ne.jp
* * * * * *
明治神宮は今年で鎮座100年を迎えました。
コロナウィルスの影響でなかなか行けませんでしたが、やっと10月29日に
行く事ができました。「百年大祭」に向けて準備が進められていました。
コロナウィルスの収束、そして皆様のご健康とお幸せを祈願して来ました。
◾️お札

・参道には、百年祭用の祈願のお札が飾られていました。
◾️野菜

・特別に野菜のお供え物も作られていました。
◾️提灯

・百年大祭用の提灯。
◾️鳳凰

・金の鳳凰も特別に公開されていました。
◾️晴天

・晴天にも恵まれ、無事お参りする事ができました。
それでは来年こそ、この靄がスッキリと晴れる事を心から祈りながら・・・
皆様良いお年をお迎え下さい。今迄本当に有難うございました。
#422.上襟の話 最終話
今回は、いよいよ上襟を掛けていきます。
まず、裁断した上襟の"クセ取り"をします。
ご存じの通り襟のカーブは強く、また途中から半分に折らなくてはなりま
せんので、しっかりとクセを取ります。
〈クセ取り〉

①イラストの矢印のように、S字形にクセを取る。
②S字になったら襟ミツに当たる部分を指で摘み、下側に膨らむように
伸ばしながら両端は上向きに曲げる。
③最終的な形のイメージ
上襟のクセ取りは、しっかり時間をかけて行わないと襟を掛けている時に
元に戻ってしまい、結果綺麗に仕上がらなくなります。
充分に蒸気を当ててクセを取り、蒸気が乾くまで時間をかけるようにしま
しょう。
〈上襟を掛ける〉
クセが取れたら上襟を掛けていきます。

①襟の付いた身頃を丸い台(まんじゅう等)に乗せ…
②上襟を乗せ、左右の肩の間を躾糸で止める。
▪️中心を止めたところ


③両端を上に上げるとイラストの「イ」「ロ」の部分に弛み(たるみ)が出る
④肩線から先をカーブさせると弛みが消える
襟の端側から中心に向かって躾糸で止めていく
▪️肩線から先をカーブさせ、弛みを消す

▪️綺麗に掛かった上襟

「何故、上襟に弛みが必要か?」と言いますと、腕は前に出す動作が多く、
その時に襟も前に引っ張られる事になります。
特に引っ張られる箇所がどこか観察したところ肩線の所でした。そこで、
そこに緩みをつけてみたところ、動いても襟に斜めのシワが出なくなったの
で、私は襟を長く裁つようになりました。
上襟据えは難しい工程です。上襟の裁断方法は色々あるようですが、私は
真っすぐに裁ってクセを取って掛ける、この方法が一番綺麗に仕上がる…と
自負しています。
まず、裁断した上襟の"クセ取り"をします。
ご存じの通り襟のカーブは強く、また途中から半分に折らなくてはなりま
せんので、しっかりとクセを取ります。
〈クセ取り〉

①イラストの矢印のように、S字形にクセを取る。
②S字になったら襟ミツに当たる部分を指で摘み、下側に膨らむように
伸ばしながら両端は上向きに曲げる。
③最終的な形のイメージ
上襟のクセ取りは、しっかり時間をかけて行わないと襟を掛けている時に
元に戻ってしまい、結果綺麗に仕上がらなくなります。
充分に蒸気を当ててクセを取り、蒸気が乾くまで時間をかけるようにしま
しょう。
〈上襟を掛ける〉
クセが取れたら上襟を掛けていきます。

①襟の付いた身頃を丸い台(まんじゅう等)に乗せ…
②上襟を乗せ、左右の肩の間を躾糸で止める。
▪️中心を止めたところ


③両端を上に上げるとイラストの「イ」「ロ」の部分に弛み(たるみ)が出る
④肩線から先をカーブさせると弛みが消える
襟の端側から中心に向かって躾糸で止めていく
▪️肩線から先をカーブさせ、弛みを消す

▪️綺麗に掛かった上襟

「何故、上襟に弛みが必要か?」と言いますと、腕は前に出す動作が多く、
その時に襟も前に引っ張られる事になります。
特に引っ張られる箇所がどこか観察したところ肩線の所でした。そこで、
そこに緩みをつけてみたところ、動いても襟に斜めのシワが出なくなったの
で、私は襟を長く裁つようになりました。
上襟据えは難しい工程です。上襟の裁断方法は色々あるようですが、私は
真っすぐに裁ってクセを取って掛ける、この方法が一番綺麗に仕上がる…と
自負しています。
#421.上襟の話 その弐
今回は、「襟の製図」の仕方を説明します。
まず…
▪️ジャケットの襟ぐりの形を、目打ちを使って紙に写す

▪️この襟ぐりの形を基に製図していく

〈製図の仕方〉
※前回説明した「首の太さによる違い」も、下図を参考にして下さい。

a. 肩線をNPから、襟腰分延長し、1とする(通常2.5cm)
b. 返り線を延長し、1を繋ぐ
c. その線をエリミツ分延長し、2とする
d. 2から直角線を引き、襟の倒し量を計り3とする
e. 3から直角線を引き、襟腰寸法を計り4とする
f. 4から3を通る直線を引き、3から襟幅を計り5とする
g. 襟止まりから好みの形の襟の端を描き、6とする
h. 5と6を緩やかなカーブで繋ぐ
製図の際に気をつけたいのが、襟は左右同じ場合が少ないという事です。
採寸をした際に肩の高さが違う場合は、襟の製図を左右別々にする必要が
あります。
▪️製図したパターン

▪️パターンを基にしてできた襟芯

・左右の長さが違うのがお判り頂けると思います。
※今回は「上襟について」の説明ですので、この芯を身頃に付けるところ迄
は割愛します。
身頃に襟が付いたら、いよいよ上襟を裁断します。
ここで注意すべきところは、上襟の生地は端が横地になるようにし、片側
で約1cm長くなるように裁断する事です。長くすると、シワが出そうで心配
される方もいらっしゃるかも知れませんが、次回…「上襟の据え方」につい
て説明しますので、そちらを参考にして頂ければと思います。
▪️パターンより長めの上襟

〈つづく〉
まず…
▪️ジャケットの襟ぐりの形を、目打ちを使って紙に写す

▪️この襟ぐりの形を基に製図していく

〈製図の仕方〉
※前回説明した「首の太さによる違い」も、下図を参考にして下さい。

a. 肩線をNPから、襟腰分延長し、1とする(通常2.5cm)
b. 返り線を延長し、1を繋ぐ
c. その線をエリミツ分延長し、2とする
d. 2から直角線を引き、襟の倒し量を計り3とする
e. 3から直角線を引き、襟腰寸法を計り4とする
f. 4から3を通る直線を引き、3から襟幅を計り5とする
g. 襟止まりから好みの形の襟の端を描き、6とする
h. 5と6を緩やかなカーブで繋ぐ
製図の際に気をつけたいのが、襟は左右同じ場合が少ないという事です。
採寸をした際に肩の高さが違う場合は、襟の製図を左右別々にする必要が
あります。
▪️製図したパターン

▪️パターンを基にしてできた襟芯

・左右の長さが違うのがお判り頂けると思います。
※今回は「上襟について」の説明ですので、この芯を身頃に付けるところ迄
は割愛します。
身頃に襟が付いたら、いよいよ上襟を裁断します。
ここで注意すべきところは、上襟の生地は端が横地になるようにし、片側
で約1cm長くなるように裁断する事です。長くすると、シワが出そうで心配
される方もいらっしゃるかも知れませんが、次回…「上襟の据え方」につい
て説明しますので、そちらを参考にして頂ければと思います。
▪️パターンより長めの上襟

〈つづく〉
#420.上襟の話 その壱
ジャケットを仕立てる上で、襟はとても大きな存在です。襟のデザイン=
"その服のデザイン"と言ってもいい位だと思います。
ただ、"襟を作る作業"を考えた時、ハ刺しの仕方やラペルの返り具合など
多少研究する項目はあっても、「上襟」の研究をする事は残念ながら少ない
ように思います。
私は以前、あるお客様から「上襟が首に上手く付くように・・・」という
ご要望を頂き、勉強をする機会を得ました。
それで完成したのが「プルダウン」なのですが、その話は以前しましたの
で、今回は普通の…プルダウンを使わない普通の上襟の製図の仕方や上襟の
掛け方などについて解説していきたいと思います。
今回は、タイプ別にどのような上襟を製図しなければいけないか…につい
ての説明です。
上襟は、ジャケットの襟ミツを元に製図していきます。
この時に考慮しなければならないのが、お客様の首から肩への角度です。
特別に角度や長さを計る訳ではありませんので、採寸の際にどんな角度で、
どのタイプの首か…という事をしっかり見ておかなければなりません。
〈首のタイプ〉

〈襟の形〉

上のイラストで紹介した襟は、アイロンでクセを取る前の形です。
太いタイプは、標準に比べ折り目線のカーブの角度が付いていて長い事が
わかります。太い首に沿って、寝た襟になります。
細いタイプは、折り目線が直線で立ったような襟になります。
太いタイプの襟の形を見て、柄やストライプの時は大丈夫か?…と思われ
るかも知れませんが、上襟ですから柄が出る幅は少なく、身体に綺麗に馴染
みますので問題はありません。
次回は、具体的な製図の仕方について説明します。
〈つづく〉
"その服のデザイン"と言ってもいい位だと思います。
ただ、"襟を作る作業"を考えた時、ハ刺しの仕方やラペルの返り具合など
多少研究する項目はあっても、「上襟」の研究をする事は残念ながら少ない
ように思います。
私は以前、あるお客様から「上襟が首に上手く付くように・・・」という
ご要望を頂き、勉強をする機会を得ました。
それで完成したのが「プルダウン」なのですが、その話は以前しましたの
で、今回は普通の…プルダウンを使わない普通の上襟の製図の仕方や上襟の
掛け方などについて解説していきたいと思います。
今回は、タイプ別にどのような上襟を製図しなければいけないか…につい
ての説明です。
上襟は、ジャケットの襟ミツを元に製図していきます。
この時に考慮しなければならないのが、お客様の首から肩への角度です。
特別に角度や長さを計る訳ではありませんので、採寸の際にどんな角度で、
どのタイプの首か…という事をしっかり見ておかなければなりません。
〈首のタイプ〉

〈襟の形〉

上のイラストで紹介した襟は、アイロンでクセを取る前の形です。
太いタイプは、標準に比べ折り目線のカーブの角度が付いていて長い事が
わかります。太い首に沿って、寝た襟になります。
細いタイプは、折り目線が直線で立ったような襟になります。
太いタイプの襟の形を見て、柄やストライプの時は大丈夫か?…と思われ
るかも知れませんが、上襟ですから柄が出る幅は少なく、身体に綺麗に馴染
みますので問題はありません。
次回は、具体的な製図の仕方について説明します。
〈つづく〉